地獄の黙示録のレビュー・感想・評価
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黙示録の先に垣間見える自由
凄まじい映画です。実は2回鑑賞していて、というのも1回目にも衝撃を受けたのだが(勿論ワーグナー爆撃のシーン)当然、事の本質はそこでない気がしてならなかったのだ。カーツ大佐を狂人のままこの映画を飲み込んではいけないと思った。
やはりこの作品の本質は後半に集約される。彼らは何故戦うのか。戦いに呪われた人間がその拠り所を崩されるその時、彼らは狂気にすがるしか無いのだろうか。
戦争の意義を失い、真実が捻じ曲げられる世間(『ペンタゴン・ペーパーズ』を参照して欲しい)と関係を絶ち、自らの信じる道を行ったカーツは本当に悪か?そもそも何故カーツは殺されなければならない?
人間は極限状態(あるいはそれに近しい社会環境)において、善悪の図と地の関係性は容易にひっくり返る。これはまさに黙示録的状態だ。天才が常軌を逸していると正しく評価されないのと同様、真の自由を追い求める事は時に狂気的であると思われ、天才への恐怖から排斥される。
カーツが死を受け入れるのは、カーツの思想を継ぐものが現れたからだ。カーツは死ぬ事でその精神は昇華し、永遠の強度をもって輝く。ニヒリズムに終止符を打ち、この世に正しさと自由をもたらす為の生贄であると捉えることもできる。
これはホドロフスキーも追求した自己超克の物語で、前半のワーグナー爆撃は、衝撃的な浅薄さの描写に過ぎない。
午前10時の映画祭にて鑑賞しました。 映像的迫力、音楽的迫力、残虐...
午前10時の映画祭にて鑑賞しました。
映像的迫力、音楽的迫力、残虐描写の迫力、そして全編に渡る狂気的迫力、凄かった……
1回目の鑑賞だけでは映画全体の評価を冷静に下せないタイプの凄まじい作品。
撮影現場の裏話なども踏まえて再鑑賞したいです。
映画館で二回見た。 やっぱり分からないなのは、地元民の小舟の捜索中...
映画館で二回見た。
やっぱり分からないなのは、地元民の小舟の捜索中に機関銃を撃つシーン、なんで、急に発砲する??
後半、断片的にウトウトしてしまって見逃したかもしれないのだけど、ウィラードがカーツを殺す事に決めた、キッカケってなんだったんでしょう?
後半にモヤモヤが残りました…(´-ω-`)
地獄であり"狂気"
一度も見たことが無かった作品だったので、午前十時の映画祭にて鑑賞。本当に見て良かったと思えた作品であった。
ストーリーはベトナム戦争において、主人公であるアメリカ軍ウィラード大尉が元アメリカ軍で現在、カンボジアにて独立王国を築いているカーツの暗殺を命じられて…というもの。
本作は一言で表せば、"狂気"に満ちた作品。内容もあるようで無いようなものだし、全編というか作品自体が常軌を逸している。どうやってこれ撮ったんだっていう撮影や、キャストの演技など、ドラッグ映画よりもはやサイケデリックな作品である。
ベトナム戦争が実際に本作のようなものであったのかはわからないが、戦地の人々の精神性は伝わってくる。全てがクレイジーで軍隊における主従関係やら、兵士たちの折り合いなどはリアリティがあり、その世界に引き込まれる。
なぜ、カンボジアにてカーツは独立王国を築くことができたのか、それは恐らくウィラードが一番わかるであろう。カーツの精神性は戦地でウィラードが体感したはずである。ラストシーンにおいてウィラードは何を感じたのか、我々には到底理解できるはずがない。悲惨な戦地において、何かにすがりたいとカルト的なものを信仰したくなる気持ちが理解できたのはウィラードかもしれない。
フランシス・フォード・コッポラをはじめ、キャストやスタッフがどれだけ過酷な思いで本作を製作したのか、本作のドキュメンタリー映画もぜひ鑑賞したいものである。
どこか「タクシードライバー」のような作風だと思う部分もあったが、やはり似ても似つかない。これほど見入る映画に出会ったのも久しぶりかもしれない。この作品自体がもはやカルト的である。このような映画は後にも先にも本作だけであろう。
The horror. これ、狂ってます。
有名な作品ですし、いつか観よう観ようと思ってた所を、今回「午前10時の映画祭」でリバイバルされたので観に行ってきました。いっやー、こんな映画どうやって撮ったんでしょう?訳わかんない。特に後半。それでも引き込まれる物がある、確かに映画史に残る作品です。
個人的になんですが、なんとなく「ワルキューレの騎行」ってベトナム戦争のイメージがあったんですよね。自分が持ってたイメージって全部この作品からきてるんですね。今まで映画自体観た事がなかったのに、何処かで端々を観てたのがイメージの形成に繋がってたのでしょう。
中盤、キルゴア中佐がベトナムの村を攻撃しに行くシーンの前にベトナムの小学校から逃げる子供達の描写を入れてたりと全然アメリカよりではなく、むしろアメリカ軍を侵略者として撮っている所がまた面白い。ベトナムからアメリカ軍が撤退したのが1972年、戦争の終結自体が1975年、この作品が1979年と、公開当時はまだまだ近い過去の話なのに、ここまでアメリカ軍の狂気を大きく取り上げるって。問題にならなかったのでしょうか?いや、問題になったから今でも有名な作品なのか?
