死者の書

劇場公開日:2006年2月11日

解説

奈良県にある真言宗の古刹・當麻寺に伝わる伝説と大津皇子の史実をモチーフに、仏の教えに帰依する藤原南家の娘が非業の死を遂げた皇子の魂を鎮めるまでを描いた長篇人形アニメーション。監督は「ひさかたの天二上」の川本喜八郎。折口信夫の同名小説を基に、川本監督自身が脚色。撮影を「冬の日」の田村実と「SOSこちら地球」の伊丹邦彦、山屋恵司、今野聖輝、佐藤大和、「海女のリャンさん」の木村光男、『リボルバー |青い春|』の森英男が担当している。ヴォイス・キャスト主演に、「春の雪」の岸田今日子と「阿修羅城の瞳」の宮沢りえ。第79回本誌文化映画ベスト・テン第3位、第27回ぴあフィルムフェスティバル上映、日本映画ペンクラブ賞 文化映画第2位、第2005年ザグレブ国際アニメーション映画祭長編部門審査員特別栄誉賞受賞、2005年度文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞受賞、文化庁芸術団体重点支援事業、東京都知事推奨、文部科学省選定作品。

2005年製作/70分/日本
原題または英題:The Book of the Dead
配給:桜映画社
劇場公開日:2006年2月11日

あらすじ

8世紀中頃の奈良・平城京。仏の教えに帰依する大貴族・藤原南家の姫・郎女は、春の彼岸の中日、部屋から遠く望む二上山のふたつの峰の間に尊い俤びとの姿を見、『称賛浄土仏摂受経』の千部写経を発願。1年後の同じ日にそれを完成させると、何かに導かれるようにして當麻寺へと辿り着くも、女人禁制の結界を犯したとして万法蔵院の庵室で物忌みをすることになり、そこで當麻の語部の媼から持統天皇に謀反の罪を着せられ処刑、二上山に葬られた大津皇子の話を聞かされる。実は、彼女をここへ誘いたのは、死の直前に一目見た女性・耳面刀自の面影を郎女に見た皇子の亡霊だったのである。やがて、そんな皇子の亡霊が俤びとの姿と重なって見えるようになった郎女は、その寒々とした身を被う衣を作ろうと、蓮の糸で布を織り始め、織り上がった上帛の上に俤びとの姿を描き表し、皇子の魂を鎮めるのであった。

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映画レビュー

3.0 海外で公開される際には「DEATH NOTE」になる・・・(ウソ)

2025年9月3日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 日本史は苦手です。かいつまんでみると、「奈良時代、東大寺の大仏殿が完成した頃。藤原南家の郎女が浄土教の千部写経を終え、何かに取り憑かれたかのように女人禁制の当麻寺へ来てしまった。そして50年前に処刑された大津皇子の魂と出会い、その魂を鎮めようとする・・・」といったストーリーらしいです。

 オープニングは教育ビデオのように奈良時代の説明が十数分。一瞬、映画を間違えたんじゃないかと思いましたが、このプロローグがないと人物関係もわかりません。これがわかったからといって、日本史が好きになるわけでもなく、“郎女”と書いて“いらつめ”と読むんだとわかっただけで満足しました。

 人形アニメの美しさだけが心地よくて、大津皇子の亡霊にしてもおどろおどろしいわけじゃなく、むしろ少女漫画に出てくる王子様のような雰囲気でした。郎女と大津皇子の亡霊が互いに惹かれあって、もしかすると恐ろしい展開になるかと思えば、なんとかそれを鎮めようとするだけだったし、その手段にしても蓮の糸を紡いでいくという理解不能な方法でした。大津皇子の霊を呼び覚ましてしまう9人衆も理解不能です・・・

 時折現れる老婆が黒柳徹子の声。あぁ、黒柳さんだとすぐにわかるのですが、郎女の乳母がタマネギ頭なんだから、声優の選択を間違ってるんじゃないかと余計なことまで考えてしまいます。それにしても、大津皇子はなぜ処刑されたのか、わかりませんでした・・・

【2005年ケーブルテレビで鑑賞】

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kossy

4.0 當麻縁起

2024年6月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

興奮

知的

難しい

僕の地元奈良には様々な伝承、言い伝えがある
この伝承、言い伝えを残したのは人間の創作によるものであるが、その創作の最大かつ最高の創作は、死の印象だ。

それを決定づける一つの物語として編まれた當麻縁起を
これまた、創作及び伝承のプリミティブかつ上質な方法で
舞台化し作品で残したものが本作であると思う。

折口信夫と言う稀代の俳人と
川口喜太郎と言う上級人形作家による怪作

必見である。

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tomokuni0714