アンデルセン物語(1968)
劇場公開日:1968年3月19日
解説
「ひょっこりひょうたん島」の井上ひさし、山本護久が共同でシナリオを執筆し、「少年忍者 風のフジ丸」の矢吹公郎が演出を担当した長編まんが。撮影は「ガリバーの宇宙旅行」の林昭夫。
1968年製作/80分/日本
原題または英題:Fables from Hans Christian Andersen
配給:東映
劇場公開日:1968年3月19日
ストーリー
アンデルセン靴店の息子ハンスと、マッチ売りの少女エリサは仲の良い友だちだった。ある日、二人の住む町に世界中の子供に夢を配って歩く眠りの精オーレおじさんが現われて、教会の鐘楼に住みはじめた。オーレおじさんは、ハンスの友だちのケケやゴロの部屋を、たちまちバラ色にしてしまった。しかし、あまり働き過ぎてしまい靴のかかとを折ってしまった。町の靴屋は、年一度の“赤い靴”コンクールのため手が離せず、ハンスの父がオーレおじさんの靴を修理した。オーレおじさんはそのお礼に赤い革を置いていった。その頃、エリサは隙間だらけの寒い部屋でふるえていたが、見かねた黒猫のゴロが町長宅に忍びこんで襟巻を盗み出してきた。そのためにエリサは家を追い出されてしまった。一方、ハンスはそんなエリサの行方を探していたが分らないまま、赤い靴コンクールの日がやってきた。誰が見てもハンスの父の作った靴が一番と思われたが、町長の娘カレンがその靴を持ち去ってしまった。コンクールの賞金で王立劇場の芝居を見ようと胸をふくらませていたハンスは落胆したが、ある日、働いて貯めた金で劇場に行った。ハンスはそこで、道行く人にマッチを売っているエリサを見つけ、彼女の手にお金を握らせてやった。劇場ではオーケストラがクライマックスだったが、突然カレンが立ち上り、踊り始めた。心のみにくい人が赤い靴をはくと、その人は永遠に踊りつづけなければならないのだ。カレンが後悔し涙を流しながら、ついに雪の上に倒れた時、オーレおじさんがカレンを救った。そして、オーレおじさんの推薦で劇場の舞台に立ったハンスは、エリサを想いながら一つの物語を話しはじめた。--寒い大晦日の夜、マッチ売りの少女が冷たい手をあたためるため、一本のマッチを燃した。そしてまた一本、また一本。翌朝、少女はほほえみをあどけない顔に残しながら、雪に包まれて倒れていた--ハンスが話し終った時、観客は熱狂の拍手を送った。世界中で親しまれている童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンの誕生だった。