カルネ
劇場公開日:1994年8月6日
解説
フランスで公開されるや若者たちを熱狂させ、ナイト・ムービーとしてロングラン・ヒットを記録したカルト映画。近親相姦を思わせる父と娘の異様で残酷な関係を、フェティシズムとブラックユーモア、リリシズムに満ちた退廃的な映像と大胆で挑発的なモンタージュで綴っている。監督・脚本は63年生まれの新鋭ギャスパー・ノエ。製作・編集はリシャール・アジアリロヴィック、録音はオリヴィエ・ル・ヴァコン。不気味な血の色を基調にした撮影(コリン・カラー)はドミニク・コリン。出演はフィリップ・ナオン、ブランディーヌ・ルノワール、フランキー・パン、エレーヌ・テステュら。91年カンヌ国際映画祭・国際批評家週間賞をはじめ数々の賞を受賞。本作に心酔したアニエスb.のプロデュースで、現在続編というべきCarne Integraleが製作中。
1991年製作/フランス
原題または英題:Carne
配給:ヘラルド・エース=日本ヘラルド映画
劇場公開日:1994年8月6日
ストーリー
冒頭、「注意!感受性を傷つける危険な部分があります」とテロップが出る。パリ郊外の馬の肉を売る店に女の子が生まれたが、母親は彼女を父親(フィリップ・ナオン)に委ねて失踪した。年月が経って少女は成長していくが沈黙の殻に閉じこもったきりで、生まれてから一度も口をきいたことがない。ハーシェル・ゴードン・ルイスのスプラッター映画とメキシコの覆面レスラーの活劇映画、そして彼女を喜ばすために父親が与えた揺り木馬に乗ることだけが楽しみだった。少女(ブランディーヌ・ルノワール)が13歳になりかける頃、彼女の体は女らしい変化を見せ、父親は戸惑いを覚える。そんな時、初潮を迎えてスカートを汚した娘を見た父は強姦されたと思い込み、彼女にいたずらしようとした浮浪者の口に肉切り包丁を突き刺す。投獄された父親は、療養所に入れられた娘に手紙を書く。刑期を終えた父親は、店をはじめ何もかも失っていた。彼はバーのウェイターの職につき、店のマダム(フランキー・パン)の愛人となる。豊満なマダムとの満たされぬ怠惰な日々は続く。やがてマダムは妊娠し、彼は新しい人生をやり直そうという彼女の申し出を受け入れる。療養所を訪ねた父親は娘に別れを告げた。娘は一言も口をきかない。翌朝、彼とマダムは車でパリを後にする。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ギャスパー・ノエ
- 脚本
- ギャスパー・ノエ
- 製作
- ルシール・アザリロビック
- 撮影
- ドミニク・コリン
- 音楽
- アフマド・バカエフ
- 録音
- オリヴィエ・ル・ヴァコン
- 編集
- ルシール・アザリロビック
- 字幕
- 齋藤敦子