ヴィヴィアン・ウエストウッド

劇場公開日:

解説

英国パンク界をマルコム・マクラレンらとリードした先鋭的なファッション・デザイナー、ヴィヴィアン・ウエストウッドの生活と作品を描いたドキュメンタリー。ネナ・チェリー、マルコム・マクラレン、デラ・ソウル、そしてセックス・ピストルズほかパンク周辺の音楽を使用して綴っている。監督・脚本はナターシャ・ドゥフォンティーヌ、撮影はエリック・ムニエール、編集はリオネル・ベルナール、録音はフィリップ・マリオンがそれぞれ担当。出演はウエストウッド、ヴェロニカ・モースほか。“アトリエ”“ブティック”“コレクション”の三章から構成され、ウエストウッドの実際の作業風景や、新作コレクションの模様、ブティックを開店した当時の状況などを映し、一人のデザイナーの肖像を描写している。(ビデオ作品)

1993年製作/フランス
原題または英題:Planet Westwood
配給:ユーロスペース
劇場公開日:1995年11月25日

ストーリー

※本作はドキュメンタリーのためストーリーはありません。

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映画レビュー

4.5パンクであることと名誉を欲することの葛藤

2022年8月5日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

タックを詰めてドレープを膨らませる・・
白いドレスがまるで見事に花弁を開こうとする白バラのようだ。

貧しい労働者階級ゆえに美術学校を一学期で中退したヴィヴィアン。

逆さ十字架と鉤十字が世間への不満と反抗を爆発させている。
拘束服を想起させるフリースもだ。

破壊的なファッションに身を投じ、英国の御用宗教と格差社会にアンチを突きつけたのだけれど、

観終わって結論として感じてしまったのは
「リトル・ダンサー」しかり
「フル・モンティ」しかり、
イギリスの炭鉱労働者ものの映画などと同様に、ヴィヴィアンの生涯も《貴族出身でない低クラスソサエティの足掻きと上流階級への憧れ》は想像以上に《超えられないものとしてあの国を縛っている》 ― という事実だった。

パンクな彼女とは裏腹に女王から「デイム」の称号を叙勲されて誇らしげなヴィヴィアン、
自称アナーキストの筈が、ファッションアワードを2年連続で受賞して手放しで喜んでいる彼女。
“上昇志向” “お墨付き願望”の彼女もそこにいた。
どちらもヴィヴィアン・ウエストウッドなのだ。

あれを見ちゃうと
ちょっと哀しくて、ちょっと残念だけれど、「アナーキズムを語る特権」は生粋の裕福な知識階級だけのお遊びなのかもしれないなぁ。

本当はお姫様になりたかった?
違うか?
底辺に生き、浮かばれることを夢見る階層というものは、とうとうインテリなアナーキストにはなれないのだと映画を観ていて感じた次第。

でもね、
表向きはフェミニンなドレスなのに、背中側に回ればまさかと思うような引き攣れ(ヒキツレ)を入れたり、破ったり、裂いたり、継ぎ合わせたり。
アヴァンギャルドな一面は、どっこい残っていた。

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きりん