かぼちゃ大王

劇場公開日:

解説

医師の苦悩と少女の成長を通して、病める時代の愛と希望を描いたヒューマン・ドラマ。抑制の効いた表現で心の動きを繊細に描いた演出、子供たちの自然な演技が感動的。監督・脚本は女優から監督に転じ、処女作「ミニョンにハートブレイク」(V)以来、国際的にも評価の高いイタリアの女性監督フランチェスカ・アルキブジ(ワンシーン出演も)。イタリアに実在した精神科医で、薬物投与をしない治療を提唱したマルコ・ロンバルト・ラディーチェのエッセイを読んで映画化を思い立ったという。製作はグイド・デ・ラウレンティス、レオ・ペスカローロ、フルヴィオ・ルチザーノ、モニーク・アノー。撮影はパオロ・カルネラ、音楽は監督の夫でジャズ・プレーヤーのバティッスタ・レーナと、ロベルト・ガットーの共同、美術はリヴィア・ボルゴニョーニ。出演は「グラン・ブルー」「可愛いだけじゃダメかしら」のセルジョ・カステリットー、132人の候補者から選ばれた美少女アレッシア・フガルディ、「髪結いの亭主」「ハモンハモン」のアンナ・ガリエナ、ピエル・パオロ・パゾリーニの一連の作品やベルナルド・ベルトリッチの「1900年」などで知られるベテラン女優ラウラ・ベッティほか。

1993年製作/イタリア・オランダ合作
原題または英題:Il Grande Cocomero
配給:シネマテン=アルシネテラン
劇場公開日:1995年11月25日

ストーリー

ローマ、サベリ街の総合病院の小児科病棟。13歳の少女ヴァレンティナ、通称ピッピ(アレッシア・フガルディ)は生後3ヶ月で発病し、てんかんと診断された。小児精神科の若き医師アルトゥーロ(セルジョ・カステリットー)は、それが誤診であり、心の病であることを直観的に見抜く。彼は薬物を使わない心理療法で発作の原因を探ろうとし、ピッピとできるだけ長い時間を過ごすようにする。アルトゥーロはやがて、ピッピの苦しみは、愛のない生活を続ける母チンチア(アンナ・ガリエナ)と父マルチェッロ(アルマンド・デ・ラッツァ)の歪んだ関係を全身で感じ取った彼女が、いつしか自分が逃げ込める世界を作り上げてしまい、心の行き場を失った時に“発作”を起こすのだと確信する。ある日、彼は“スヌーピー”の本をおみやげにピッピを訪ねた。アルトゥーロは、彼が子供の頃に愛した挿話を話し、「かぼちゃ大王が夢をかなえてくれると信じて、かぼちゃ畑に座って大王を待っていた」と語る。この日を境に2人の間に温かい友情が育まれていく。アルトゥーロは潜在的に別れた妻(フランチェスカ・アルキブジ)への自責の念にとらわれていたが、治療を通して両者は互いに癒されていった。病院の勤務環境は過酷で、同僚はやめていき、中年の看護婦アイーダ(ラウラ・ベッティ)は孤独に押し潰されそうになり、ヒステリックな行動に走る。アルトゥーロは病院内の様々な規制を取り除くよう配慮し、小児病棟の子供たちに自然な優しい交流が生まれた。だが、全身麻痺の少女マリネラが突然亡くなり、ピッピは悲しみと怒りをアルトゥーロにぶつけ、彼は無力感に打ちのめされる。またも発作を起こしたピッピに、父親はアルトゥーロを責めるが、彼は「病気じゃない。心の問題を解決すれば直るんだ」と言い放つ。やがて目覚めたピッピが「なぜ自分にだけ優しくしてくれるの?」と尋ね、彼は「僕はかぼちゃ畑に座っていた頃から君を捜していた」と答える。春になり、アルトゥーロは子供たちを連れて、郊外の両親の家に遊びに向かう。アルトゥーロとピッピは朝もやの中、彼が子供の頃に遊んだかぼちゃ畑に出かけた。その後、ピッピは両親が離婚し、母親と暮らしている。ハイスクールに通う今も週1回治療を続けているが、もう22ヶ月間も発作は起きていない。

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