恐怖省

劇場公開日:

解説

1人の男が謎の秘密結社の陰謀に巻き込まれてゆく姿を描いたサスペンス。製作・脚本はセトン・I・ミラー、監督は「死刑執行人もまた死す」のフリッツ・ラング、原作はグレアム・グリーン、撮影はヘンリー・シャープ、美術はハンス・T・ドライエールとハル・ペレイラ、音楽はヴィクター・ヤングがそれぞれ担当。出演はレイ・ミランド、マージョリー・レイノルズほか。

1944年製作/アメリカ
原題または英題:Ministry of Fear
配給:ケイブルホーグ
劇場公開日:1988年1月23日

ストーリー

イギリスのレンブリッジ精神病院。6時が時を打つとともにスティーブン・ニール(レイ・ミランド)の退院の瞬間がやって来た。駅に着き、列車が遅れていることを知ったニールは、中流婦人たちが催す慈善バザーの会場に入ってゆく。直前に占い師のベレイン夫人(ヒラリー・ブルック)に予言され、ニールはケーキの重さを当てるコンテストに優勝する。ケーキを持って駅に向かい、その時タクシーで男が到着すると人々がニールを追って来てコンテストの結果は間違いだと言った。つっぱねたニールは列車に乗ると盲目の振りをした男が、突然起こった空襲の中、ケーキを持ち去ってしまう。ロンドンでニールは私立探偵レニット(アースキン・サンフォード)に依頼して2人で慈善バザーを主催した協会の本部を訪ねた。ニールはオーストリアからの亡命者ウィリー(カール・エスモンド)とカーラ(マージョリー・レイノルズ)の兄妹と知り合う。次にベレイン夫人を訪ねると、ニールを降霊術へと誘う。輪の中には先日のタクシーの男コスタ(ダン・デュリエ)やフォレスター博士(アラン・ネイピア)がいる。ニールは殺人者だとされ、レニットの事務所に帰るがそこにはツメを磨く怪しい男しかいない。再び逃げたニールはカーラと会い本屋に行き、フォレスター博士がナチの心理学者だと知る。本を持って行くよう頼まれ博士の家へ行くと、トラヴァースの名しかなく突如本のスーツケースが爆発する。ニールは事務所にいた怪人に助けられるが彼は警部であり、ニールがレニット殺しを疑われていることを告げる。2人は列車の中の盲人の殺害現場でケーキの中にあったマイクロフィルムを発見する。続いてフォレスター博士を追った2人は仕立て屋のトラヴァースを捜し出したが彼はコスタであった。だがコスタはすぐに殺され、ニールはコスタの顧客らしいカーラの家に急行する。ニールはウィリーとカーラにナチのスパイ行為の件でつめ寄り、格闘する。兄のしていたことを初めて知ったカーラはウィリーに鏡を向ける。死んだウィリーの肩から残りのマイクロフィルムが発見されるが、続いてフォレスター博士がニールとカーラに銃口を向ける。だが、その時警察がなだれ込み、一挙に事件は解決された。ニールとカーラは結婚して新婚旅行に旅立ち、ニールはカーラの「ケーキ」という言葉にギョッとするのだった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

2.0この映画は本当に「死刑執行人もまた死す」のラング監督作品で、グレアム・グリーンの原作なのだろうか…

2024年9月22日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、TV地上波

先日、フリッツ・ラング監督の
「死刑執行人もまた死す」という、
史実を変えてまでも希望を感じさせようと
する見事な作品に出会い、
引き続きこの作品も鑑賞した。

しかも、原作が
「第三の男」や「情事の終わり」等の
映画で魅了してくれたグレアム・グリーン
とのことだったので
更なる期待の高まる鑑賞となった。

しかし、
サスペンスに徹した作風ではあったが、
ただそれだけに留まってしまい、
「死刑執行人もまた死す」のような
深みや希望を感じさせる内容には
昇華出来てはいなかったような印象。

冒頭では、
主人公の精神病院を退院するシーンがあり、
まさかこれからの事柄は全て彼の妄想
と処理されるのではないだろうな、
とかの邪な考えが後を引いてしまったり、
バザー会場での重さ当てや占いを交えた
不自然なフィルムの入ったケーキの争奪戦、
偽装降霊会での偽装殺人、
同じ血筋とは思えないような兄妹の
お互いへの行為、
等々、
作られ過ぎな事柄の羅列ばかりで、
何かバラバラなエピソードを
強引につなぎ合わせたような、
ストーリーのために必然性の欠けたような
展開の連続に付いていくのも難儀な鑑賞に。

「死刑執行人もまた死す」では、
各エピソードが重層的に関連し合い
意味を持つ構成の作品だったのに対して、
この鑑賞では
ラング監督作品として残念に感じると共に、
本当にあのグリアム・グリーンの原作?
なのだろうか、
との疑念が頭を駆け巡ってしまった。

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