哀しみの街かど
劇場公開日:1971年11月20日
解説
よりよい世界を望みながらも、麻薬による失調が自らをもさいなむという、救いのない青春の愛と孤独を描く。製作は「真夜中のパーティー」のドミニク・ダン、監督はアメリカ・ファッション・カメラ界から転出のジェリー・シャッツバーグ、ジェームズ・ミルズの小説をジョーン・ディディオンとジョン・グレゴリー・ダンが共同脚色、撮影は「真夜中のカーボーイ」のアダム・ホレンダー、編集はエヴァン・ロットマンがそれぞれ担当。出演はブロードウェイの「虎はネクタイをするか」でトニー賞受賞のアル・パチーノ、アンソニー・ハーヴェイ監督の「彼等は巨人かも知れない」でデビューしたキティ・ウィン、アラン・ビント、リチャード・ブライト、キール・マーティン、マイケル・マクラナザン、ウォレン・フィナーティなど。
1971年製作/アメリカ
原題または英題:The Panic in Needle Park
配給:20世紀フォックス
劇場公開日:1971年11月20日
ストーリー
もぐりの医師の中絶手術をうけたばかりのヘレン(キティ・ウィン)は、疲れ切った体をいたわりながら、やっとの思いで若い画家マーコのアトリエにたどり着いた。しかしマーコとヘレンの間にはすでに愛は失われていた。マーコにマリファナを売りつけにきたボビー(アル・パチーノ)は、寒さと孤独に身を震わせるヘレンをみとめ、自分のスカーフを手渡した。そのあと、ひどい出血をみたヘレンは市立病院に入院した。退院の日、ヘレンは出迎えたボビーのやさしさに魅かれるように彼のあとに従った。ボビーはヘレンに、自分がヘロイン常用者であることを話し、ウェスト・サイドの針公園地区のボビーのホテルに向かった。その日からヘレンは、針公園に屯する麻薬常用者の仲間となり、麻薬による特有の生活感覚が少しずつまとわりついていった。ボビーの使いでハーレムにヘロインを求めにいったヘレンは、現場を麻薬取締官のホッチナー(アラン・ビント)に押さえられた。逮捕を免れたヘレンは部屋に帰り、トリップ状態のボビーの脇で初めてヘロイン注射を試み、その味をおぼえてしまった。後日、それを知ったボビーはヘレンとの結婚を心に決め、兄ハンク(リチャード・ブライト)に相談した。泥棒稼業のハンクは、稼ぎのないボビーに片棒をかつげともちかけた。しかし盗みは失敗し、ボビーだけが捕まった。ボビーが刑務所に入っている間に、もうすっかりヘロイン常用者となったヘレンは、金のため身を売るようになり、ハンクと寝ることさえ始めた。出所したボビーはそれを知るが、ヘレンへの愛によって救われ、もっとよい世界にはい上がろうと決意して仕事を探しだした。それはヘロイン・ルートを掌握するサントの手先となってヘロインを売りさばく仕事である。ヘレンが窃盗罪で逮捕されたとき、ホッチナーは彼女をもらい下げ、その恩を売りつけて、ヘロイン屋の大物サント逮捕への手引きを要求した。サントを直接知らないと答えるヘレンに、ホッチナーはボビーの引き渡しを強引に要求した。ボビーを通じてのサント逮捕が目的なのである。それから数日後、ホッチナーの予想通り大量のヘロインが流れ出した。ヘレンは決意してボビーを売った。ヘロインを所持していたボビーは現行犯で逮捕され、6か月の服役を強いられた。ある曇りの日の、夜がしらじらと明けそめる寒い朝、出所したボビーをヘレンが門の外で待っていた。2人は離れて歩きだした。悲しげな瞳のヘレンにボビーは一言、来いよと言った
スタッフ・キャスト
- 監督
- ジェリー・シャッツバーグ
- 脚本
- ジョーン・ディディオン
- ジョン・グレゴリー・ダン
- 原作
- ジェームズ・ミルズ
- 製作
- ドミニク・ダン
- 撮影
- アダム・ホレンダー
- 編集
- エヴァン・ロットマン
- 字幕
- 清水俊二