アトミック・カフェ

劇場公開日:

解説

米ソの原爆製造競争が激しかった当時、アメリカ政府は国民を安心させるために原爆PR用フィルムを製作した。原爆がいかに安全であるか、害のないものであるかをまじめに説いたこの映画は政府や軍部が国民に歴史上に残る嘘をついたことを実証するものであったが、本作はこれをさらに編集し、ドキュメンタリーの要素を持つニシカルなパロディー映画にした。監督・製作は「ハリー・トゥモロー」のケヴィン・ラファティとジャーナリストのジェーン・ローダー、公文書研究の専門家ピアース・ラファティ。編集はケヴィン・ラファティとジェーン・ローダー。調査に当たったのはピアース・ラファティ。音響はマージー・クリミンズ。音楽コーディネーターはリック・イーカー。音楽コンサルタントはリチャード・バスとデイヴィッド・ダナウェイ、チャールズ・ウォルフ。製作コンサルタントはオビィ・ベンツ、スザン・ケラン、ジョージ・ピルスバリー。

1982年製作/アメリカ
原題または英題:The Atomic Cafe
配給:アトミック・カフェ事務局
劇場公開日:1983年8月15日

ストーリー

※本作はドキュメンタリーのためストーリーはありません。

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映画レビュー

3.0懐かしく新しい風景とトリップ感

2019年1月27日
iPhoneアプリから投稿

NHKラジオ「すっぴん!」シネマストリップで高橋ヨシキさんが取り上げていて、いい機会なのでTSUTAYAでレンタル。

既存の政府広報や記録フィルムを再編集し、ナレーションなしで真逆のメッセージを与えたドキュメンタリー映画。
そういう本来の意図とは別に、観ているうちになんだか懐かしくてトローンとしてくるみたいです。
私が高校生の時にベルリンの壁が崩壊し、大学生の頃にソ連が消滅したので、冷戦下の核戦争の脅威を描いた世界観に触れると、自動的に幼年時代の感覚が蘇り、郷愁めいたものが立ち上がってくるわけです。

アメリカ人にとっては日本を降伏させ、戦争を終わらせた福音としての核兵器が、冷戦下の度重なる核実験や、来るべき核戦争への恐怖から、次第に自分たちの生活に影を落とすものになっていく…というリアルな感情の流れが概観できます。

とはいえ原子力のもたらすジレンマは、前世紀の遺物であると同時に、残念ながら今なおつづく古くて新しい問題なわけです。
なので自ら生み出した核に振り回されるアメリカを笑うこともできません。

ヨシキさんも言及されていた通り、核攻撃から身を守るために地べたに身を伏せる挙動「ダック&カバー」のインパクトたるや。
核ミサイルの衝撃を身一つで防ぐという悪い冗談みたいなビデオを繰り返し畳みかけられると、これが現実とは思えずだんだんクラクラしてきます。「未来世紀ブラジル」が実はノンフィクションだった、みたいな。
ついでに、この現代になお真顔でそれを訓練させる政府(本邦)が実在するという悪夢のようなオマケつき。
純粋なメッセージ性ばかりでなく、現実が揺らぐトリップ感覚も味わえます。

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