劇場公開日 1995年9月9日

「見事な倒置法でラストシーンの衝撃は強烈な印象を残す」乙女の祈り(1994) あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0見事な倒置法でラストシーンの衝撃は強烈な印象を残す

2018年11月15日
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見事な倒置法による導入部
私達は結末に血塗れの惨劇が起こることを知らされる
それは誰か?、なぜなのか?
それが少しづつ明かされていくのだ
かといって推理サスペンスものではない
あくまでも二人の少女の多感な思春期の物語なのだ
美しいニュージーランドの光景と共に、1950年台の雰囲気が映像から溢れんばかりの撮影の見事さで語られるのだ

ラストシーンの殺害シーンはこれ程に目を背けたくなる、胸が張り裂けそうになるシーンは無いと言って良い

既に終盤にかけて殺されるのは誰か、その理由は何かを私達は知っていながら、その理不尽さ、最早確実に起こることを知りながら劇の進行を見守るしかないのだ
それ故に、殺されなければならなかった人物の真心をたっぷりと目にしてきているのだから、その惨劇は圧倒的な悲しみと、避けられない悲劇を止められないもどかしさに胸が掻き乱されるのだ

過ぎ去ってしまえば何故そのような行動に走ってしまったのか
多感な時期の錯乱で片付けても良い
しかしそれは大人でも同じ事だ
結局ジュリエットの母の不倫と変わりはしないのだ

第四の世界の粘土の登場人物
第三の男のオーソンウェルズが彼だけが白黒映画から抜け出して白黒のまま追いかけるシーンなどは空想シーンを盛り上げる演出も素晴らしい効果と説得力をもたらしてくれた

そして何よりポーリンとその母、ジュリエットと女優陣の名演は目を見張されるものがあった

ジュリエット役の ケイト・ウィンスレットがあのベティデイビスにどんどん似ていくのだ
これには全くもって唸らされた

あき240