「映画史上初めてCGで恐竜を生き生きと蘇らせた事以外は、スピルバーグ監督作としては案外凡作。」ジュラシック・パーク もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
映画史上初めてCGで恐竜を生き生きと蘇らせた事以外は、スピルバーグ監督作としては案外凡作。
(原作既読)①最初に断っておきます。わたしは恐竜が大好きです。小学生4年(9歳)で初めて夢中になってから59歳になった今でも I ❤️恐竜です。恐竜像も50年間で大分変わってしまったけれど今でも最新の恐竜学には何とか追いついて行っております。②マイケル・クライトンの『ジュラシック・パーク』は傑作でした。大怪我を負った男が「ラブトル…」という言葉を残して事切れる冒頭シーンのミステリアスさ、そして何よりグランド博士たちがイスタ・ヌブラを初めて訪れた時にジャングルのあちこちからヌッと首を起こして現れたものーそれに続く『それは恐竜だった。』の一言にどれ程心が弾み感動した事だろう。そのあと人災でコントロール不能になったイスタ・ヌブラからの脱出劇の息をつかせぬスリリングさと怖さ。映画化は残念ながらその10分の1も伝えておりません。③映画で唯一胸が一杯になったのは、イスタ・ヌブラに到着してグラント博士たち一行がはじめてブラキオサウルスを観たところ。CGとは言え初めてスクリーンで観た実物大の勇姿に胸が一杯になったものでした。良く考えたらあんな大きなものならもっと早く目に止まっただろうという矛盾や、その前にエリー博士が途中で採集したシダを鑑定して「ここのシダは恐竜時代に絶滅した筈」という台詞があって、恐竜はともかく有史前の植物をどうやって生き返らせたのか、という違和感は初観のときからずっと頭を離れません。その後の展開もスリリングではあるが『ジョーズ』からすると数段落ちるし、後半のヴゥロキラプトルに襲われるシーンも原作より生ぬるい。エリーが変電所で先に入ったスタッフの手首だけ見つけるというのも考えてみればへんな話。何よりこんなに大惨事を起こした一番の責任者なのに、『ここは危ない脱出しよう』というグラント博士の言葉にホイホイと乗って一緒にヘリに乗り込むハモンドの無神経さ・厚かましさ。「ジジィてめえの責任だろうが、何とかせい!」と心の中で罵倒しておりました。⑤この映画が変に恐竜映画の金字塔みたいに扱われてしまったため、後続の映画は最早最新の恐竜学を取り入れようせず相変わらず20年以上前の恐竜像にしがみついて金儲け目的のほぼ怪獣映画に堕ちてしまいました(良くできた怪獣映画は大好きです、誤解無きよう)⑥本来SF映画が忘れてはならない『sense of wonder 』を置いてきて金儲け主義への道を開いてしまったのが、この作品の功罪でしょうか?