出演陣も豪華です。正直マーロン・ブランドって昔の有名な俳優ってイメージであまり知らないのですが、不気味な存在感が半端ないです。また明るい所にしっかり登場しないんで余計不気味なんですよね。マーティン・シーンってエミリオ・エステベスにも、チャーリー・シーンにも似てますね(逆か?)。さすが親子!キルゴア中佐がロバート・デュヴァルだったなんて!写真家はデニス・ホッパーやったんや!ってか若い黒人の兄ちゃんクリーンはローレンス・フィッシュバーンかよ!等とお爺ちゃんの印象しかない俳優さん達の若い姿には観てて全く気が付かず、後で調べてビックリでした。あ、でもハリソン・フォードだけは分かりましたよ!
フランス・フォード・コッポラ監督ってまだご存命ではありますが自分が生まれる前に活躍してた監督という感じで、ちょっと縁遠いんですよね。それでもスゴい映画人である事は間違いないですね。何だかんだできっと狂気の人間なんだろうなぁ。やっぱりこの時代に比べると現代はソフトになってると思わざるをえない強烈な作品でした。
面白かった
初見。大劇場で見る機会を伺い続けてようやく叶った。長年の我慢は報われ、堪能することができた。
全編に渡り凄い熱量だが、キルゴア中佐が差配する一連のシークエンスがやはり一番面白い。致し方ないことだが、CGアクションのダメさを痛感した。
カーツ大佐のデブっぷりは確かに有り得ない酷さだった。だがとても上手く処理していて、流石と感心した。
困ったことに、若いマーチン・シーンに慣れていないせいか、見終わった後に頭の中で映画を反芻すると、どうしても息子(チャーリーの方)の顔にすり替わってしまう。
映画にのめり込んだ諸悪の根源(笑)
個人的には(笑)
しかるに複雑な思いがこの映画にはある。それがリバイバルか。
戦争映画ナンバーワンと思いながらスクリーンでみたことがない。
この機会に…とは言え今まで何回ビデオなどでみたことか。今もブルーレイ持ってるしなあ。
悩むぜ( ̄▽ ̄;)
中学時代にたしかみて、それから友人に勧め続けるが誰にも賛同してもらえず、それでも怨霊のようについてまわるこの
「現代の黙示録」
やはり一度は劇場にいかねば気がすまない気も。
内容については書き出したら止まらないから割愛するが、わけのわからない内容ではある。
個人的には戦争映画の形を借りたもっと別のものと今のところ解釈してるが、着眼点はそんなとこではない。答えが出ない、だから確認しにいこうかと。
地獄へ向かうロードムービー、いや船で川上がってってんだけど。
むかし「壮大なる失敗作」と評した人がいた。言い得て妙とも思ったが
まあ、内容はともかく、
コッポラとジョン・ミリアスはラストでもめにもめてミリアスは途中で降りてしまい、当てつけのように
「地獄の七人」を作ったとか
途中のジャングルの爆撃は実際にガソリンまいて燃やしたとか
アメリカ軍全面協力拒否でフィリピン軍からヘリコプターを借りたとか
コッポラにとっても怨念めいた映画だね。実際撮影は大幅に予定より長期化し、だいぶ苦労したらしいし
うーんどうしよ。時間帯かなあ悪くて
午前中からみる映画じゃねーよおw
生き地獄
まさに生き地獄の世界。今はそれ程のインパクトは無いが当時としては凄かったと思われます。十分理解出来ない内容もありましたがさすが名作です。ドアーズ&ローリンングストーンズの音楽は大変良かった。
(午前十時の映画祭にて鑑賞)
2018-92
圧力が
とにかく映像と音響の圧力が尋常でない。色彩豊かで騒々しいシーンもさることながら、闇夜や静寂といったシーンからも息苦しくなるまでの強烈な圧がのしかかり逃れられない。誰もが視覚と聴覚を完全に支配されてしまうことだろう。そういう意味でザ・映画とでも呼びたくなる作品。
魔物
『ゴッドファーザー』に並ぶフランシス・フォード・コッポラの代表作、ベトナム戦争映画の名作…なんて言わずもがな。
“衝撃作”“問題作”“伝説の…”という言葉は本作の為にあるかのよう。
ワーグナーの『ワルキューレ』に乗せてヘリ部隊がベトコンの村を奇襲するシーンは何度見て聞いてもしびれる。その後他の作品でこのシーンを何度見た事か。
それにしても、いつも思うが、“地獄の黙示録”という、これに匹敵する強烈な邦題は無い。
これほど異質な戦争映画も他に無い。
“地獄”への入り口は入り易い。
主人公のウィラード大尉に軍上層部から、カンボジアのジャングル奥地に自らの帝国を築いたカーツ大佐の抹殺を命じられる。
だが、スリルとエンタメの任務遂行戦争アクションの醍醐味は微塵も無い。一体我々は、何を見せられているのか。
非道な命令を下す軍上層部、序盤は気を病んでると思ったウィラードすらまともに見えてくる。
ロバート・デュヴァル演じるヘリ部隊の隊長、キルゴア。
サーフィンがしたいが為にベトコンの村を焼き払う。
ウィラードが言う通り、何故キルゴアは許されてカーツは許されない?
