草の上の昼食

劇場公開日:

解説

「恋多き女」のジャン・ルノワールが監督と脚本を担当した現代諷刺喜劇。撮影はジョルジュ・ルクレール、音楽はジョゼフ・コスマ。出演者は「フランス女性と恋愛」のポール・ムーリッス、新人女優カトリーヌ・ルーヴェル、ジャクリーヌ・モラーヌなど。製作もジャン・ルノワール。

1959年製作/フランス
原題または英題:Le Dejeuner sur I'Herbe
配給:日本ヘラルド映画
劇場公開日:1963年3月12日

ストーリー

生物学者のエティエンヌ・アレクシイ教授(ポール・ムーリッス)は、人工授精で優秀な人類を残せるという信念を持っていた。それを知ったネネット(カトリーヌ・ルーヴェル)はアレクシイ教授に手術を受けて子供を授かろうと決心し、彼の住むルーレイへ出掛け小間使いとして働くことにした。その頃、偶然、職工達が同じ地域にやって来てキャンプを張った。ある朝、その傍を車が何台も続いて通った。それはアレクシイ教授とヨーロッパの女王的存在マリ・シャルロットとの婚約成立を祝ってのピクニック“草の上の昼食会”を開こうとする連中だった。そして“草の上の昼食会”がいまやたけなわの時、突然、百姓達から魔法使いめいた扱いを受けているガスパールが来て笛を吹き始めた。すると、突如として一陣の風がまき起り“草の上の昼食”どころではなくなってしまった。その時、ネネットはアレクシイ教授が吹きとばされまいと木にしがみついているのを発見し彼を助けた。風は鎮まり快適な暑さがやって来た。職工達のキャンプに入り、数時間たった。現実の世界に戻ったアレクシイ教授は、ふと小川で水浴するネネットの姿を垣間見てしまった。かくて教授は自分の持論、即ち人工授精の論議とは逆の行為にはしって行ったのだった……。数日たった。理性をとり戻したアレクシイ教授は、ある豪華なホテルでマリ・シャルロットとの婚約披露を行っていた。と、突然ホテルの女中になったネネットが登場して来た。教授は愕然とした。が、思案の末、彼はジャーナリスト、招待客の前でネネットが婚約相手だと発表した。職工達は職場に戻って来た。そしてテレビの画面に映し出されているのは、ヨーロッパ初代大統領に選出されたアレクシイだ。その後には、ネネットが超自然ともいうべき愛の結晶である赤ん坊を抱いてにこやかに笑っていた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0【”舟遊びをする人々の昼食ならぬ、草の上の昼食。”生殖器官に支障がなければ、人工授精よりも愛の営みで子を授かる方が良いよね!今作は示唆に富んだ牧歌的且つ寓話的なラブコメディである。】

2024年11月2日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

知的

幸せ

ー ご存じの通り、ジャン・ルノワール監督の父は、フランス印象画家のピエール・オーギュスト・ルノワールである。代表作は、「舟遊びをする人々の昼食」である。-

■合理主義者の生物学者のエチエンヌ・アレクシ博士は、人工授精で優秀な子供を残すべきとの主張を掲げ、欧州代表大統領選に出馬しようとしていた。
 一方、男に幻滅していた農家の気の良い可愛い娘・ネネット(カトリーヌ・ルヴェル)はアレクシに賛同し、彼の研究の実験台になろうと別荘を訪ね、小間使いとして働き始める。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・エチエンヌ・アレクシ博士が友人達とピクニックに行った時に、現れた山羊を連れたお爺さんが笛を吹くと、突風が起こり人々は右往左往する。
 そして、風が止むと男女のペアは突然に、愛の行為を始めようとするのである。何かの寓話であろうか。

・そして、エチエンヌ・アレクシ博士も川で裸体で水浴びしていたネネットを誘い、草むらに消えるのである。クスクス。

・健気なネネットは子を身籠りながらも、明るく小間使いとして働くのである。政略結婚の準備をしていたエチエンヌ・アレクシ博士は、そんな彼女の姿を見て、結婚式場にネネットを連れて行き、結婚するのである。クスクス。

<今作は、合理主義者の生物学者のエチエンヌ・アレクシ博士が、人工授精で優秀な子供を残すべきと主張する中、天の風が吹き可愛いネネットと恋に落ち、結婚する様を寓話的に且つ牧歌的に描いた作品である。>

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NOBU

4.5『自然の秩序』

2024年3月13日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

知的

幸せ

完成度は特別には高くない?というか…この映画では、そんなことはどうでもよい気がする。ユニークな発想や展開、隙間ありありの開放感のようなものを楽しみたいと思う。それにプロヴァンスという舞台を。

教授とメメットがメチャクチャ大人可愛い。
教授の洗練された立ち居振るまいは素晴らしく吸い寄せられるように見てしまう。
メメットは健康的な魅力とおおらかな母性愛の持ち主。彼女の笑顔は太陽みたいに明るい。笑顔っていいいものだ。

おおざっぱに言ってしまえば、若い娘に、その健康美でハマってしまった立派な科学者のおじさまの話、となる。でもこの二人はいやらしさを感じさせない。偏見や義務やそのほか目に見えぬ枠が、森の中では風とともに吹き飛ばされただけだ。
教授がポツリと呟く。「恐竜は幸せだった……たぶん幸福とは自然の秩序に従う事だ」これ、これ。つまりはそういうことだ。

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あま・おと

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