劇場公開日 1952年10月9日

生きる(1952)のレビュー・感想・評価

全91件中、1~20件目を表示

4.0わたしはそんな風に・・・ひとつ・・・生きて・・・死にたい。 いや、それでなければ・・・とても・・・死ねない。

2023年2月19日
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鑑賞方法:VOD

生きることと、ただ生かされることは明確に違う。
役所で波風立てず、ただどうでもいい事務仕事をこなし、それなりの役職で定年の30年を迎えることが人生の最終ゴールなのか。生活の糧を得るためなら、空虚なことを空虚だと思わず、疑問にも疑問だと声をあげず、感情は奥底に封印し、ただ死んだような目でやり過ごすことが模範的な組織人の姿なのか。

同じような宣告をされたとき 「私の人生は何だったんだ。。」と後悔する場面を想像すると背筋がゾッとする。

「面白くない仕事やけど、家族のためにも定年までなんとかしがみつくか。 それなりの給料もらえるし。 目つけられるとやっかいだから、疑義も唱えずイエスマンでさ。。。」
こう思いながら過ごす日々は、ぜんぜん楽しくなかった。でもこれが賢い大人の選択だと思い込もうとしていた。 この状態でもし死んだら、自分は成仏できるだろうか。

いつまでも体の中にしこりのように残る映画だ。それも相当に熱いしこりで。

※意外にも、渡辺は中盤であっさり退場する。そこから通夜に参列した者たちによる回想で展開する。こういう斬新な構成やカット割など令和のこの時代でも全く古臭さを感じず新鮮味さえ感じる、実に面白い。「羅生門」を観た時も思ったが、黒澤監督が「世界の黒澤」といわれていることに、ものすごく腹落ちする映画である。と同時に、世界の映画人がこういう機微や面白さをちゃんと捉える感性であることを嬉しく思う。

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momokichi

4.0生きている今を考える!

2025年3月19日
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悲しい

興奮

難しい

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ratien

4.550代ですが、初めて観た。 ストーリーはわかりやすい。死を意識し始...

2025年3月11日
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50代ですが、初めて観た。

ストーリーはわかりやすい。死を意識し始めて、生を知る。

享楽は自分しか満たされないが、虚しい。

人は人の幸せに生きることで、自分も幸せを感じる生き物なのだ。

仕事もそう、子育てもそう。

いのち短し恋せよ少女〜、いい唄だね。

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藤崎敬太

3.5生きるとは、誰かの為に何かをする事だろうか

2025年3月10日
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泣ける

難しい

【イントロダクション】
胃癌によって余命幾許もないと悟った市役所の市民課長が、残された人生の中で「生きる」意味を求め、やがて自らの使命に奔走する姿を巨匠・黒澤明が描く。東宝創立20周年記念作品。

【ストーリー】
市役所で市民課長を務める渡辺勘治は、かつて持っていた仕事への情熱も失せ、来る日も来る日も、書類に判子を押すだけの「死んだ」日々を過ごしていた。住民による苦情や要望も、「その担当は○○部署です」とたらい回しにされる現状。

ある日、かねてから胃の調子に違和感を抱いていた渡辺は、あと一月で“30年間無遅刻・無欠勤”という皆勤記録が控えていたにも拘らず、休暇を取って病院に向かう。渡辺は、院内事情に詳しい患者から、「軽い胃潰瘍だと言われたら胃癌の証拠」と告げられる。案の定、医師から告げられた結果は、軽い胃潰瘍だった。

自分の死期を悟り、自暴自棄になった渡辺は、職場へ欠勤届も出さず、貯金から5万円を引き出して夜の街へ向かう。飲み屋で偶然知り合った小説家に事情を話すと、彼は渡辺に夜の街を案内する。しかし、一時の放蕩に虚しさを覚えた渡辺は、街を後にする。

後日、街を歩いていた渡辺は、職場の部下である小田切とよと偶然出会う。その日以降、何度か食事を重ねる中で、渡辺はとよの奔走さと活力に満ちた生き方に惹きつけられる。やがて、とよは玩具会社の工場作業員に転職した。自分が胃癌であることを伝えると、とよは工場で作っている玩具を見せて「あなたも何か作ってみたら」と勧める。渡辺は「まだ出来ることがある」と気付き、市役所に復帰する。