ジャングル奥地で開かれたセクシー美女たちの慰問ショーに狂喜する兵たち。
ウィラードに同行する若い兵たちもとても極秘任務に適しているとは思えない。
理性などとっくに無い。
元々疲弊し、異常な光景を次々と目の当たりにしたウィラードにとって、遂に出会った何処かカリスマ性あるカーツの思想に傾倒し始めるのも無理はない。
それは一種のマインドコントロールだったかもしれないが、こんな異常の中では、正気を保つ為に何かにすがりたい。
カーツも同じだったかもしれない。
客観的に見ればキチ○イ思想の宗教団体の開祖だが、どんな野蛮な行為も許される戦争に加担した自らの善と悪への答えの無い問い掛け。
カーツはこのベトナム戦争でおかしくなった。
アメリカ史上最悪と言われた泥沼戦争。
最後、ウィラードは任務を遂行し、帰途に着く。が、その後の彼を思うと戦慄する。一生この地獄に苦しめ続けられるだろう。
“帝国”に取り残された現地人たち。
死を望みながら、死の間際、“恐怖”を見たカーツ。
勝者も、善悪も、何も無い。
あったのは、誰もが狂気の中に抱いた“恐怖”のみ…。
怪優と呼ぶがぴったりのマーロン・ブランドの憑依、映像や音楽のインパクトも凄まじいが、本作の全てを理解する事は到底不可能。
どんなに映画に精通している批評家だろうと映画人だろうと映画ファンだろうと。
各々抱いた感想は、的を得ているし、見当外れでもある。
コッポラすら製作していながら、自分が何を作っているのか分からなくなったという。
本作の後、コッポラは長らくスランプに。言わば、コッポラは一度“死んだ”。
魂を奪われるほどの、コッポラは『地獄の黙示録』という魔物を産み出した。
崩壊した道徳
1970年のベトナム戦争下。
辛くも戦火を生き延びサイゴンにて休養を取るも、平和な日常にフラストレーションを募らせ、戦場へ戻ることを渇望していたウィラード大尉。
そんな彼に軍上層部からベトナムの奥地にて独裁国家を築き上げたカーツ大佐を暗殺せよとの極秘指令が下る。
再び戦場へ降り立ったウィラード大尉が目撃した戦場での狂気の連続とたどり着いたカーツ大佐の圧倒的な存在感を描いた戦争映画。
戦争映画は正直苦手だ。
気分が暗くなってしまう。
さらに言えば自分の戦争に関する教養のなさも相俟って話がよくわからないといった具合になってしまうことも多々ある。
そのため普段あまり観ないのだがせっかくの併映なので鑑賞。
一言で言えば狂っていた。
冒頭の主人公の戦場に戻りたい欲が強すぎる時点で狂っていたが、いざ戦場に戻ってみたらもっと狂っている人間がごまんといてイかれてんなと感じた笑。
戦場に戻った最初の地点で出会った指揮官キルゴア中佐。戦況の簡単な説明を爆弾銃弾飛び交う戦場を闊歩しながらキビキビとした口調で語り、夜は部下とともにその日の戦果を語り合うも、思いがけず飛び出した自身の趣味であるサーフィンの話から凄腕サーファーであるウィラードに同行していたランスと意気投合。
サーフィン欲を抑えられなくなったキルゴア中佐は良い波が来ると部下がいうベトコンの拠点となっているヤバイ地点を目指す。
ベトコンはサーフィンをしないだろ!!!
