死霊伝説

劇場公開日:

解説

謎に包まれた邸をめぐって起きる怪奇事件を描く吸血鬼映画。製作総指揮はスターリング・シリファント、製作はリチャード・コブリッツ、監督は「ファンハウス 惨劇の館」のトビー・フーパー、スティーブン・キング原作(翻訳書名『呪われた町』/集英社刊)を基にポール・モナシュが脚色、撮影はジュールス・ブレンナー、音楽はハリー・サックマンが各々担当。出演はデイヴィッド・ソウル、ジェームズ・メイスン、ランス・カーウィン、ボニー・ベデリア、ルー・エイヤース、ジョージ・ズンザなど。

1980年製作/アメリカ
原題または英題:Salem's Lot
配給:日本ヘラルド映画
劇場公開日:1982年1月23日

ストーリー

新進作家として名をなしたベンミアーズ(デイヴィッド・ソウル)は、久びさに、故郷セイラムズ・ロットに帰ってきた。ニューイングランドのリゾート地であるその町は、以前と殆どかわっていない。女教師スーザン(ボニー・ベデリア)にも再会し、彼女に惹かれていることを新ためて感じるベン。彼には、以前より関心を寄せている館があった。そのマースティン邸には、古くから伝説的な話が語られ謎に満ちていた。今は、ストレイカー(ジェームズ・メイスン)という骨董商が住んでおり、彼は、バーロウという商売相手を毎日待ちわびていた。ベンは、学校長ジェイソン(ルー・エイヤース)と会い、マースティン邸にまつわる怪奇事件の数々をきいた。その頃森の中を歩いていた兄弟が何者かに襲われるという事件が起きる。そしてマーク(ランス・カーウィン)というオカルト世界に興味をもつ少年が、不思議な魔力にひきつけられ、死んだはずの少年の姿を見、模型の十字架で、その霊を追い払うことに成功する。それ以後、町では次々に怪奇な死亡事件が続いた。吸血鬼に関する古文書を調べているジェイソンが、マークに襲われた。マークは以前に少年にかまれたために吸血鬼の1人となっていたのだ。心臓発作を起こしジェイソンも非業の死をとげた。この事件が、明らかにマースティン邸にまつわる謎と関連のあることを悟ったベンは、教会から入手した聖水と、吸血鬼を殺す木の杭をもってマースティン邸へと向かった。マースティン邸には、予想通り吸血鬼が眠っていた。ストレイカーが待っていたバーロウこそ、その吸血鬼だったのだ。あらゆる知識を駆使してベンは死闘の末、吸血鬼を倒すのだった。

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映画レビュー

2.0なんとなくヴァンパイア退治冒険物語の序章って感じ

2020年4月13日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 元はテレビシリーズだったようで、CM用に途切れ途切れに編集してある。キング作品らしく、セイラムズ・ロットという人口2千人強の小さな町の人々を描いてありました。今回は3時間もある“完全版”を視聴。それほどドロドロしてない人間関係やキリスト教に対する考え方など、冗長すぎるくらいに訴えてくる。いや、名前覚えられないから丁度いいくらいの長さにも思えた。

 久しぶりに故郷に帰ってきた小説家のベン・ミアーズが、美術教師のスーザン・ノートンとあっという間に恋仲になり、彼女を好きだった配管工ネッドがベンを襲うとか、不動産屋クロケットが従業員ボニーと不倫していたため、その夫であるトラック運転手のカーリーが二人の自宅での密会現場に銃を持って現れるとか・・・ホラーには関係ないストーリーが何だか面白かったりする。

 ベン・ミアーズは新作執筆のため町のはずれにあるマーステン館に住みたかったのだが、ちょっとの差でよそ者ストレイカーに先を越される。何しろ、ベンの少年時代に肝試しをしたこともある幽霊屋敷。そんなレトロスペクティブなノスタルジーを想起させておきながら、実は吸血鬼がいたんだよ~的な、キングらしい作品だ。回顧的ではあるけど、ベンは反原発を訴えるなどリベラルだったりもする。

 やっぱりテレビ版ということもあり、スマートな作りではない。コマーシャルに入る直前に不気味な手が登場したりする工夫があったり、全体的には緩い人間模様描写が目立つ。恋人なったスーザンも助手的な役割じゃなく、彼女の医者である父親が一緒に謎を解明するため協力者となったりする。最後には助手が○○君だったりして、ヴァンパイアのシリーズ化も匂わせるエンディングだった。