それから5ヶ月後、渡辺は胃癌によってこの世を去った。通夜の席にて、同僚達はまるで人が変わったかのように、住民の要望であった公園作りの為に5ヶ月間奔走し続けた渡辺について語り出した。

【感想】
志村喬のボソボソと喋る演技は、これまで長いものに巻かれ、自分の意思を封じ込め、流されて生きてきた事をよく表している。ギョロッとした目の演技も特徴的で、ともすれば不気味ですらある。

余命を悟り、半ばヤケクソに夜の街へ繰り出す渡辺。しかし、これまで真面目に生きてきた、何もしてこなかった渡辺は、どう遊び、どう金を使えばいいかが分からない。小説家に案内され、パチンコにバー、ストリップショーと、歓楽街をあちこち行き来する。この一連のシーンに漂う、華やかさの裏にある虚しさが良い。ダンスホールで渡辺が『ゴンドラの唄』を歌う瞬間の、周囲のドン引きも他所に、瞳に涙を浮かべ「いのち短し 恋せよ乙女」と口ずさむ姿が印象的。

とよとの出会いを境に、彼女の生き方に惹きつけられていく渡辺の姿は、答えを求めて縋り付くかのよう。とよの言葉を受け、何かを悟った様子で、カフェの階段を駆け降りる渡辺。別の客の誕生日パーティーと重なった為、階段を駆け降りる際に、皆が「Happy Birthday To You〜♫」と合唱しているのだが、その様子はまるで、ようやく「生きる目的」を得た渡辺の人生における“第二の誕生”の瞬間を祝福しているかのよう。

ラストで雪降る公園のブランコに座り、『ゴンドラの唄』を口ずさむ渡辺の中には、どんな感情があったのだろうか。最後の仕事をやり遂げた達成感か、自らに再び生きる気力を取り戻させてくれたとよへの感謝か、息子夫婦に対する別れの意思か…。
渡辺の表情を真正面から捉えたショットが実に美しい。

通夜の翌日、渡辺の“最期の輝き”にあれだけ胸を打たれた同僚達は、再び「何もしない」というお役所仕事に戻っている。しかし、渡辺が尽力して作り上げた公園では、沢山の子供達が遊びはしゃいでいた。彼の最期の日々が織りなしたものは、誰かの為になっていたのだ。

小説家役の伊藤雄之介の演技も素晴らしく、時に渡辺の身を案じる表情を浮かべた瞬間が印象的。

【総評】
生きるとは、何だろうか?誰かの為に、何かをする事だろうか?その為に、自分には何が出来るだろうか?
古い作品ながら、作品の持つ普遍的なテーマは、今を生きる我々にも深く突き刺さる。

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緋里阿 純

5.0タイトル無し

2025年1月1日
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Rocky.

5.0昔観て感想書いて無かったシリーズ❤️‍🔥

2024年10月29日
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あまりにも古い作品で中々見る気にならなかったんですが20年くらい前に名作だと言う事で鑑賞したんですが
ストーリー展開が良くて飽きずに最後まで見れたし死んだ後の葬式での会話からが面白くなるんだよなあ🥹
志村さんのあの目力👀🔥は圧巻です!
やはり名作と言われる作品は古いとか好きなジャンルじゃないとか全く関係ないのを再確認できましたよ🫡
あと超有名なあのブランコのシーンは最高ですね(北斗の拳のアミバが 足が勝手にいー😱とかいいながら落下して死ぬシーンくらいの名場面😭)

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お主ナトゥはご存じか2.1ver.

