3人のエンジェル
劇場公開日:1996年6月8日
解説
大陸横断の旅に出た心優しき3人のドラッグ・クイーン(女装のゲイ)の珍道中を描いたハートフル・コメディ。主演の3人の男優たちの女装ぶりと演技力、そしてそれを支える確かな演出が見どころ。監督は「迷子の大人たち」の女性監督ビーバン・キドロン。脚本はオフ・ブロードウェイの舞台出身で、これが初の劇場用映画となるダグラス・カーター・ビーン、製作は「きっと忘れない」のG・マック・ブラウン、エグゼクティヴ・プロデューサーはブルース・コーエン。撮影は「ダンシング・ヒーロー」のスティーヴ・メイソン、美術は「ブロンクス物語」のウィン・トーマス、編集はアンドリュー・モンドシェイン、カラフルな衣裳は「激流」のマルレーネ・スチュワート。音楽はレイチェル・ポートマンがスコアを書き、ハッピー・ウォルターズとピラー・マッカリーの監修の下、チャカ・カーンの『Free Yourself』、TVドラマ『ワンダーウーマン』のテーマなどのヒット曲が旅を盛り上げる。また、絢爛たるステージ場面の振付は「ダンシング・ヒーロー」のケニー・オルテガが担当。主演は「シティ・オブ・ジョイ」のパトリック・スウェイジ、「マネートレイン」のウェズリー・スナイプス、「カリートの道」のジョン・レグイザモ。この演技で、スウェイジはゴールデン・グローブ賞主演男優賞、レグイザモも同じく助演男優賞にノミネートされた。共演は「アンカーウーマン」のストッカード・チャニング、「サウス・キャロライナ 愛と追憶の彼方」のブライス・ダナー、「ナチュラル・ボーン・キラーズ」のアーリス・ハワード、「トゥルー・ロマンス」のクリス・ペン、「クルックリン」にも出演したドラッグ・クイーンのル・ポールほか。また、TVドラマ『バットマン』の初代キャット・ウーマン役で有名な往年のグラマー女優ジュリー・ニューマーが彼女自身の役で出演し、「9か月」のロビン・ウィリアムズがカメオ出演している。
1996年製作/アメリカ
原題または英題:To Wong Foo, Thanks For Everythihng! Julie Newmar
配給:UIP
劇場公開日:1996年6月8日
ストーリー
ドラッグ・クイーン・コンテストのN.Y.地区予選を勝ち抜いたノグジーマ(ウェズリー・スナイプス)とヴィーダ(パトリック・スウェイジ)は、ハリウッドで開催される全国大会への出場権を手にした。ノグジーマは、優勝を逃して泣いていた半人前のチチ(ジョン・レグイザモ)を一緒にハリウッドに連れていき、美しい蝶にしてやろうと提案。2人分の航空券を売ってポンコツのキャデラックを手に入れ、憧れの女優ジュリー・ニューマーの写真をお守り代わりに、3人は西に向かって旅立った。格式ある家に生まれたヴィーダは今は勘当同然の身で、3人の車がたまたま実家の前を通りがかった時も、彼女は遠くから母の姿に目をやるだけだった。ノグジーマとヴィーダは旅をしながらチチに、一流のドラッグ・クイーンになる4つの関門を教える。その1「心意気」をクリアしてその気になったチチは、門前払いを恐れる2人の先頭に立って堂々とモーテルに入れ、第2関門「苦難はぶっとばせ」も見事に突破した。だが、ネブラスカ州に差しかかったところで、職権を乱用して不埒な行動に及ぼうとしたドラード保安官(クリス・ペン)をノックアウトした彼女たちは、相手が死んだものと思い込み、あわてて逃げる。しばらくして車がエンコし、親切なヒッチハイクで知り合った青年ボビー・レイ(ジェイソン・ロンドン)のお陰で3人は田舎町スナイダービルにたどり着き、車の修理が終わるまで町に滞在することに。町の人々は、都会から来た“デッカイ美女”たちを物珍しそうに眺め回す。ヴィーダは夫ヴァージルの暴力に耐えるホテルの女将キャロル・アン(ストッカード・チャニング)と仲良くなり、彼女を励ます。3人の闖入者に刺激され、町はにわかに活気を取り戻す。失語症になっていた老婆クララはノグジーマの話に反応して、突然喋り始めた。ジミー・ジョーの店もいつしかシャレたカフェに衣替え。女たちはヴィーダの手ほどきで化粧をし、ノグジーマのセンスで60年代ファッションに変身。一方、息を吹き返したドラードは、血眼になって3人の行方を追っていた。そんなこととは知らず、チチはボビー・レイに恋するが、町の娘ボビー・リーの片思いの相手が彼だと知る。自分が男である以上、この恋は成就できないと悟ったチチは身を引き、第3の関門「耐え忍ぶことを学べ」を泣く泣く越えるのだった。3日が過ぎ、車の故障が直り、3人は町を去ることにした。キャロル・アンは自分の新しい生き方を教えてくれたヴィーダに、今、かけがいのない友情を感じていた。彼女は3人が男であることは、初めから気づいていたという。その時、ドラードがヴァージルと町に乗り込んできた。「彼らは変態のゲイだ」と叫ぶドラードに、真っ赤な衣裳に身を包んだ町の人々が一丸となって立ち上がり「それのどこがいけないの」と3人を守って追い返した。この日は町を挙げての「イチゴ祭り」の日で、3人は人々と陽気に騒いで町を去った。いよいよコンテストの当日。見事優勝したのは第4の関門を突破し、美しくなったチチ。優勝の冠を授与したのは、本物のジュリー・ニューマーだった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ビーバン・キドロン
- 脚本
- ダグラス・カーター・ビーン
- 製作総指揮
- ブルース・コーエン
- 製作
- G・マック・ブラウン
- 撮影
- スティーヴ・メイソン
- 美術
- ウィン・トーマス
- 音楽
- レイチェル・ポートマン
- 音楽監修
- ハッピー・ウォルターズ
- ピラー・マッカリー
- 編集
- アンドリュー・モンドシェイン
- 衣装デザイン
- マーリーン・スチュワート
- 振り付け
- ケニー・オルテガ
- 字幕
- 古田由紀子
受賞歴
第53回 ゴールデングローブ賞(1996年)
ノミネート
最優秀主演男優賞(コメディ/ミュージカル) | パトリック・スウェイジ |
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最優秀助演男優賞 | ジョン・レグイザモ |