自由の暴力

劇場公開日:

自由の暴力

解説

「ペトラ・フォン・カントの苦い涙」などで知られるドイツの鬼才ライナー・ベルナー・ファスビンダー監督が、金持ちの男を愛したばかりにすべてを搾取され破滅していく男の姿を通して資本主義社会の冷酷さを暴いた人間ドラマ。

大道芸人のフランツ・ビーバーコップは宝くじに当たったことをきっかけにブルジョワのゲイのサークルに入り、そこで出会ったハンサムなオイゲンに恋をする。一夜にして富と愛を手にしたフランツは有頂天になってオイゲンに貢ぐが、ブルジョワのオイゲンと孤児出身のフランツとでは、趣味も会話もすべてが相容れず……。

ファスビンダー監督が初めて男性同性愛を真正面から描いた作品で、主人公フランツを自ら熱演した。日本では1977年に「自由の代償」のタイトルで公開され、2024年の特集上映「ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選2024」にて「自由の暴力」のタイトルに変更して再公開。

1974年製作/123分/PG12/西ドイツ
原題または英題:Faustrecht der Freiheit
配給:コピアポア・フィルム
劇場公開日:2024年8月30日

その他の公開日:1977年1月22日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

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(C)Rainer Werner Fassbinder Foundation

映画レビュー

3.5説教くさくない

2024年11月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

当たり前のことですが、長い間ホモソーシャルな縦社会であったからこそ、人間は資本主義に適合できたのかと思いました。いやいや、資本主義どころか封建主義もそうですよね。そしてアメリカ大統領選でも、マッチョな社会を望むのは人種問わず男性に多いみたいです。

本作はフランツの痛みを性的マイノリティで表現していましたが、これは女性も共感できると思いますし、貧しい人々にも共通していることだと思います。つまり、本作のテーマは資本主義です。この資本主義の中で性的マイノリティはお金を稼ぐことも掴むことも困難ですが、お金を持つ性的マイノリティはHAPPYみたいな。

フランツの搾取された痛みを痛みとしてではなく、至極当たり前に普通のことの様に描いているのが残酷さを増していました。それにお行儀がよくなくて説教くさくなくて観客を突き放すところも、ファスビンダーらしく容赦しないなって。

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ミカ

2.0ファスビンダー監督が自らゲイ役を演じてます。

2024年11月8日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

ビョウの付いたGジャンのポスターから、もっと不良っぽいクライム系を期待してたら、

思ったのと違って監督が自らゲイ役を演じる、ゲイ色の強い映画でした。

もちろん差別する気ないけど、男性器(無修正)が何人分も出てきたり、そういった面でキツかった…

早く終わってくれ!と思いながら、なんとか鑑賞。

で、この評価。

申し訳ない。

差別する気ございません。

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RAIN DOG

4.0清々しい位、

2024年11月6日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

怖い

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トミー

2.5初めてのファスビンダー。

2024年10月11日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

 36歳の若さで世を去ったニュー・ジャーマン・シネマの鬼才、ファスビンダー。

 今まで作品を観る機会がなく(以前『ケレル』のソフトを注文したら廃盤になっていた)、本作もこの日が最終上映。まったく下調べもせずに行ったら、LGBTど真ん中の映画だった。自分、ストレートなんだけど…。

 統合前の西ドイツ。しけた見世物一座でしゃべる生首なんてインチキ芸で日銭を稼ぐゲイのフランツ(つまり、彼も人を騙す側の立場だったことに)。
 一座の摘発で収入の場を無くすも、ロトが高額当選。しかし、そのことでセレブの同性愛グループに目を付けられ、何もかも失い絶望の淵に陥る羽目に。

 いい生活してるくせに庶民のフランツからむしり取る連中もひどいが、ラストに登場する少年たちの行動も衝撃。不良には見えないが、当時の西独のモラルや治安、どうなってるんだ?!

 ロマン主義の作風で人気を博したヴェンダースや、歴史から材を取って問題作を連発したヘルツォークと並び称されるファスビンダー。
 一作観ただけで判断すべきではないだろうが、虐げられる者への容赦のない眼差しからは、ネオレアリズモの影響がみてとれる。

 主人公のフランツは器量も悪ければ、人間性も無垢ではない。
 ガサツで行儀も悪く、ロトに当選したことで万能感に浸り、簡単に他人を見下す。
 そのくせ、騙されていることにまったく気付かない単純さで、悲惨な最期にも同情しづらい点は『阿Q正伝』の主人公を思い出す。

 タイトル『自由の暴力』(原題が Faustrecht der freiheit だから、以前の邦題より近い感じに)からも、冷戦下の自由主義陣営にありながら、体制への幻滅を感じさせる作品。今なら「左翼的」のレッテルを貼られることは確実。

 フランツの姉や一座のストリッパーらの外観が醜悪なのに対し、セレブの階層が概ね美形揃いなのも、自由主義の虚栄や幻想を揶揄しているのだろうか。

 にしても、フランツを演じる役者はとりわけブサイク。
 このテの役をやるには体のラインも美しくなく、何でこんなのが主役に抜擢されたのかと思ったら…。

 た、大変失礼しました!

 ファスビンダー監督が主演も兼ねていると分かっていたら、フランツの予言的な最期もまた違った感慨で観られた筈。
 やっぱり観る前の最低限の予備知識は必要なのかも。

 こんな性質の映画ゆえか、当日の劇場は自身久方ぶりの独り占め状態。
 みんな、ファスビンダー作品観たくないのか(内容にもよるけど)。

 おかげで出町座謹製「貸切王」の缶バッジを頂戴しました♡

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TRINITY:The Righthanded Devil