5.0重い。が、普遍的なテーマ。

2024年6月15日
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泣ける

知的

幸せ

「生きる」とは。人が何を以てして「生」とするか。時代によって考え方は違えども、人は考えざるを得ないのです。

そんな普遍的なテーマを描いた黒澤映画。役所勤めの余命短い哀れな中年男性が、試行錯誤と自分とは正反対な女性との出会いにより人生に意味を見出すお話。ストーリー構成が素晴らしく、後半の通夜の場面はモヤモヤしつつも見入ってしまいました。

主人公渡辺が見出した「生」とは。キリストを絡めたセリフがあったり、なんだかトルストイっぽいなぁ、と思って観ていたんですが、原作トルストイだそうで。とはいえ、その「イワン・イリッチの死」は読んだ事ないのですが…。トルストイは他の著書で「人間の生命は幸福への志向であり、その志向するものは人間に与えられているのである。」「もし人が、他の個人も生きていることを知らず、自分もやがて死ぬ身であることも知らずに生存しているとしたら、その人は、自分が生きていることさえ知らないのである。」なんて言ってますが、あー!もう!難しい!(笑)そんな難しい話を黒澤明がこの「生きる」にまとめてくれてます!

主演は志村喬。黒澤映画に欠かせない存在ですが、本作での演技は少しクセが強く、それがまた渡辺の性格や人生そのものを表現していて非常に引き込まれます。「ゴンドラの唄」を歌うシーンが2度ありますが、その対比が素晴らしい!あー思い出しただけで泣けてくる…。

この重いテーマを一本の映画に落とし込んだ黒澤明は凄い。それを演技で表現した志村喬も凄い。「生きる」を観たことは私の人生に少なからず、影響を与えるのは間違いない。

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吹雪まんじゅう

3.5余命宣告されたなら

2024年5月27日
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悲しい

難しい

・余命宣告されたら、残された時間をどう生きるか。考えさせられる。
・お役所体質を痛烈に批判している。それは現代にも通じる。
・余命宣告された人間にとって飲む、打つ、買うは虚しい行為なのだろう。

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ひろ4

4.0人間の悲哀がひしひしと伝わる

2024年3月4日
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ただ日々を何事もなく過ぎさるのを
繰り返す。目的も目標もなく生きる。
妻に先立たれ、残された息子だけが
生きる生きがい。その息子も大きくなり
独り立ちし、嫁を貰い幸せを手に入れた。
生きがいもなくなり、日々が過ぎるだけ。

胃がんと悟り、今までの自分の人生を
振り返るが何も無い。何も成し遂げていない。
何のために生きてきたのかわからない。
何のために生まれてきたのか。
死ぬまでに生きたという実感を味わいたい。

究極の「生」というものを見られる映画。

70年も前の映画なのに
役所に対する捉え方が今と
変わらないことにゾっとしました。

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to

5.0残りの力で

2024年2月17日
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りか

4.0古き良き時代のファンタジー

2024年2月8日
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泣ける

悲しい

市役所市民課長が胃ガンの余命宣告され、それまでの死んだような仕事ぶり、人生を悔い、享楽の果てに自分のなすべき仕事を見つけ最後の命を注ぐ物語。主人公を演じる志村喬さんの表情、姿勢、セリフなど一つ一つが切なく胸に迫り苦しくなります。

黒澤明&橋本忍の体制への批判、皮肉に富んだ脚本、構成はやっぱりさすがです。ただ、主人公が愛情を注ぐ息子の設定がしっくりきませんでした。すでに成人し、結婚もしている息子へあれほどの慕情がわくのか。当時は子離れのタイミングはもっと早いのではないかとか。むしろ娘にして、初恋や結婚に揺れる設定だったらどうだったのかな~と思いました。

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sakaru

4.5お斎の席で渡辺の謎の行動が解き明かされていく

2024年2月3日
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公開は1952年。
その7年前の戦時中であらば「生きる」意味はまったく変わっていた。
ガンの宣告は今では当たり前だが、つい最近まで
精神的な負荷を考えて本人に宣告をすることは稀だった。

死と向き合うことは人生の一大事だが、
戦争ではなく、病気と向き合って死に行くという、
当たり前の日常を新鮮に描いている。

まだ戦後復興の槌音が響く平和の時代を背景に、
登場した事なかれで無気力な役人や、裏社会と結びつく幹部。
平和の中にこそ芽生えた新たな社会の病理を描くことで
新たな時代の生き方を浮き彫りにした作品といえる。

