商船テナシチー

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解説

シャルル・ヴィルドラックの代表的名作戯曲を映画化したもので、「にんじん」「巴里-伯林」のジュリアン・デュヴィヴィエが監督に当り、脚色にはデュヴィヴィエが原作者ヴィルドラックの協力を得て任じている。撮影は「バラライカ」のウィリーと「にんじん」のアルマン・ティラールがエイエ、クリスチャン・マトラと共同担当し、装置はジャック・クロース、音楽はジャン・ヴィーネが担任している。主演者は「幻の小夜曲」「金」のマリー・グローリー、「吼えろ!ヴォルガ」「トト」のアルベール・プレジャン及び舞台での持役を勤めるユベール・プレリエで、「ドン・キホーテ(1933)」のマディー・ベリー、ピエール・ローレル、ニタ・アルヴァレス、ジャンヌ・デュック等が助演している。

1934年製作/フランス
原題:Le Paquebot Tenacity

ストーリー

バスチアンもセガールも失業者だ。失業者には恨めしい雨が降る。バスチアンはいっそパリを棄ててカナダへ出稼ぎに行こうと決心する。何事も運命に任せるセガールはバスチアンが行こうと云うので、一緒にルアーヴルの港へ行った。その夜は波止場の安ホテル、マダム・コルジエの家に泊った。女中のテレーズは二人に親切だった。が夜が明ければ出発だ。テナシチー丸の甲板に立ったセガールは岩壁で見送るテレーズに持っていた花を投げた。それは彼の恋心だが、想いは届かず、海に落ちる。バスチアンは屈託がない、あの娘はモノになったんだが、惜しい事をした、と云う。がテナシチー丸はカナダへは行かず、港に引返した。機関に故障が起ったのだ。その修理完了迄、二人は再びマダム・コルジエの宿の人となり、待つ間を働く事となる。セガールのテレーズへの恋心は募ったが、内気な彼は打明け得ないのである。だがバスチアンは朗らかだった。彼は夜になると酒場で女達と戯れ、テレーズをからかった。かくてルアーヴルの港には日が照り、雨が降った。そして一夜、偶然な運命がバスチアンとテレーズを結びつけた。二人の気持は敢て真剣なものではなかったが、一度結ばれた二人は、互いに離れ難い愛情が芽生えた事を感じるのだった。バスチアンはテレーズを連れてカナダへ行く事を考えた。しかしそれは余りにも大きい冒険だ。明日は愈々テナシチー丸は出帆--よし俺はテレーズと二人で共稼ぎでもしてフランスで暮そうとバスチアンは決心した。そして可哀想なセガールには何事も黙って、書置きだけを残して出帆の日の朝二人は連立って停車場へ急いだ。其頃セガールは書置きを読んでいた。ここ迄来て路案内に逃げられたのだ。しかし運命の船は黒煙を吐いて待っている。よし俺は行こうカナダへ。立って行く彼が幸福を得るか、残った者が幸福なのか--それは誰にも分らないことだ。船には老いた労働者イドゥーが見送りに来てくれた。セガールは「さよなら」と云った。イドゥーは「また会おうぜ」と彼を力づけて答えてくれた。

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映画レビュー

3.5友情より恋愛の優位性を描いたフランス映画らしいペシミズムのデュヴィヴィエ作品

Gustavさん
2020年11月30日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の初期の代表作。ペシミズムが漂うストーリーテラーの達人デュヴィヴィエ監督が、本国フランスより日本での評価も人気も高かったことを示す作品で、「我等の仲間」「望郷」「舞踏会の手帖」の全盛期の名作と比較すると見劣りがする。フランス映画らしく友情より恋愛の優位性を描いたストーリーで、デュヴィヴィエ監督らしい宿命的な男女関係がテンポ良く語られるが、テーマが通俗的で面白みに欠ける。もう一度見直して観たいがどうだろう。

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Gustav
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