青いパパイヤの香り

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説

1993年・第46回カンヌ国際映画祭でカメラドール(新人監督賞)を受賞したトラン・アン・ユン監督の長編デビュー作。パリ郊外のセットに再現されたサイゴンの一軒家を舞台に、1人の少女の成長を瑞々しい映像で叙情豊かに描き出す。1951年、ベトナム。10歳の少女ムイが、サイゴンで暮らす一家のもとへ奉公にやって来る。その家には、琵琶ばかり弾いて何もしない父と、布地屋を営む働き者の母、社会人の長男と2人の弟、そして祖母が暮らしていた。一家にはかつて幼い娘がいたが、父が家出している間に病に侵され、そのまま死んでしまった。ムイは先輩の奉公人から仕事を教わり、朝から晩まで懸命に家事をこなしていく。そんなムイに、一家の母は亡き娘の姿を重ね合わせるのだった。ある晩、長男の友人クェンが一家を訪れ、ムイは彼に密かな憧れを抱く。成長したムイを演じるのは、後にトラン・アン・ユン監督の公私に渡るパートナーとなるトラン・ヌー・イェン・ケー。

1993年製作/104分/フランス・ベトナム合作
原題または英題:L'odeur de la papaye verte
配給:デラ・コーポレーション
劇場公開日:1994年8月13日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第66回 アカデミー賞(1994年)

ノミネート

外国語映画賞  

第46回 カンヌ国際映画祭(1993年)

受賞

カメラドール
カメラドール トラン・アン・ユン

出品

ある視点部門
出品作品 トラン・アン・ユン
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映画レビュー

4.0映像で魅了する、女性の物語

2023年11月5日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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つとみ

3.5耽美

2023年7月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

ずっと美しい絵画を見ているような感覚。陰影、インテリア、植物、生き物のカットイン、どれもそこで生活している人を美しく彩るような妙があった。
音楽も環境音もベトナム語も、耳に入ってくるもの全てが心地よい。
性的な表現なんて一切ないのに、生活の描写に湿度を感じて色気がある。
ストーリーはよくわからんかった。

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nemo

5.0美しさとリアリティとドリーミィ

2023年7月22日
iPhoneアプリから投稿

時々映る、パパイヤの木や、虫や、主人公の汗、などから、
蒸し暑いベトナムの世界を想像することができて、まるでベトナムにいるような気持ちになりました。料理のシーンもとても貴重に感じた。映像がすごく美しかった。

また、奥行きを感じる撮影技法とユニークな2人の兄弟の登場は、日本の名監督、小津安二郎の映画”お早う"を彷彿させた。

しかしこの映画は美しいだけではなかった。

音楽の使い方がすごく斬新でした。

恐怖をあおるような音楽が時々流れます。

そしてすこしエロティックでもありました。
しかも、エロティックを、
ストレートに表現していなくて、
そこもすごくよかった。

わたしは好きな映画でした。

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aiueo

4.0エッチです

2022年9月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

卓越した隠喩法と秀逸な細部の描写によって彩られた完成度の高い作品です。

「描かずにして描く」――そのようにして描かれた性は、また、生をも表現しているのかもしれません。

主人公ムイの肌にうっすらと浮かぶ汗が印象的です。それはベトナム・サイゴンの湿度や空気を感じさせる(僕はサイゴンを2度訪れました)と同時に、20代のシーンでは健康的かつ艶かしい女性のエロチシズムを感じさせます。抑制の効いた演出が、かえって想像力を刺激します。

物語の前半は、南の国の、ある一家の生活をのぞき見るような感覚で作品を鑑賞しました。

後半はセリフが極端に少ない。
考えるのではなく、観客が感じることに重点を置くようにつくられているのでしょう。

静かに語りかけてくる名作。
起伏に富んだストーリーでないにもかかわらず、退屈させずに見せる、監督の並々ならぬ技量に感服しました。

ただ一点、肝心のパパイヤ(庭になっていたもの)が何故かそれほど瑞々しく見えなかったのが少し気になったけど、撮影地がパリということだから、思ったようなものが用意できなかったのでしょうか。

それにしても少女時代のムイは、とても可愛いですね。

追記
もしやと思って鑑賞後に調べたら、やっぱり、本作のトラン・アン・ユン監督、『ノルウェイの森』を撮った人だったんだ。
こんなに素晴らしい作品をつくる監督だから、春樹さんも映画化を許可したのだろうな。

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peke