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kossy

3.0疫病のようにはびこる恐怖

2014年10月19日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

寝られる

勝手にキング原作映画特集その18!
今回は『悪魔のいけにえ』で知られるトビー・
フーパー監督作品、『死霊伝説』('82)を紹介。

幼少を過ごした田舎町ジェルサレムズ・ロットに
帰ってきた作家ベン・ミアーズ。あるトラウマを
抱える彼は、トラウマの元凶である町外れの廃館・
マーステン館について執筆しようと目論んでいた。
時を同じくして、長らく無人だったマーステン館に
ある人物が引っ越してくる。骨董商ストレイカー、
そして、人前に姿を見せない共同経営者バーロウ。

その頃から次々と起こり始める怪異。
子ども達の失踪、悪性貧血の蔓延、そして
夜な夜な家の扉を叩く、死んだはずの人間たち。
怪異の発端がバーロウにあると気付いたミアーズは、
数少ない仲間と共にバーロウと戦う決意を固めるが……

...

作品紹介やDVDパッケージを読めば分かってしまうので
ぶっちゃけると、本作は吸血鬼映画である。しかも
最近よく見る「日光なぞ効かぬッ」とかの特異体質じゃなく、
十字架も日光も聖水もニガテというクラシカルな吸血鬼。

現代の田舎町に吸血鬼が現れたら?というコンセプトだけ聞くと
陳腐に思えるだろうが、そうならないのがキング大先生。
平和な田舎町が、疫病に侵されるかの如く、じわりじわと
死者の町へ変貌していく様子が事細かに描かれていて面白い。

...

実は本作、元々は前後編のTVドラマとして映像化されたが、
そのクオリティの高さから映画として再編集されたんだとか。
日本では4時間の内容を2時間未満に縮めて公開したらしいが、
(これはハショり過ぎて惨憺たる評価を受けたらしい)
現在DVDレンタル店でよく見掛けるのは3時間の完全版。

3時間……長ェ。
上映時間3時間のホラーなんて僕は本作以外で聞いた
ことがない。おまけに実際に観ると、「あ、ここで
CM入るんだ」と露骨に分かるシーンが何ヵ所もある(笑)。

だが引き付けられるシーンは多い。
何せ30年前の作品なのでそこまでの恐怖は感じないが、
墓守りが魅せられたように棺を見つめるシーンや
“食器棚”を地下室に運ぶ一連のシークエンス、
背後の暗闇からゆっくり這い寄る死者の
ショットなど、面白い点は随所にある。

...

映画版はさすがに小説ほど緻密に物語が描かれる
訳ではないので、町がじわじわ変貌していく様子が
今ひとつ伝わらないのが難点だは、それでも長大な
原作をそつなくまとめられているように思う。
○○○○の最期をラストに持ってきた点も、
物語の悲劇性を高めていてなるほどと感じた点。

また、原作との差異で面白いのは吸血鬼バーロウだ。
原作のバーロウはクリストファー・リー版の
ドラキュラのように知性的だが、 映画版では
『吸血鬼ノスフェラトゥ』のような禿げ頭、
鋭く突き出した牙、病的に青い肌、爛々と金色に輝く
眼という、とにかく醜く恐ろしげな容姿をしている。
これは映像としての『怖さ』を優先したのだろう。

小説を単純に映像化するのではなく、物語の
順序を入れ換えたり、視覚的に工夫を凝らしたり、
映像化する時にどうすれば怖く見えるか、どうすれば
ドラマチックに見えるかなど熟慮した跡が伺える。

...

という訳で、3時間という長さに躊躇しない人、
且つクラシカルなホラーが好きな人にはオススメ。

ところで本作の原題は舞台となる町の略称『Salem’s Lot』。
文庫版は『呪われた町』という大袈裟なタイトルで
発刊されているが、この『死霊伝説』という映画
タイトルはもっと大袈裟(笑)。一体誰が付けたんか。

<了> ※2014.10初投稿
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余談:
『呪われた町』は『死霊伝説/セーラムズロット』という
タイトルで2004年に再度ドラマシリーズ化されている。
数年前に観たきりなのであんまり覚えていないのだが、
より原作に忠実だったり、舞台も2000年代になっていたり、
キャストも割と豪華だったりでけっこう楽しめた記憶
(ロブ・ロウ、サマンサ・マシス、ジェームズ・クロムウェル他)。
特にルトガー・ハウアー演じるバーロウはシブくてかっこよかった!
ただ、上映時間はまたしても3時間超なのでご注意を。

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浮遊きびなご

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