スラバヤ殿下
劇場公開日:1955年1月21日
解説
菊田一夫の原作を「お月様には悪いけど」の柳沢類寿が脚色した喜劇で、「天国と地獄」の佐藤武が日活入社第一回監督に「黒い潮」の横山実が撮影に当る。出演者は、「陽気な天国」の森繁久彌、丹下キヨ子、三木のり平、「女人の館」の馬淵晴子、「鉄腕巨人」の内海突破のほか飯田蝶子、有島一郎、市村俊幸など。なほ徳川夢声が解説者として声の出演をしている。
1955年製作/86分/日本
原題または英題:Prince Sourabaya
配給:日活
劇場公開日:1955年1月21日
ストーリー
長曾我部永二は南洋密入国がばれて、日本へ送還された。彼は反原子論物理学者長曾我部久太郎博士の実弟だが、兄とは似つかぬペテン師だった。東京へ着いた永二は、原子万能薬のインチキ会社を設立し大儲けをしたが、労働争議が起り金策に困って兄博士の家へ無心に行った。しかし博士と婆やに叱られ、婆やの孫娘なほえに笑われ、永二は逃げ出した。なほえは永二が若い時婆やの娘に生せた子だが、博士と婆やは彼が父親であることを隠していた。その頃A国の間諜ジョウとB国の間諜ズルコフは、博士の鞄の秘密資料を狙っていた。スパイ等は永二を博士と間違えて、彼の鞄を買い取ろうとしたので、金を欺し取りその金で争議を収めた。しかしそれもばれて、永二は追い廻される身となった。博士は顔見知りの流行歌子真野かほるの誕生祝に招かれ、銀座のキャバレーへ行った。そこへ逃げ場を失った永二が飛び込み、追って来たスパイ等も博士と永二の区別かつかず大騒ぎをした。二人はやっと逃れたが、永二は日本に居られないと悟った。そこで永二は漂着したスラバヤの殿下に化けて、堂々と送り帰してもらおうと考えた。筏で海岸に漂着したふりをした永二は、スラバヤ殿下になりすまし話題の焦点となった。そのためスターとしてショウに出演し、なほえも役をもらい初舞台をふんだ。正体がばれかけたが、プロデューサー谷川の好意でショウは続けられた。初めて人間らしい気持にふれた永二は、娘なほえの舞台姿に涙ぐんだ。翌日永二は皆に見送られ、羽田から南の空に向った。