シャイアン

劇場公開日:

解説

マリ・サンドスの同名小説をジェームズ・R・ウェッブが脚色、「リバティ・バランスを射った男」のジョン・フォードが演出した西部劇。撮影はウィリアム・H・クローシア、音楽はアレックス・ノースが担当した。出演は「西部開拓史」のジェームズ・スチュアート、同じくキャロル・ベイカー、「7人の愚連隊」のエドワード・G・ロビンソン、「誰が私を殺したか?」のカール・マルデン、「アラビアのロレンス」のアーサー・ケネディ、「栄光への脱出」のサル・ミネオ、「長い船団」のリチャード・ウィドマーク、「ビッグ・サーカス」のギルバート・ローランドなど。製作はバーナード・スミス。

1964年製作/アメリカ
原題または英題:Cheyenne Autumn
配給:ワーナー・ブラザース
劇場公開日:1964年12月19日

ストーリー

故郷イエローストーンから、荒涼たるインディアン居留地に移されたシャイアン族は、病気と飢えのため約3分の2が死んでいった。酋長達は相談の上、生き残った同胞をつれて故郷に帰ることにした。一行の中には、子供達に読み書きを教えているデボラ(キャロル・ベイカー)という白人の娘が加わっていた。脱出の報に合衆国警備隊は追跡を開始。その中には、デボラを妻にと望んでいるアーチャー大尉(リチャード・ウィドマーク)がいた。シャイアンに同情をよせながらも、任務のため非情な追跡をせねばならなかったのだ。酋長達の努力にもかかわらず、仲間割れが原因でついに戦いは始められた。ニュースは誇大宣伝され内務長官は鎮圧しなければ、自分の政治的生命も危ないと悟った。ダッジ・シティでは市民軍が結成され、隊長には名保安官ワイアット・アープ(ジェームズ・スチュアート)が選出された。アープの努力にもかかわらず、両軍は大混乱をおこす始末。やがて冬になり、寒さと飢えがシャイアンを苦しめた。アーチャー大尉とデボラの説得で、酋長の1人は降伏したが、白人達の苛酷な態度に再び戦う決心をした。洞窟に身を隠したシャイアン達に、合衆国陸軍は大砲で攻撃した。もはや時間の問題と思われた時、騎馬隊が現れ、その先頭にいたのは内務長官とアーチャー大尉であった。シャイアンの生命を救うため、政治的生命を捨ててやってきたのだ。うららかな春の日、シャイアン達がアーチャー大尉の部隊に護られてイエローストーンに到着した。愛しながらも、シャイアンを苦しめたアーチャー大尉を許すことができなかったデボラは、初めて彼と喜こびをわかちあった。

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映画レビュー

3.5ジョン・フォードの変化にびっくり

2013年9月18日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

難しい

総合70点 ( ストーリー:75点|キャスト:65点|演出:60点|ビジュアル:65点|音楽:55点 )

 かつては自らの作品の中で、白人の敵である幾多のアメリカ原住民を一方的に殺してきたジョン・フォード監督が、驚いたことにここでは一転して白人のシャイアン族に対する残虐さを描く。日本では白人とアメリカ原住民の戦いのことは知られていても、白人が豊穣な土地を奪ってアメリカ原住民を不毛の地への強制移住させて大勢が死んだという話はあまり関心を持たれていないので、それを映画で取り上げたのは意義がある。今でも政府の指定するアメリカ原住民の居留地は不毛の土地だったりする。西部を車で旅行した時、なんで彼らはこんな砂漠地帯にわざわざ住んでいるのかと思ったが、なんのことはない、強制されていたのだ。
 古い映画なのであまりに残酷な部分を直接見せないし、故郷を追われ強制移住させられて飢えと寒さに苦しむシャイアン族の描写は間接的で生ぬるい。しかし誤解と偏見をもって差別をし、力で抑えつけ守る気のない約束をして彼らの生命を軽んじる政策をとるアメリカ政府の歴史を描いたのは立派。白人側にもアメリカ原住民に家族を殺されて恨みがあったりする者がいたりして、それぞれの事情も伺える。お互いに恨みだけが積もって複雑な状況が生まれているのが見て取れる。
 しかしこの深刻な作品の中にワイアット・アープの喜劇が途中で登場するのは蛇足。急に雰囲気が変わって軽薄になるだけでなく、話の本筋に関係がない。広大な大地を描く映像はいつものごとくモニュメント・バレーでの撮影で壮大だが、砦の場面では急に作り物感にあふれてしまうのも良くない。

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