好奇心

劇場公開日:

解説

性に目ざめた少年と肉感的な母親が結ばれるまでを描く。製作はヴァンサン・マル、監督は「パリの大泥棒」のルイ・マル、脚本はマルとクロード・ネジャール、撮影はリカルド・アロノヴィッチ、音楽はチャーリー・パーカー他、編集はシュザンヌ・バロンが各々担当している。出演はブノワ・フェルー、レア・マッサリ、ダニエル・ジュラン、マルク・ウイノクールなど。

1971年製作/フランス
原題または英題:Le Souffle au Coeur
配給:日本ヘラルド映画
劇場公開日:1972年4月15日

ストーリー

三人兄弟の末子ローラン(B・フェルー)は十四歳と六カ月、大人のような子供のような年頃である。トーマ(F・フェルー)とマルク(M・ウイノクール)の二人の兄はろくに勉強もしないで悪戯の限りをつくし、その余波はローランにまで及び、タバコやお酒まで覚えてしまった。ある日、学校の帰りがげに、ローランは母クララ(L・マッサリ)が、知らない男と車に乗っているのを見かける。ローランは不愉快だった。父(D・ジュラン)はあまり好きになれなかったが、若くて美しいママがしてくれるただいまやおやすみのキスはローランにとって何ものにも代えられない宝物だったのだ。そんな大好きなママは僕だけのママじやなかった……それから数日後、両親が学会に出かけた夜、二人の兄はここぞとばかり羽根を伸ばし、女の子を呼んでパーティーが開かれ、父の秘蔵のぶどう酒が持ちだされた。更に兄たちは、ローランに初体験をさせるため、あやしげな娼婦の家に連れ出して、フレダという女と寝かせた。そして、フレダの胸に顔をうずめているローランの足を引っぱってしまった。翌日、ボーイスカウトのキャンプに行ったローランは熱をだした。猩紅熱で、心臓に雑音があるというのだ。医者は湯治場に療養に行くことを勧めた。ベッドに寝かされたローランを皆は大切にした。療養所ではみんながママに視線をあびせ、ローランは自分のことのように晴れがましかった。ローランとママは恋人のように腕を組んで散歩し、テニスに興じた。数日して、ママがいいにくそうにきりだした。「今日お客がくるのよ」ローランはすべてをのみこんだ。その夜、ママは眠ったふりをするローランの許に、二、三日で帰る由の置手紙を残して姿を消した。退屈をまぎらわすために同じ年頃のエレーヌやユベールと遊んだが、やはりママの魅力に比べれば、格段の違いだ。やがて約束通りママが帰ってきたが、哀しげで疲れきっていた。ママはあの男と別れたというのだ。ローランは傷ついたママが可愛そうでしかたなかった。パリ祭の前日、療養所には、楽団がくりだし、花火が上り、ダンスの輪ができた。酔っぱらいをさけたママとローランはホテルに帰った。ママはくたびれ果てて、服のままでベッドに横たわった。ローランはきつそうなママの服をゆるめてやり、おやすみのキスをした。ローランはママを抱きしめた。ママも抱きかえしてくれた。遠くではまだお祭りの音楽が奏でられていた。ママは、恥ずかしがるローランに、いつか美しい貴重な瞬間として思い出すわ、といった。ローランは無理に誰か女の子を抱きしめたかった。ほんとに大人になったのだ。ローランはここに来てから知り合ったダフネという女の子のベッドで輝やかしい朝を向えた。驚いたことに、部屋では父と兄たちが食事をとっていた。「お前、病人のくせに朝帰りとはしゃれているじやないか」と父が冷かした。一同は爆笑した。お腹のすいたローランは、クロワッサンにがぶりと食いついた。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

詳細情報を表示

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

映画レビュー

0.51953年と言えば、『ディエンビエンフーの戦い』を翌年に控えたフランスが仏印戦争に負ける時期。

2023年7月9日
スマートフォンから投稿
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする 1件)
共感した! 1件)
マサシ

4.0レア・マッサリの魅力 > タブー ?

2021年10月3日
Androidアプリから投稿

マルの幼少期をモデルにしているみたいで
頭と体と心のバランスが悪かったであろうことは予想される

早熟で繊細で心雑音ありと判断されるローラン
(ブノワ・フェルー)の異性への関心の空回りみたいなものが、とんでもないことに

子供に惜しみない愛を注ぐ
イタリアの〈肝っ魂おっかあ〉の伝統みたいなものを
母親(レア・マッサリ)に感じた

しかし、異国で
(子供以外の)愛無しには生きられない… と
悲しみに沈む彼女の心根はとても弱く寂しいものだったのね

母親がフランス人であれば躊躇せず
愛人の元に走るイメージがあり
この物語が成立しなくなるかな(?)

子供達は皆、母親が好きで父親が嫌い(笑)
テーブルで目つきの悪いお兄ちゃんが
ずーっと父親を睨み続けているようなのが
可笑しかった

フランスのブルジョアの子供達が生意気で口が達者なのがわかる

この頃はまだ微笑ましいが
外交面でフランスが〈二枚舌〉とよく非難されているのも わかるような気が

コメントする (0件)
共感した! 0件)
jarinkochie

2.5耽美系とみせかけ、ブルジョアのお遊戯?

2021年8月15日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

文学的なものがあると思わせるが、そこには何もなかく、美しいブルジョア少年のお遊戯を絵にしたいだけの作品。
母親との関係がテーマではないような。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
ho

4.0ルイ・マルの”アマルコルド”

2020年4月17日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、TV地上波

60年代後半の不振から抜け出たルイ・マル監督の半自伝青春映画。女の怖さを描いてきたマル監督が初めて優しい女性を描く。1954年の時代設定に主人公が14歳のマル自身のノスタルジーで、ルイ・マルの”アマルコルド”になっている。母の愛がタブーを越えてしまう物語でも、レア・マッサリのイタリア人母親の魅力ですんなり見てしまうことが、一番恐ろしい。フランス・ブルジョア家庭の悪ガキ映画の楽しさ。シチュエーションごとにある些細なユーモアも効いている。

コメントする 1件)
共感した! 1件)
Gustav