オーソン・ウェルズのオセロ
劇場公開日:1993年7月10日
解説
ウィリアム・シェークスピアの古典戯曲の映画化。監督・製作・脚本・主演は「黒い罠」のオーソン・ウェルズで、難航した製作資金調達のため四年間かけて撮影され、一九五二年カンヌ映画祭グランプリを獲得しながら、五五年にアメリカで短期間公開された後、幻の名画となっていた作品。ウェルズの娘ベアトリス・ウェルズ・スミスの依頼で、ドキュメンタリー作家のマイケル・ドーソンが20世紀フォックスの倉庫で発見したフィルムに、サウンド・トラック部分にドルビーステレオによる再録音を加えた修復版で、アメリカでは九二年三月に公開された。撮影はジョージ・ファント、アンキーゼ・ブリッツィ、G・R・アルドの共同。音楽はフランチェスコ・ラヴァニーノとアルベルト・バリベリスが担当。他の出演は「愛人ジュリエット」のシュザンヌ、クルーティエ、アイルランド出身の舞台俳優・演出家・劇作家で、本作が唯一の映画出演となったマイケル・マクラマー、イギリス舞台出身のロバート・クート、イギリス映画界の伝説的な名女優フェイ・コンプトンなど。
1952年製作/94分/モロッコ
原題または英題:The Tragedy of Othello: The Moor of Venice
配給:ヘラルド・エース
劇場公開日:1993年7月10日
ストーリー
エーゲ海、キプロス島。ヴェネチア公国に仕える将軍オセロ(オーソン・ウェルズ)と、その妻デズデモーナ(シュザンヌ・クルーティエ)の柩を抱えた葬列が進んでいく。その光景を高い塔に吊り下げられた檻の中から見下ろしているのは、この悲劇を起こした張本人、イアーゴ(マイケル・マクラマー)である……。ヴェネチアの教会で結婚式を挙げているムーア人オセロと元老院議員の娘デズデモーナを、彼女に横恋慕しているロダリーゴ(ロバート・クート)と副官に昇進する機会を阻まれ、上官であるオセロを恨んでいる旗手のイアーゴが物影から窺っていた。ヴェネチアの将軍としてトルコ軍進行にさらされるキプロス島を出発したオセロは、見事トルコ人を打ち破り凱旋して来る。しかしイアーゴは、オセロに復讐すべく計画を練っていた。彼は、副官の地位を得たキャシオ(マイケル・ローレンス)を罠にかけ、副官の地位を失わせる。失意のキャシオに、イアーゴはデズデモーナに頼んでオセロに取りなしてもらえ、とそそのかし、そしてオセロには、デズデモーナがキャシオに特別な感情を持っていると仄かした。イアーゴは妻エミリア(フェイ・コンプトン)に、オセロがデズデモーナに贈ったハンカチを盗ませ、それをキャシオの部屋に放置した。キャシオの恋人の娼婦ビアンカ(ドリス・ダウリング)がそれを見つけ、オセロは不貞を働いたキャシオを殺すよう、イアーゴに命じる。イアーゴはロダリーゴにキャシオを殺させようとするが失敗し、口封じのため、イアーゴは逆にロダリーゴを殺し、罪をキャシオに被せる。その頃、寝室でオセロはデズデモーナに罪を告白するように迫っていたが、彼女の本当の言葉は嫉妬に狂うオセロの耳には届かない。オセロは、デズデモーナの首に手をかけ、駆けつけたエミリアにイアーゴの悪事を暴露させる。最愛の妻を殺してしまい、悔恨の心に苦しむオセロは、ついに剣で自らを刺して、死んでいくのだった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- オーソン・ウェルズ
- [修復版]監修
- フィリップ・ショッパー
- 脚本
- オーソン・ウェルズ
- 原作
- ウィリアム・シェークスピア
- [修復版]製作総指揮
- ドナルド・M・リーブスカー
- エドワード・H・ストーン
- ジェイムズ・J・テイナー
- 製作
- オーソン・ウェルズ
- [修復版]製作
- マイケル・ドーソン
- アーニー・サックス
- 撮影
- アンキーゼ・ブリッツィ
- G・R・アルド
- ジョージ・ファント
- 美術
- アレクサンドル・トローネ
- 音楽
- フランチェスコ・ラヴァニーノ
- アルベルト・バリベリス
- 編集
- イェネ・チェプレキー
- ジャン・サシャ
- レンゾ・ルチディ
- ウィリアム・モートン
- 衣装デザイン
- マリア・デ・マティス
- 字幕
- 齋藤敦子