今では見られなくなった自宅で催されるお斎の席上には
渡辺と最後の時間を共有した人々が次々と訪れ、
渡辺(志村喬)の謎だらけの行動が徐々に解き明かされていく。
同僚の役人たちが渡辺の生き方に絆されていく場面は、実に圧巻である。

渡辺が示した生き方。実は多くの日本人が共有していたといえる。
それが奇跡の復興とその後の高度成長をもたらした、
といってよいのではないだろうか。

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2nd Life Stories

4.0音声が

2024年1月14日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

悲しい

楽しい

 1950年頃、市役所市民課課長渡辺は、勤務30年「忙しく退屈」に仕事をし、真面目で無気力な毎日を過ごしていた。そんなとき、自分が胃ガンであることを自覚する。彼は無断欠勤、知り合った作家と盛り場で放蕩、転職をしようとしていた部下の若いとよと出かけたりする。そして残りの時間で、自分ができることを。
 ずいぶん前に観賞しましたが、音声がひどくて感動がそがれた思いがありました。今回は字幕で観賞、より深くしっかり感動できました。
 そして最近イギリスのリメイク版「生きる LIVING」を観賞。文化の違いがわかりやすいです。当時の日本は、ガンの宣告が一般的では無かったですね。
 序盤の市役所内でのたらいまわしのひどさや、病院で医者が待合室の患者と同じことを言うところは、黒澤明流のコメディのシーン。そして~命短し~と歌うところは、泣けてきます。
 息子役は金子信雄だったのか、後の仁義なき戦いシリーズとは随分イメージが違います。今作の多くの俳優が、2年後の「七人の侍」に出演。合わせて観ると、また面白いと思います。

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sironabe

5.0さすが、クロサワ。「生きる」という重いテーマが心に響く

2024年1月14日
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泣ける

悲しい

知的

全体のプロットがとてもうまくできていて、セリフやナレーション、場面展開もうまく最高級の脚本だと思った。特に後半の回想シーンで“生きる主人公”を描くところは、「いろいろな見方ができる」と観ている人に提示してから、「本当に生きるというのは、こうゆう姿を言うのではないか?」と考えさせるようになっていて、すごいと思う。

冒頭の「死んでいるも同然の主人公」の描き方、志村喬の力のない演技が上手かった。動かない役所という社会問題もリアリティをもって伝わってくる。「生きる」を伝えるために「死んでいる状態」を描いて、対比が際立つようになっている。

自分の運命を悟った主人公が、先ず享楽へ走るところも、きっかけに小説家を使う展開が自然でうまい。絶望した主人公が「楽しいことをしよう」というのはよくある展開だが、この『生きる』がその元祖なのかもしれないと思った。

主人公がこころを入れ替える場面もよくできていた。「活力にあふれ、まさに生きている若い女性」からヒントをもらうのだが、そのヒントが「なるほど。確かにそうだ」と思えるヒントで説得力があった。主人公が生きるという意味を必死に求めて、女性に顔を近づけつつ強い気持ちを訴える演出も良かった。

この映画のラスボスは、役所のトップの助役だろう。公園を実現するための最大の壁。門前払いのような扱いを受け、助役が他の客と雑談を始める場面は、こう言われたらであきらめない人はいないだろうと思わせる。それでも、低姿勢でありながら鬼気せまる表情で「・・是非・・もう一度ご一考を」と迫る。今は怖いものがない。ここで諦めたら、自分が生きた意味がなくなるという強い思いが普通はできないことをさせる。迫力があり、こころに響く場面だった。

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p.f.naga

5.0さすが黒澤明

2024年1月12日
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泣ける

知的

難しい

簡単ではない。普通なら渡辺さんはやり遂げたと雪のブランコで終わらせて感動物語にするところを、黒澤はそうしない。通夜の席であれほど渡辺さんに続いて俺たちも変わろう!と言っていた公務員たちが、日常に戻ればまた市民の訴えをたらい回しにするお役所仕事をしている苦いラスト。題名の生きると雪の中のブランコの名シーンから想像する分かりやすい泣ける感動映画ではない。何回も観て、歳を経て分かる深い映画。

