乙女の祈り(1994)

劇場公開日:

乙女の祈り(1994)

解説

54年6月にニュージーランドで起きた実際の事件に材を取り、多感な二人の少女が、殺人の凶行に駆り立てられるまでを追った異色の心理ドラマ。思春期の少女特有の純粋さと残酷さを描くヴィヴィッドな演出と、少女たちが夢見る幻想世界を表現する斬新なヴィジュアル・センスが見もの。監督は「ブレインデッド」の奇才ピーター・ジャクソン。製作は「ブレインデッド」ほか、彼の前2作でもジャクソンとコンビを組んだジム・ブース、エクゼクティヴ・プロデューサーはハンノー・フス。脚本はジャクソンとテレビ映画出身で89年以来彼とパートナーを組むフランシス・ウォルシュの共同。撮影のアルン・ボリンガー、音楽のピーター・ダセント、編集のジェイミー・セルカークら、ジャクソン作品の常連組のほか、ヴィジュアル・エフェクトをW.E.T.A.、美術をグラント・メイジャーがそれぞれ担当。主演の少女2人には新人のメラニー・リンスキーとケイト・ウィンスレットがそれぞれ起用された。劇中歌として、50年代の人気歌手マリオ・ランザの『フニクリ・フニクラ』やプッチーニの『蝶々夫人』が使われるなど音楽的に多彩な内容となっている。ちなみにモデルとなった2人は現在社会復帰しており、ポウリーンはオークランドの書店に勤務し、ジュリエットは英国に戻った後アン・ペリーの名前で作家になったと報じられている。

1994年製作/100分/ニュージーランド・アメリカ合作
原題:Heavenly Creatures
配給:松竹富士
劇場公開日:1995年9月9日

ストーリー

52年、ニュージーランド、クライストチャーチ。女子高に通うポウリーン(メラニー・リンスキー)は、イギリスからの美しい転校生ジュリエット(ケイト・ウィンスレット)と熱烈な友情を育む。ポウリーンは下宿屋を営む低所得の家庭に育ち、ジュリエットは名門大学の学長の娘と、まるで環境の異なる2人だが、マリオ・ランザのオペラ、ヒロイックな冒険物語、ハリウッドの美形スターなど、好みや感性は驚くほど似通っていた。疎ましい現実を忘れさせてくれるものに崇拝の念を抱く彼女たちの豊かな想像力は、やがて「ボロウィニア王国」という聖なるものたちの物語を生み出した。作家を夢見る2人は、ジュリエットが肺結核で入院生活を送る間も、文通を通じて何世代にも渡る物語を膨らませていった。その間、下宿人の1人にポウリーンは処女を捧げる。彼女たちの意識はますます自身を離れ、この傾向はジュリエットの退院後にいよいよ強まり、2人はフィクションの世界にのめりこんでいく。娘たちの親密な関係に異常性を感じ取ったジュリエットの父(クライヴ・メリソン)は、ポウリーンの母(サラ・パース)にカウンセリングを受けさせる。同性愛の診断を下されたポウリーンは、ジュリエットとの交際を禁じる母に激しい憎悪を燃やす。やがてジュリエットが両親の離婚に伴って南アフリカに行くことが決定。母親さえいなければ、ジュリエットと南アフリカに行けると思い詰めたポウリーンは、愛するジュリエットが用意したレンガで母親を撲殺。2人は裁判の結果有罪となった。後年2人はどちらも釈放されたが、事件後は一度も会っていないという。

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映画レビュー

4.0夢と現実

2021年7月6日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 妄想の中、粘土細工の人間たちが不気味だ。映像を見る限りでは、普通のレズビアンじゃない。チャールズ王とデボラのストーリーをモチーフに繰り広げられる小説が、二人の共通の妄想となり、現実を拒否する性癖がシンクロしてしまう。

 心理学の専門家が見たら、穴はいっぱい見つけるのだろうけど、ホラーの秀作『ブレインデッド』を撮ったジャクソン監督の鬼気迫る少女の描写のおかげで妙に納得させられてしまう。それに、ニュージーランドの自然の映像を背景に悪魔が乗り移ったかのようなメイクのコントラストがすごいのです。

 しかし、後半のジュリエット(ウィンスレット)の心理描写は、犯罪を躊躇っているようにも見えたり、精神錯乱状態のポウリーンから一歩置いた様にも見える。ポウリーンの狂気の表情は良かったんだけどなぁ・・・

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kossy

3.5好きな映画だったけれど

2020年1月7日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

好きな映画だったけれど、久し振りに観たらまあまあの映画でした☆

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hide1095

5.0見事な倒置法でラストシーンの衝撃は強烈な印象を残す

2018年11月15日
Androidアプリから投稿

見事な倒置法による導入部
私達は結末に血塗れの惨劇が起こることを知らされる
それは誰か?、なぜなのか?
それが少しづつ明かされていくのだ
かといって推理サスペンスものではない
あくまでも二人の少女の多感な思春期の物語なのだ
美しいニュージーランドの光景と共に、1950年台の雰囲気が映像から溢れんばかりの撮影の見事さで語られるのだ

ラストシーンの殺害シーンはこれ程に目を背けたくなる、胸が張り裂けそうになるシーンは無いと言って良い

既に終盤にかけて殺されるのは誰か、その理由は何かを私達は知っていながら、その理不尽さ、最早確実に起こることを知りながら劇の進行を見守るしかないのだ
それ故に、殺されなければならなかった人物の真心をたっぷりと目にしてきているのだから、その惨劇は圧倒的な悲しみと、避けられない悲劇を止められないもどかしさに胸が掻き乱されるのだ

過ぎ去ってしまえば何故そのような行動に走ってしまったのか
多感な時期の錯乱で片付けても良い
しかしそれは大人でも同じ事だ
結局ジュリエットの母の不倫と変わりはしないのだ

第四の世界の粘土の登場人物
第三の男のオーソンウェルズが彼だけが白黒映画から抜け出して白黒のまま追いかけるシーンなどは空想シーンを盛り上げる演出も素晴らしい効果と説得力をもたらしてくれた

そして何よりポーリンとその母、ジュリエットと女優陣の名演は目を見張されるものがあった

ジュリエット役の ケイト・ウィンスレットがあのベティデイビスにどんどん似ていくのだ
これには全くもって唸らされた

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あき240

3.0PJ作品ということでちょっと期待しすぎてしまった

2018年7月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

「拗らせ女子」とか「厨二病」程度ですめばよかったのにね。
お互いだけが世界の全てだと思い込んでしまったが故の惨劇。
それだけですべてがうまくいくわけないのに、子供の浅はかさゆえの過ちがなんともやりきれない。
まあ、小説を書く才能だけは本物だったようですが。

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なお
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