劇場公開日 2004年7月31日

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「今日は75年目の原爆記念日」父と暮せば kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0今日は75年目の原爆記念日

2020年8月6日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 元は舞台劇なので父と娘の会話中心。しかし、悲惨な映像を映し出さないのに原爆の傷跡を胸が絞め付けられるほど痛感させられた。生き残ってしまったたために申し訳ないと幸せを捨て去ろうとする美津江に、応援団長と名乗り、希望を与えてくれる父。生き残ってる者をも不幸にしてしまう戦争の醜さをひしひしと訴えてくる。

 木下がくれたお饅頭について真剣に論議する父娘。なんとか二人を結び付けたい一心で、幽霊となってきた。原爆瓦や体内から出てきたガラスの破片。こうした小物だけでも痛さが伝わってくる。美津江が物語を語り継ぐ会に所属していたこともあって、真実をねじまげないで後世に伝えるという信念が戦争体験を語り継ぐことの伏線にもなっている。

 被爆者であることを隠し通そうとする人たちがどれだけ多かったことだろう。本来ならば、もっともっと被爆体験記が世に出ていいはずなのに、この主人公と同じように生きることの希望を失った人が多いことは容易に想像できる。亡くなった犠牲者の分まで真摯に生きて、戦争の悲惨さを語り継ぐ。戦争を体験していない者ももっと頑張らねばと考えさせられた。

kossy
きりんさんのコメント
2020年8月6日

〉もっと頑張らねば
本当ですね。頑張ります。

原爆は、投下予定地として新潟、富山、小倉などリストに上がっていたそうですが、同じ大きさの模擬爆弾が実は日本中で空襲のおりにたくさん投下されていたことを最近知りました。

昨今の「敵基地攻撃能力」なんて話ではなくて愚直に「核兵器はやめよう」と総理や防衛相は世界を行脚してもらいたいのになぁ!

きりん