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2025.10.30NHK-BSにて鑑賞。
週刊文春等に書評を書いている山形県在住の書評家池上冬樹は、大学時代東京にいて私と同じ映画サークルに入っていた(大学のではない)。
当時、彼に一度だけ映画のレビューを褒めてもらった。それが映画.comの「サムライ」のレビューの元になった。
映画の始めと終わりに同じエピソードをはさむ表現の仕方がある。
彼は、「クレイマー、クレイマー」をフレンチトーストで挟まれた映画だと言った。
妻ジョアンナ(メリル・ストリープ)に出て行かれた夫テッド(ダスティン・ホフマン)は、息子ビリー(ジャスティン・ヘンリー)にフレンチトーストを作るが仕事一筋で料理などしない彼は上手く作る事が出来ない。
それがラストでは息子と絶妙なコンビネーションでフレンチトーストを作るのである。
私は、この映画はエレベーターで挟まれた映画だと思った。
仕事一筋で昇給した夫は、それを報告しょうと帰宅すると、結婚して8年家庭を顧みない夫に不満な妻は息子を置いて出て行ってしまう。
エレベーターに乗り、去って行く妻。閉まるエレベーターのドアを呆然と見つめる夫。
家庭を顧みなかった男は、子育てと仕事の両立が上手く行かない。妻の家事、育児への貢献を思い知る。遂には失職、転職しなければならなくなる。
仕事に復帰して成功した妻は、親権の訴訟を起こす。裁判に勝った妻は息子を迎えに来る。心が通じあった父と子二人は最後の食事にフレンチトーストを作る。
しかし、裁判を通じて二人の絆を感じたジョアンナは翻意し、階下へテッドを呼出し「ビリーをここから連れて行く事は出来ない」と涙を流しながらテッドに告げる。
ビリーに別れを告げにエレベーターに乗るジョアンナ。その姿を微笑みながら見送るテッド。エレベーターのドアは閉まる。
最初のエレベーターのシーンと見事な対比が成立している。
この映画を一緒に観た経理屋の友人Oが言った。「金は、かかっていない映画だな」
経理屋の見方だなと思ったが、あれから46年が過ぎ、その友人Oも既に鬼籍に入った。
齢70が過ぎて時の流れを感じる事が多い、今日この頃である。
1980.3.19 読売ホール試写会にて。
その後、NHK-BSで二度観賞。