ジョニーは戦場へ行った

劇場公開日:2025年8月1日

解説・あらすじ

「ローマの休日」「スパルタカス」などの名脚本家ダルトン・トランボが、自身の反戦小説を原作に、1971年に自ら監督・脚本を兼ねて映画化。第1次世界大戦でほぼすべての身体機能を失った青年兵士の視点から、戦争の本質や非人間性を浮き彫りにした。

第1次世界大戦下のヨーロッパ戦線に出征したアメリカ人兵士ジョーは、砲弾を受けて目、鼻、口、耳を失い、運び込まれた病院で両腕と両脚も切断されてしまう。首と頭はわずかに動き、皮膚感覚だけが残った彼は、姓名不詳の「407号」と呼ばれることになる。鎮痛剤を打たれ意識が朦朧とするなか、出征前に最愛の恋人カリーンと過ごした一夜や、釣り好きだった父との日々を回想するジョーだったが……。

「ラスト・ショー」のティモシー・ボトムズが主演を務め、「M★A★S★H マッシュ」のドナルド・サザーランド、「大統領の陰謀」のジェイソン・ロバーズ、「塵に咲く花」のマーシャ・ハントが共演。1971年・第24回カンヌ国際映画祭にて審査員特別グランプリ、国際映画批評家連盟賞などを受賞。2025年、終戦80年企画として4K版でリバイバル公開。

1971年製作/112分/G/アメリカ
原題または英題:Johnny Got His Gun
配給:KADOKAWA
劇場公開日:2025年8月1日

その他の公開日:1973年4月7日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

第24回 カンヌ国際映画祭(1971年)

受賞

審査員特別グランプリ ダルトン・トランボ
国際映画批評家連盟(FIPRESCI)賞 ダルトン・トランボ

出品

出品作品 ダルトン・トランボ
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映画レビュー

4.0 トラウマ映画と聞いて見てみれば

2020年10月26日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
ネタバレ! クリックして本文を読む
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共感した! 3件)
猿田猿太郎

4.0 心の叫びが誰にも届かない孤独と絶望

2025年8月18日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

怖い

まず作家としてキャリアをスタートさせ、1930年代後半から映画の脚本も書き始めたダルトン・トランボは、第一次世界大戦で四肢を失った兵士を英エドワード皇太子が見舞い額にキスをしたことを伝える記事に着想を得て、小説「Johnny Got His Gun」(映画の原題と同じ)を1939年に出版した。伝記映画「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」でも描かれていたように、共産党員だったトランボは赤狩りのターゲットになり、議会侮辱罪で禁固刑になり収監されたほか、1960年までの約10年間執筆した脚本に自身の名義がクレジットされなかった。

「Johnny Got His Gun」の映画化の企画はまず1964年に立ち上がるが、資金難で頓挫。しかしトランボは諦めず、脚本だけでなく自ら監督も務め、ようやく資金調達にも成功して1971年に完成させた。同年のカンヌ映画祭ではグランプリ(2席)を受賞している。

砲撃で顔面の器官を失い、損傷した四肢も手術で切断された主人公ジョー。大脳機能も失われて何も感じず何も考えていないと医師から診断されていたが、ジョーは実際には意識があり、五感のうち触覚だけが残っていた。また、頭部を意識的に動かす運動機能もある。戦争で四肢を失ったキャラクターという点は2010年の若松孝二監督作「キャタピラー」が似ているが、閉じ込め症候群の状況という意味では2007年製作の仏・米合作映画「潜水服は蝶の夢を見る」にも類似する。

反戦映画の傑作として評価の確立した作品ではあるが、トランボが小説を執筆してから赤狩りがらみの不遇の時代を経て、理不尽な権力によって言葉が消される、存在が消される孤独と絶望を裏テーマとして映画版に加味したのではないかと感じた。

なお、「ジョニーは戦場へ行った」は2024年のカンヌ・クラシックスに選ばれ、その際に仏大手映画会社ゴーモンが4Kデジタルプリント版を製作した。冒頭のクレジットでもカンヌ・クラシックスとゴーモンのロゴが出るので、仏主導の4K版の日本上映権をKADOKAWAが買い、今回の終戦80年企画リバイバル上映としたものと察せられる。

今回ネットで調べて知ったトリビアをひとつ。映画「ジョニーは戦場へ行った」の権利は意外にもヘビーメタルバンドのメタリカが所有している。権利の詳細は不明ながら、おそらく上映・配信・二次利用に関するものだろう。経緯もなかなか興味深い。バンドのソングライターの1人であるジェイムズ・ヘットフィールドは、閉じ込め症候群の男をテーマに曲を作るアイデアを温めていた。ツアー移動中のバス事故で不慮の死を遂げたベーシストのクリフ・バートンが生前ヘットフィールドにトランボの原作小説を勧めていたこともあり、メンバー全員で映画を鑑賞し、そうして楽曲「One」が生まれた。「One」はバートン没後初のアルバム「メタル・ジャスティス」に収録され、シングルカットされる際にはメタリカにとって初のミュージックビデオも制作。このMVには「ジョニーは戦場へ行った」の本編映像がかなりの尺で引用されている(YouTubeで視聴できる。ちゃんと測っていないが、MV本編7分45秒のうち映画からの引用は3割程度か)。しかし、MTVなどでMVがオンエアされたり、コンサートで映画の映像を映し出すたびに使用料を支払うことをわずらわしく思ったバンドは、映画の権利を買い取ることにしたんだそうな。今回のリバイバル上映の売上の一部もメタリカに入るのかと思うと、ちょっと楽しい。

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共感した! 3件)
高森郁哉

3.5 強烈過ぎて…

2025年10月5日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

本作品は学生の頃レンタルで観ました。
『こんな作品もあるんだ❗️』と驚愕しました。

まさかの劇場での鑑賞です。

とにかく暗い、救いよのない暗さです。

なんてレビューをしたらいいのか解りませんでした。

劇場公開に尽力したスタッフには感謝します。

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共感した! 1件)
クロレッツ

4.0 もう体を掻くこともできない

2025年9月5日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

怖い

私はレンタルでみましたが、右の特典メニューから日本語吹き替え(97分)がありました
参考にしてみてください

こんな作品が86年前にあったことが驚き
ジョーのカラーな回想シーンに比べて病室は静寂とモノクロ、生きていてもどうすることもできない
こんな体でも体の触覚だけあるのか…と思っていたらそれが希望になった
それでもそんな体が結果的絶望になった、結局一つだけ五感があったところで・・・
ジョーの働きは一体何だったんだろう

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