スプレンドール
劇場公開日:1991年6月14日
解説
田舎町にある古びた映画館館主に自作作品には欠かせない存在であるマルチェロ・マストロヤンニを迎え、その映画的回想記をフリッツ・ラングの「メトロポリス」からエルマンノ・オルミの「木靴の樹」まで欧米の境界を超えた名作を引用し、綴った作品。製作はマリオ&ヴィットリオ・チェッキ・ゴーリ、監督、脚本はエットーレ・スコラ、撮影はルチアーノ・トヴォリ、音楽はアルマンド・トロバヨーリが担当。出演はマストロヤンニのほか、マッシモ・トロイージ、マリナ・ヴラディほか。
1989年製作/111分/イタリア・フランス合作
原題または英題:Splendor
配給:ヘラルド・エース=日本ヘラルド映画=ワーナー・ブラザース
劇場公開日:1991年6月14日
ストーリー
開館決定後、既に改装準備にあるイタリアの田舎町の映画館・スプレンドール座。館主のジョルダン(マルチェロ・マストロヤンニ)は、人々が立ち働く喧操の中、映画と共に歩んだ自らの人生を回想し始める。子供の頃は、巡業映画館を営む父の手伝い。長じて復員してきた彼は、スプレンドール座を継ぐ。その頃は映画の全盛期、彼の恋心も全盛で、レビューの踊り子シャンタル(マリナ・ヴラディ)に一目惚れして彼女を自分の劇場の座席係に据え、彼女のグラマラスな美貌を目当てにいよいよ客足も繁くなる。ルイジ(マッシモ・トロイージ)もその一人、だが彼はシャンタルよりも映画そのものに夢中になり、二人の間に芽生えた恋の炎をあっさりと吹き消して、スプレンドール座映写技師の座に納まってしまう。ジョルダン、シャンタル、ルイジの“三人四脚”も束の間、やがてTVが出現し、客足が遠のき始め、借金も徐々に加算。ポーカー一つで支払期限を伸ばしたり、開映前にストリップショーを前座にしようなどと経営も四苦八苦の連続で、ついにジョルダンは閉館を決意。ジョルダンは復員後、直ちに駆けつけたスプレンドール座で、フランク・キャプラの「素晴らしき哉、人生!」の雪降る終景が上映され、映画というものの素晴らしさに改めて打たれていた自分を懐かしく思い出す。だがジョルダンが閉館作業中のスプレンドール座を発とうとした刹那、異変が起こる。町中の人びとが、自分たちの心の灯を消すなとばかり、スプレンドール座につどってきたのだ。作業員を押しのけ、無言で席に着く人々。じき満席となり、立見客も鈴なりに。客席後方に立ち、感慨にふるえるジョルダン、シャンタル、ルイジ。その時、天井から、雪が舞い落ち始める。それはまるで「素晴らしき哉、人生」のラストシーンのような奇蹟にも似た光景だった。
スタッフ・キャスト
受賞歴
第42回 カンヌ国際映画祭(1989年)
出品
コンペティション部門 | |
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出品作品 | エットレ・スコーラ |