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ブロディー署長

3.0そりゃ既視感あるわな

2024年1月10日
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プライア

4.0生きた屍のようだ

2024年1月9日
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生きているのか死んでいるのかも分からないような人たちはたくさんいる。自分もそう。近頃全くそういう風に感じていたからこそ、改めてそう思う。
このままじゃダメだ!と誓いを新たにしてものの数日でまたミイラのような生活に戻った事など数知れず。
良い映画だ、素晴らしい、傑作だなんて言っても観た人自身が少しでも人生を良くしてかなければ全く意味がない。

後半に描かれた役所の人たちが想いを新たに一致団結したにも関わらずまたミイラとなったラストが実に象徴的。

この映画を観て、ひとつ一つちゃんと自分の人生を思いっきり生きてみようと思いました。

黒澤明監督、ありがとう。

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ヨーク

4.5素晴しい

2024年1月8日
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初めて黒澤作品を鑑賞した。

昭和初期の映画の特徴として、本作品もモノクロの画面に早い台詞回し。特に前半は女性の言葉がなかなか聞き取れなくて、ストーリーについていけてるのか不安になった。

途中までは不安だったが、ラストの45分間は画面に釘付けに。
脚本も演技者も市井の人をリアルに描き、無音のシーンも画面からそれぞれの気持ちを深く表していた。

主演の志村喬の演技は映画の冒頭から素晴らしく、大きな目に様々な感情が浮かんでいた。終盤、人生をかけた仕事に向かう背中に、大きな覚悟と哀愁を感じた。

本作品を見ながら自分自身や家族や、いずれ誰もが向かい合う老いや死に、想いを馳せずにはいられなかった。

素晴しい作品

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ニモ

5.0黒澤明監督の最高傑作のひとつ

2024年1月8日
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初見は1980年3月9日、銀座・並木座で鑑賞。(2本立て)
その後も、映画館・VHS・DVD繰り返し観ている。

「生きる」は、黒澤明監督の最高傑作のひとつである。

物語は、ある男の「胃のレントゲン写真」から始まる。その男=渡辺勘治(志村喬)は市役所の課長をしているが、生きながら死んでいるような覇気がまったく無い。その彼が、医者に行くが、そこで他の患者(渡辺篤)から「軽い胃潰瘍です、と言われたら、そりゃ胃ガンだね」と勘治の診察前に話すが、果たして勘治の診察結果は「軽い胃潰瘍です」と医者から言われる。この場面、映画館(並木座)で観ていた観客は、爆笑🤣
のどかに皆で映画を普通に楽しんでいた。

余命短いことを知った渡辺勘治は、それからというもの生き返ったように行動力を発揮する。歓楽街に行ったり、小田切みきと一緒に過ごしたり、そして、市民のためになるようにと公演をつくることを生前最後の仕事として貫く。その姿は胸をうつ。

この映画できわめてインパクト強い場面が、映画途中で「渡辺勘治が死んでしまうこと」であり、主人公を映画半ばで死なせてしまう黒澤明の映画の作り方に感動した。

そして、後半は「死んだ渡辺勘治の通夜に集まった人々による追想」によって、渡辺勘治を描くという素晴らしい展開。
その追想場面の中でも、やはり「自分がつくりあげた公演のブランコで『ゴンドラの唄』を歌う渡辺勘治」が印象的である。

志村喬は、この映画と『七人の侍』は、甲乙つけ難い名演。
大好きな映画。

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たいちぃ

5.0黒澤明監督 やはり名作 94点

2024年1月8日
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泣ける

たまたまNHKで放送していたので見て見た。
これはすごい作品でした。派手ではないが地味で
あるが生きるとは何か?を考える主人公を第三者目線で見る作品。
リメイク版を昨年見て、今年黒澤明監督の作品を見た。
映画の撮り方が特徴があり、とくにワンシーンが長いし演技している役者の顔を真正面から映しているなぁと。
あと白黒でも映画最後まで見れたのでゴジラ-1.0C見に行こうかなと思いました。

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あっぷる