軽蔑(1963)

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劇場公開日:

軽蔑(1963)

解説

名匠ジャン=リュック・ゴダールがスター女優ブリジット・バルドーを主演に迎えて手がけた長編第6作。イタリア人作家アルベルト・モラビアの同名小説をもとに、ある夫婦に訪れる愛の終焉を、斜陽化の進むヨーロッパ映画産業の問題と絡ませながら描いた。

脚本家のポールは映画プロデューサーのプロコシュから、フリッツ・ラングが監督する大作映画「オデュッセイア」の脚本の手直しを依頼される。ポールと妻で女優のカミーユはプロコシュの自宅へ招かれるが、ポールが遅れて到着するとカミーユの態度はなぜか豹変しており、彼に対して軽蔑のまなざしを向ける。やがてポールとカミーユは映画のロケのため、カプリ島にあるプロコシュの別荘を訪れるが……。脚本家ポール役を「昼顔」のミシェル・ピッコリ、映画プロデューサーのプロコシュ役を「シェーン」のジャック・パランスが演じる。

巨匠フリッツ・ラング監督が本人役で出演。日本初公開は1964年。2017年9月にデジタルリマスター版が公開。2023年11月には60周年4Kレストア版で公開。

1963年製作/104分/G/フランス・イタリア・アメリカ合作
原題または英題:Le mepris
配給:ファインフィルムズ
劇場公開日:2023年11月3日

その他の公開日:1964年11月22日(日本初公開)、2017年9月30日

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

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映画レビュー

4.0カミーユその人を見よ

2024年4月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

ジャン=リュック・ゴダール作品。 ブリジット・バルドーがすごい。美の模型。 そしてあの軽蔑する眼差し。記憶に残り続けると思う。 本作はバルドー演じるカミーユと劇作家のポールの倦怠感漂う夫婦の話だが、映画製作についても軽蔑の眼差しを向けている気がする。 特に試写の時、映画プロデューサーのプロコシュが裸体に喜んでいる様を冷めた感じで撮っていることにその眼差しを感じる。 ゴダール自身も映画プロデューサーとの関わりや脚本直しの指示で自分の思い通りに撮れないときがあったのだろう。そんな実体験を皮肉めいたジョークで映画に昇華しているのだから素晴らしい。 またカミーユが軽蔑するのもすごいわかる。妻として特別視されないことへの傷つき。ポールよ、セックスへの心配じゃなくて、カミーユその人を見よ。 カプリ島の画も美しいし、観れてよかった。

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まぬままおま

5.0タクシーが30分遅れただけで男と女の天と地はひっくり返る

2024年10月19日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

「『何 読んでんの?』と 夫に声をかけられた時に この人と離婚しようと決めた」。 という三行の文章を読んだ。 実際、そんなものなのかも知れない。 理由不明の男女のお別れは、それは不条理劇と呼んでも構わないだろうが、 これが超現実主義。結婚の生ナマの姿と呼んでも、また構わないのだ。 半年前に我が営業所に入社した若きW君が 可哀想である。あまりにも周りの先輩たちから 「おまえ独身なのか、羨ましいなぁ」と言われ続けているので 「オレ、結婚への夢に冷めましたわー」とこぼしている。 ダメじゃん、先輩たち! ・・・・・・・・・・・・・ 本作、 こじれていく男女。 嫉妬と独占欲がなければ、愛は成就しないらしいが、 嫉妬と独占欲があったとしても、愛は成就しない。 「もしもあの時こうしていれば」が無い。 解決も正解も無い。 ゴダール。怖い。 「10年間、妻のいる自宅に戻らなかったユリシーズの物語」=オデッセイアと、この夫婦=ポールとカミーユの物語が、スクリーンに重ねられて語られていくのだけれど、 ホメロスのオデッセイアや、オルフェウスとエウリディーチェ、そして中東オリエントの伝承「エデンの園」のアダムとイヴ等々の、それぞれの《夫婦喧嘩》が よくぞここまで飽きられもせずに、いまだに人類全般に読まれているものだ。 それは、哀しくも可笑しい、男女の真の姿だからだね。 だからゴダールは、この映像作品でも新しくて古い物語を描く。 懐かしきカプリ島。 絶景と言うべき島の別荘。 黄色のローブ、赤いカウチと青いソファー。 呻吟するポールとカミーユ。 ドイツ人映画監督のラングはオデッセイアの真意を語り、 そして男と女の成り行きを采配するアメリカ人のゼウス神=プロデューサーのプロコシュをば、人間たちは呪う。 BBの裸身が陽光に燦然と映えます。 神話のふるさと=地中海を舞台とした前衛なお芝居に、皆さん引き込まれること、請け合います。 若きW君、 きみに忠告しようね、 アフロディーテは、手が届かないから美しいと知るべき。 苦しいから、良いのだ。 それが人生の面白さだよ。 うふふ。

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きりん

4.0ゴダールの中で一番好きな作品

2024年8月23日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

ゴダールの作品はスター俳優が出ても、ぴったりはまるのは、なぜなんでしょうか。 アラン・ドロンを起用した「ヌーヴェルバーグ」も傑作でした。「軽蔑」は監督自身の私生活を反映したグタグタ感があるのに愛すべき作品です。バルドーのモデルは破局したばかりのアンナ・カリーナ。観ている内に、なぜかバルドーがアンナに同化してしまう。ゴダールが助監督役で出てくるのは、ご愛嬌。 ちなみに監督役はフリッツ・ラングで実在の映画監督です。ヌーヴェルバーグに多大な影響を与えたシネフィルにとって偉大なる方です。ちなみに彼の「スカーレットストーリー」は私にトラウマを植えつけました。 軽蔑劇中の「オデッセイア」というギリシャ神話を題材にした映画のカットインで映画はフィナーレを迎えますが何かジーンとするシーンでした。ラングは晩年、映画が撮れませんでしたがギリシャ史劇を撮ってたら、どんなんだったのだろうか想像が膨らみます。 軽蔑は男女の破局の他に映画スタジオ・システムの崩壊を描いた作品でもあります。 熱烈なゴダール信者だったときのベルトルッチ監督は「暗殺のオペラ」で、まんま「軽蔑」のシーンをパクっています。次回作「暗殺の森」でアンナ役にバルドーを起用したかったそうですが断られたそうです。

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naoki

3.0名監督、名作なのだろうか?

2024年8月22日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

無駄に美しいギリシャ見立てのカプリ島?の風景と、ただの嫉妬でもなさそうだが、主人公のしつこく面倒くさい会話がぐちぐちと続く、この映画の良さが分からなかった。ブリジット・バルドーの美しい体だけが良かったので、これをもっと見せてくれとしか思わなかった。どんな評論家がなんと言おうと、この作品に関しては、私には名作とも名監督とも思えない。モラヴィアの原作もこんなに面白くないのか、確かめるために逆に読みたくなった。

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Boncompagno da Tacaoca