ゴダールの決別

劇場公開日:

ゴダールの決別

解説

フランスの名匠ジャン=リュック・ゴダールが人気俳優ジェラール・ドパルデューを主演に迎え、ギリシャ神話のゼウス神が人間の肉体を借りて人妻と関係を結んだというエピソードに着想を得て撮りあげたドラマ。

スイス、レマン湖のほとりの小さな町で暮らす平凡な夫婦シモンとラシェル。ある晩、ラシェルは帰宅した夫がまるで別人のようだと感じる。シモンはラシェルに、自分はシモンの身体に乗り移った神であると告げ、天地創造の秘密を語りはじめる。

共演は「愛の昼下がり」のベルナール・ベルレー、「フランスの女」のローランス・マスリア。

1993年製作/84分/フラン・ススイス合作
原題または英題:Helas pour moi
配給:マーメイドフィルム、コピアポア・フィルム
劇場公開日:2023年4月29日

その他の公開日:1994年9月3日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

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ALAS FOR ME (C)1993-STUDIOCANAL IMAGE

映画レビュー

3.5神ゼウスと人妻が浮気するという神話をゴダールが現代に置き換えた物語...

2023年5月12日
iPhoneアプリから投稿

神ゼウスと人妻が浮気するという神話をゴダールが現代に置き換えた物語。

終盤、シモンの身体を借りたゼウスが、Simon Donnadieuと名前を書く箇所にサインする。これは、Si m'on donne à Dieu、日本語訳すると、「もしわが身を神に捧げるなら」という意味らしい。
この物語は、この一言に収斂するための物語なのかもしれない、
神はその名前の中に、人間より高次の存在であるということを内包している。

神と交わることになる人妻は、水とともに描写される女性だった。神話では、よくニンフや女神が水浴びをしているから、水は人間を神の存在に近づける役割を担っているのかもしれない。とりわけ湖の映像が美しかった、

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imymay

3.5なんで、決別?

2023年5月11日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

最初の公開を見逃してから、もう約30年(マジか…)
ゴダールは映画館でないとダメなので、やっと観ることが出来た。
流石、相変わらず名ショット続出ではある。

「夫/創造主」の「存在/不在」→「見える/見えない」のイマージュの神秘の暗示。これがキーかな。
その神秘の空白を埋めるために、編集者が調査に訪れるという設定になっていたが、出来れば編集者を狂言回しとしてフィーチャーさせて、ミステリーの謎解きのようなプロットにした方が面白かった気もする。

ドパルデューは適役だったとは思うけど、人妻の方は、もっと他にも色々いたんでは?
出来れば、ユペールだったらなあ〜
ピッタリだったんじゃない?
元のギリシャ神話では、人妻のアルクメーネーは絶世の美女なんだけど。
「私は美人ではない」→ ドパルデューもそれに同意する… なんて流れになっちゃてるし。
それじゃ、ゼウスの話にならんよ。
まあ、ゴダールなんで、ストレートにギリシャ神話を語るはずも無いが…
とはいえ、神話ベースなら、基本中の基本設定は変えて欲しくは無かった。

ちなみに今回、ゴダールは、イタリアの詩人ジャコモ・レオパルディの哲学的散文『オペレッテ・モラーリ』冒頭「人類の歴史」から、この映画の着想を得ているらしい。
この散文は、まだ読んでないが、たぶん、古代ギリシャ哲学における真理から照準を合わせ、キリスト教的精神論をスナイパーの如く撃っているような気が… 違うか?

また、今回も断片的な引用が横溢しているが、ドイツの哲学者ヴァルター・ベンヤミンなど(アウラの凋落?)相変わらず近代ヨーロッパのフィロソフィーに関するフレーズが散りばめられている。
キリスト教の三位一体も繰り返し出てきたが、これらが、いつもの美しいゴダール印の映像詩となって、バッハやチャイコフスキーなど(演奏は、キース・ジャレットや、キム・カシュカシャン)と共に音楽的に響いていく。

よって、今回も映画という時間芸術を駆使したポエトリー。
文芸作品や哲学やキリスト教からの引用もある以上、西洋の教養は、あるに越したことはないが、論理や理性にのみ頼って読み解くのは全くナンセンス。
音楽と一体となって、詩として感じられるか?どうか?なのだが…
正直なところ、美しいシーンが続出とはいえ、他のゴダールの作品と比べて、圧倒的に鮮烈で美しいという程ではない。
あまり過度な期待はしない方がいい。

あと、やっぱり、ギャグやユーモアの足りないゴダールは…
まあ、悪くはないが、やはり何かが足りない気はする。

しかし、なんで、邦題を『ゴダールの決別』にしちゃったかね?
原題を野暮に直訳する必要などないが「決別」という言葉が、本作の内容と全くリンクしていない。
ホントわけわからん。

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osmt

3.0ゴダールから訣別したい

2021年12月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

興奮

知的

難しい

小説の一節から言葉を選ぶように哲学をセリフとしているような演出と、それぞれ登場人物たちの会話が成り立っているのかすら理解不能、合間に挟まれる語りが被さり、映画としての物語が破綻している映画としての芸術??

無愛想な男たち、物語に関係がないような女性たち、そんな女性たちを描くゴダール、一人ひとりが魅力的に映る、女性を描く手腕に長けたゴダールと観る人を選ぶかのようなゴダール。

ゴダールの世界観に浸れる丁度良い上映時間でありながらも、理解する事が困難でもある時間を過ごす感覚。

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万年 東一