アントニーとクレオパトラ
劇場公開日:1972年3月18日
解説
ウィリアム・シェイクスピアの名作『アントニーとクレオパトラ』をチャールトン・ヘストンが監督・脚本・主演した作品で、アントニーとクレオパトラとの結ばれぬ恋をクライマックスに、アクテューム大海戦、アレクサンドリア大激突戦を中心に描いた叙事詩。製作は「ジュリアス・シーザー(1969)」のピーター・スネル、撮影はラファエル・パチェコ、美術はホセ・アルグエロ、ホセ・マリア・アラルコン、衣裳はウェンディ・ディクソン、音楽はジョン・スコット、編集をエリック・ボイド・パーキンスが担当。“クレオパトラ”には南アフリカ生まれで英国ロイヤル・シェークスピア劇団の新人女優ヒルデガード・ニールを抜擢、共演は「ローマ帝国の滅亡」のエリック・ポーター、「冬のライオン」のジョン・キャッスル、「フレンチ・コネクション」のフェルナンド・レイ、ジュアン・ルイス・ギャリアルド、カルメン・セヴィラなど。
1971年製作/アメリカ
原題または英題:Antony & Cleopatra
配給:松竹映配
劇場公開日:1972年3月18日
ストーリー
<栄光と繁栄のローマ共和制>を築き上げた、偉大な英雄ジュリアス・シーザーが暗殺されて4年、大ローマ帝国にもしばらくの小康が保たれていたが、そろそろ内乱の兆しが見え始めていた。シーザーの寵愛を受け、シーザーの甥オクタビアス(ジョン・キャッスル)とレピドゥス(フェルナンド・レイ)らとともにローマ帝国を統治していた武人マーク・アントニー(チャールトン・ヘストン)は、いま北アフリカにおり、エジプト女王クレオパトラ(ヒルデガード・ニール)との熱い恋に陥っていた。彼は部下の信望厚く、その長けた統治力であまねく北アフリカをおさえていたが、本国イタリア各地では、内乱の兆しが見え始めていた。ローマではアントニーの妻ファルビアと弟ルーシアがオクタビアスに戦いを挑み、不運にも破れたとの報がアントニーのもとに届いた。更に、台頭してきたポンペイの巨軍がローマに迫るとアントニーは急きょローマに戻り、ポンペイ軍制圧のために妻が殺害された恨みを抑え、オクタビアスの姉オクタビア(カルメン・セヴィラ)と婚姻、3人の執政官の強固な結束を生んでポンペイ軍を壊滅した。平安を取り戻したローマ帝国を後に、アントニーがオクタビアの手を振り切って、クレオパトラのもとに走ると、オクタビアスは、このアントニーの一族に対する侮蔑と背徳行為に激怒し2人の住むアレキサンドリアへと巨万の兵を送り込んだ。“アクテューム大海戦”はアントニーの完全なる敗北に終わった。戦いに敗れ苦悩するアントニーの心を癒してくれたのは、クレオパトラのやさしい愛だった。勢いに乗ったオクタビアスは、クレオパトラに使者をつかわし、アントニー引き渡しを要求した。クレオパトラは愛するアントニーのため申し出を承知したが、この屈辱に武人アントニーは使者をムチ打って追い返し、敢然と戦いを挑んだ。“アレキサンドリア大激突戦”は凄絶をきわめたが、圧倒的な軍勢を誇るオクタビアス軍が勝利を納め、敗れたアントニーはこの戦いのすべての敗因はクレオパトラの裏切りにあると、いまにも彼女を殺さんばかりに激怒する。恐れをなしたクレオパトラはアントニーの気を沈めるために、砂漠に眠る秘密の廟に身を隠した。ある日、クレオパトラはアントニーの愛を確かめるため、彼の怒りに苦悩すあまり自らの命を絶ったとの偽の知らせをアントニーのもとに届けた。アントニーはこの知らせに深く悲しみ絶望に打ちひしがれ、剣の上に身を伏せ、彼女の腕の中で死ねるように衛兵に命じて、クレオパトラの秘密の廟に運ばせた。運ばれてきた瀕死のアントニーに、クレオパトラは悲しみの涙で頬を振るわせて、2人の思いの齟齬と運命の非情さを嘆き悲しみ、毒蛇を胸にあてがって、アントニーの傍らに横たわると静かに息絶えた。ここに2人の悲劇が厳粛に幕を閉じたのである。
スタッフ・キャスト
- 監督
- チャールトン・ヘストン
- 脚本
- チャールトン・ヘストン
- 原作
- ウィリアム・シェークスピア
- 製作
- ピーター・スネル
- 撮影
- ラファエル・パチェコ
- 美術
- ホセ・アルグエロ
- ホセ・マリア・アラルコン
- 音楽
- ジョン・スコット
- 編集
- エリック・ボイド・パーキンス
- 衣装デザイン
- ウェンディ・ディクソン
- 字幕
- 清水俊二