哀愁のレビュー・感想・評価
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蛍の光、別れのワルツは本作がルーツだそうです
正に名画です 哀愁という邦題は見事というほかにありません それ以外にどうこの震える感情を表せるというのでしょうか ウォータールー橋は第二次大戦中は鉄骨のトラスが連なる橋だったようです 今は吾妻橋のような2車線の車道を両側の歩道が挟んだ欄干が有るだけの橋になっているようです そして劇中の第一次大戦中もその姿のようです いずれにしても何の変哲も無いただの大きい橋です 上野駅のような大きいウォータールー駅に渡るだけの橋です その橋の欄干にもたれて夜の闇の中で物思いにふけり佇む初老の軍人 その姿を表現するにはその言葉しか有りません 戦時中の1940年の製作です この年の5月末にはダンケルクでイギリス軍40万人が命からがら大陸から逃げ帰っています そして7月からはロンドン爆撃と首都上空での大空中戦がおこなわれています つまり彼は今夜出撃すれば、命がどうなるかわからない状況であったのです そのことを頭にいれるとより彼の心情が伝わってきます ヴィヴィアン・リー27歳 美しく気高く、そして驚くほどに細い バレリーナという設定に説得力のあるバレーを幼少から鍛練してきた女性特有の骨格と細さです ほほも痩け気味です それが薄幸の運命を表現してもいます ラストシーンのウォータールーを目を大きく見開き歩道をさ迷う鬼気迫る表情の演技は心に刻まれる名演技でした 311の後にプチ結婚ブームがありました 大災害を目の前にして明日をも知れぬ死の恐怖を知った時、理屈を超えて人は恋を急ぐものだと感じたものです まして戦争ならどうでしょうか? 明日もまた変わらぬ日々が続くという安心があるから、恋もまた急ぐ必要も無く、偶然の出会いも大切することもない それが平和な現代の日本です それは幸せなことです しかし時は有限です 若い人生の夏は振り返ってみればあっという間のことです 明日死ぬかも知れないと思って生きれば、偶然の出会いももっともっと大切に育てることができるのかも知れません
近代版 白鳥の湖
(映画を見た人だけ見てください)
白鳥の湖 において、ヒロインを殺したのは魔女の呪いです。
waterroo bridge において、ヒロインを殺したのは 尊厳という呪いです。
現在のバレエは 芸術として高い水準の文化として認知されていますが、戦時中はそうではなく、バレエダンサーは水商売の様な扱いを受けていました。
作中ではあまりバレエの歴史は出てきませんが、そういう目線で見ると 面白いです。
直接的なバレエの話ではありませんが、ヒロインの行動や考えの軸にあるものは、当時のバレエの在り方だと思います。
なぜ 生きることが優先される時代に、ダンサーは貞操を守る必要があるのか。
階級や職種を越えて、2人の人間が同じ立場になるにはどうすればいいのか。
そういうのを守ることが、果たして人間としての尊厳なのか。
現代に暮らす私たちは、平和になったはずなのに、むしろ 人間の尊厳 という部分においては、めしいになっているきらいがあります。
それどころか、逆に 当時で言えば尊厳にあたるものを、失うか 或いは 奪うか する事に価値観を抱いている部分があります。
現代人の言うところの、勝ち組 という言葉に表されるように。
悲劇 と言えば この映画はそれまでですが、これが悲劇なら私たちはもっと悲劇なんじゃないですか?
この映画を見て、私は好きという気持ちをもっと大事にすべきなんだ、と思いました。
何度見ても感動してしまう。ビビアン・リーが気高く美しい。在らん限り...
何度見ても感動してしまう。ビビアン・リーが気高く美しい。在らん限りの哀しみと美しさが詰まった切なさの余韻がいつまでも残る名作。
「哀愁」という邦題に・・
「風と共に去りぬ」のヴィヴィアン・リーは南北戦争の戦時下で強く生きていく女性を演じ、「哀愁」の彼女は最期に自殺する悩めるバレエ・ダンサーの役を演じている。どちらも彼女自身で素晴らしい演技力だ。また若く美しい・・ネタバレは避けるが、舞台は第一次世界大戦下のロンドンで、結婚を決意した青年将校とバレエ団をクビになった美しいダンサーの恋愛物語。結末は悲しいが邦題の「哀愁」は上手に付けられたタイトルだ。原題は「ウォータルー橋」というらしい・・1940年のアメリカ映画。
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