はだしのゲン・2
劇場公開日:1986年6月14日
劇場公開日:1986年6月14日
1945年8月6日午前8時15分の広島市街への原子爆弾による空襲で生き残った子供たちのその後の生活を描いた話。
点数2.5。お勧めしません。漫画版のエピソードを適当に抜き出しただけなのでまとまりがなくバラバラなストーリーの寄せ集めの作品。面白くない。起承転結がなく盛り上がりに欠け唐突に話が終わる。戦争と原爆に打ちのめされた人々はそのほとんどが心が荒んでおり他人を思いやる余裕がないので見ていて悲しくなる。
この作品で描かれる敗戦直後の日本の荒廃した世界には神や仏などはいないかのようである。現実でも新興宗教が流行る時代は世の中が豊かになって人々の心に余裕ができる時代である。本作品のような戦後の荒廃した社会には神も仏も存在しないがこういう時代を生きる残るために努力する人間はとても強いと感じた。人類は自分が思っている以上に潜在能力が高く強いと思った。本作品からは戦争の本当の恐ろしさは空襲や侵略の恐怖ではないということを知ることができる。戦争の本当の恐ろしさは平和な社会のシステムが崩壊してしまうことにより国民どうしで憎しみ合ってしまうことだ。一度崩壊した平和な社会のシステムは完全な姿では元には戻らない。主人公の少年ゲンは仲間のリュウタとともに平和な社会のシステムが崩壊した世界で逃げることもどうしようもできないギリギリの人生の戦いを戦って生き抜きぬいていく。
この映画の良い所は戦争のリアルを飾らずに描いていること。この映画の悪い所は悪い言葉使い、暴力シーンなどがオブラードに包むことなく表現されているので見ていて気持ちのいいものではないこと。ストーリーが原作漫画のエピソードをつなげたものなので起承転結がはっきりせず面白くない。唐突に物語が終わる。終わり方が盛り上がりもなくあっけない。勝子の顔のやけど跡をゲンが舌で舐めるシーンは原作通りだが手を握る程度に穏やかにリメイクしたほうがよいと思った。今見ると衝撃的なシーンが多い。
はだしのゲンは漫画が有名だ。原爆被害を実際に体験した作者が書いているので非常に臨場感があり引き込まれる漫画作品だ。しかし戦後の反戦教育は多くの功罪を残した。原子爆弾を神のように恐れるあまり戦うことが罪の宗教のようになってしまった。戦勝国といわれるアメリカでも兵器を作り続けないといけない戦勝国の呪いがいまだにアメリカ国民を苦しめ続けている。戦争にはほんとうの勝ち負けはないのである。もうひとつの戦争の恐ろしさは民衆を殺戮できる能力をもった兵器がいつまでも消えずに残ること、一度開発された兵器はより強力な兵器に上書きされるまで残る。原子爆弾などどの兵器にも探せば弱点はある。恐れすぎない為には冷静になって調べる姿勢が必要である。超パワーや奇跡や超能力が描かれるアニメ作品が多いが戦争でどうしようもできない思いをした戦後の先人たちが考えたアイデアが超パワーや奇跡や超能力であったのだろうと思うとドラゴンボールや北斗の拳やAKIRAをいままでとは違った思いで見ることができる。
本作品は戦争の悲惨さを訴えたい作品であると思うが戦争による精神的、経済的、肉体的な痛みは当事者でないと本当には理解できないのであろう。現代兵器は相手の顔が見えない遠距離から攻撃できるので傷つけられる人の痛みがわからない。ネットの誹謗中傷もそうであるが人の痛みがわかりにくい社会になってゆくのは遺憾である。
視聴:液晶テレビ(有料配信アニメタイムズ) 初視聴日:2025年7月5日 視聴回数:1(早送りあり) 視聴人員:1(一人で見た)
監督は『火の鳥 ヤマト編』『ユニコ』『カッパの三平』の平田敏夫
脚本は『火の鳥 ヤマト編』『火の鳥 宇宙編』『がんばれ!!タブチくん!! 激闘ペナントレース』『スーパーマリオブラザーズ ピーチ姫救出大作戦!』『火の鳥 鳳凰編』『ハローキティのおやゆびひめ』の高屋敷英夫
1986年公開作品
1983年公開『はだしのゲン』の続編だが監督も脚本家も違う人
今も度々右左共に問題視されている原作のエグすぎる表現内容の数々は『はだしのゲン』の特徴の一つといえる
前作もそうだが今作もそういうトラブルの元になっている一連の類は大胆にカットしている
原作ファンはもちろんのこと『はだしのゲン』全巻未読者で噂により過剰に期待した方々は物足りなく感じても無理はない
右寄りから批判もさることながら今日(こんにち)では明らかに差別用語とされている単語も数多く左寄りからも全面的に正当化できるものではない
僕自身皇室制度維持反対派で天皇陛下に特別な思い入れはないしネットスラングはともかくそれ以外の言葉狩りは好まないが
当初は週刊少年ジャンプで連載されていたが不人気のため打ち切りとなりジャンプコミックスとして単行本化されていない
その後日本共産党や日教組の機関紙で連載が続けられ学校の図書室に並ぶ異例の漫画として特別扱いされていた
ちなみに広島も終戦直後連合軍に占領されたが統治していたのはアメリカ軍ではなくてイギリス軍だった
広島に落とされた原子爆弾に落下傘はついていなかった
などなどアニメ映画には事実誤認が多いが原作はそれを遥かに凌ぐ
はっきりいって『はだしのゲン』は原作からにして元の父姉弟が亡くなったあとは消化試合みたいなものだ
だが採点として星3.5は与えたい気持ちだ
声の配役
主人公の中岡元に宮崎一成
進次にそっくりな弟分の隆太に甲田将樹
元の母に島村佳江
浮浪孤児のリーダーの政に中村啓
火傷のあとが痛々しい浮浪孤児の勝子に青山貴美
政の子分のドングリに山本真人
政の子分のカッチンに高木宏司
政の子分のムスビに佐藤真澄
浮浪老人の松吾に北村弘一
ちょび髭の先生に青野武
医者に西村淳二