「印象に残った「ゴンドラの唄」」生きる(1952) ジョニーデブさんの映画レビュー(感想・評価)
印象に残った「ゴンドラの唄」
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いのち短し恋せよおとめ・・・で始まる「ゴンドラの唄」を、この映画で一番印象に残るブランコのシーンで主人公が歌うが、今回、数十年ぶりの再見で、このシーンのほかに2箇所で使われていたことに気づいた。 1つは、胃癌と悟った直後に、たまたま居酒屋で知り合った小説家と繁華街を渡り歩いて、その途中のキャバレーで、そこのピアニストへリクエストして、ライブのピアノ伴奏で主人公が泣きながら歌うシーン。もう一つは音楽のみであるが、ラストで、主人公を一番理解していた市役所の同僚(木村)が橋の上から児童公園を見下ろすシーンで流れる。
今回の再見で気になったのが、主人公の通夜のシーンがちょっと長すぎる。しかもみんな酔っ払っていて(しらふの人もいるが)、みんな酔っ払いの演技が実にうまい。うまい「演技」なのである。何を言いたいかと言うと、本当に酔っ払っているように思える一方で、でも、これって演技なんだよなと思って、やや引いてしまうのである。比較するのもちょっと恐れ多いが、「東京物語」の中で、東野英治郎や笠智衆が酔っ払っている時にような「自然さ」を感じないのである。
あと、先に述べた小説家や、彼に生きようとするきっかけをくれた市役所を退職した若い女性が来なかったのはちょっと寂しい気がした。
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