と部下を一喝し、爆音でワーグナーをかけながらヘリ総出で銃撃爆撃の雨あられ。辺り一帯が焼け野原と化し、サーフィンを楽し(まなきゃダメな雰囲気にされる)む部下たちを満足げに眺める上裸のキルゴア中佐。呆然と立ち尽くすウィラードら一行に一言。
朝のナパーム弾の匂いは格別だ
この間およそ30分足らず。
なんだこの存在感とむちゃくちゃさ笑。
まさかハートマン軍曹と肩を並べるクラスの狂人が登場する戦争映画がフルメタルジャケット以外に存在するとは思わなかった笑。。
正直このあとはうろ覚え笑。
川の途中に設けられた特設ステージにて招致されたプレイメイトたちに発狂する男どもやだんだんイかれていくクルーたちなどの面白い演出もあったが、肝心のラスト前に寝た笑。
マーロンブランドがいつ出るんだろうと思いながら観てたがおよそ1時間半くらいしてとうとう登場。
丸ハゲの頭に憂鬱な表情で闇の中からぬっと現れる何をしでかすかわからかい緊張感の凄さ。
この俳優は本当に雰囲気がすごい。
ただ立ってるだけで演技になるといわれる役者がいるが多分この人もそんな人種だろう。
ただ低くしゃがれためちゃくちゃカッコいい声なんだがこれが逆に眠気を誘う笑。
かつてゴットファーザー3部作、合計時間538分という狂気のオールナイトにて彼の演技を初めて観たが1にしてほぼ寝た笑。
凄いと思うのだが映画館で観ると眠気にやられてしまう。そういうタイプの俳優(どんな)
時間置いてもっかい観たいなこの作品も。
凄まじいの一言に尽きる
語り継がれている映画だけあって、すごい作品だった。
有名なワルキューレの騎行の爆撃シーンをはじめ、とにかく映像のインパクトが凄まじい。死体が転がりまくりのカーツ大佐の王国のヤバさとか、カーツ大佐自身の異様なまでに陰影のついた描写とか、脳裏にこびりついて離れない。内容も含めあまりに非日常なので、映画館で観るから印象に残る、とも言えるかもしれない。
狂気と恐怖が蔓延した映画だが、実はメインの登場人物はみな本質的には正常で普通の人たちなのかな、と感じた。
登場人物の誰もが、戦争に意味を見出していない。だからか、カーツもキルゴアもウィラードも、誰もが恐怖を克服できない。キルゴアは躁的な防衛だし、ウィラードは麻痺して投げやりになっている。カーツは虚無に支配されている。
意味のない殺し合いを続けていけば、当然気がおかしくなる。元々彼らは常識的な人たちなので、恐怖に支配されて気が狂ってしまったのだと思う。
恐怖を克服するには、自身の行動が意味のあるものだと感じる必要がある。戦争で意味を見いだす人たちは、狂信がないと無理だと思うし、それこそが真の狂気だろう。カーツは虚無がキツすぎて意味を見出そうとして、その結果、戦争を終わらせるために狂信的な兵士を作り出そうとまでしている。
誰もが正義などに酔っていないので、元々はみんなデリカシーがある人たちなのかな、という印象さえ持った。
地獄の黙示録とはよく名付けたものだ。邦題のセンスに脱帽です。
カオスをフィルムに残すことに成功
自宅モニターでしか観たことなかったので劇場へ。
いや~すげえとしか言いようのないシーンの連続。異様な高揚感と臨場感。やはりこの手の映画は大画面と良い音響に限る!
語りつくされてるとは思うけど、この映画 “ベトナム戦争もの” ではないと思う。
監督コッポラが己の中で夢想したベトナム戦争。それを途方も無い金と時間と労力をかけて作り上げた。だからこれを正攻法で語ってもあまり意味がない、のではないかな。
狂気の中で狂気に取り付かれた男とそれを探すうちにまた狂気に魅入られた男、の話として最高かと思います。
映画か、戦争か
映画を観ている気分ではなかった。
自分は戦争を見ていたのだ。
まさに戦場にいるような狂気が
画面から強烈に溢れている。
「ワルキューレの騎行」に始まる
殲滅戦は凄まじい。
荘厳な曲と虐殺シーンとの絶妙な
ミスマッチが言葉では表せない
戦争の凄惨な雰囲気を醸し出している。
しかし後半はよくわからなかった。
前半は本当に素晴らしかったが、
映画としてのまとまりはあまり良くないと思う。
個人的に好きなセリフが1つ。
「ハラワタが出るまで
戦う奴には俺の水をやる!」
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