壬生義士伝

劇場公開日:

解説

新選組に参加した、名も無き武士のひたむきな生き様を描いた時代劇。監督は「陰陽師」の滝田洋二郎。浅田次郎の同名小説を基に、「あ、春」の中島丈博が脚色。撮影を「姐御 ANEGO」の浜田毅が担当している。主演は「竜馬の妻とその夫と愛人」の中井貴一と「うつつ UTUTU」の佐藤浩市。第15回東京国際映画祭特別招待、芸術文化振興基金助成事業作品。

2002年製作/137分/日本
配給:松竹
劇場公開日:2003年1月18日

あらすじ

明治三十二年、東京市。冬のある夜、満州への引っ越しを間近に控えた大野医院に病気の孫を連れてやってきた老人・斎藤一は、そこにかつて新選組で一緒に戦った隊士・吉村貫一郎の写真を見つける…。盛岡の南部藩出身の貫一郎は、純朴な外見に似合わない剣術の達人であった。が、その一方で名誉を重んじ死を恐れない武士の世界に身を置きながら、生き残ることを熱望し、金銭を得るために戦った男でもあった。全ては、故郷で貧困に喘ぐ家族のため。脱藩までして新選組に入隊した彼には、金を稼ぎ、愛する家族のために生き残る必要があったのだ。斎藤はそんな貫一郎を嫌ったが、反面、一目置くところもあった。時が過ぎ、大政奉還。一転して賊軍となった新選組は、官軍の制圧に遭い壊滅状態に陥る。ところが、貫一郎だけは脱藩で裏切った義を二度と裏切れないと、たったひとりで最後まで戦い抜いた。そして、傷ついた彼は大阪蔵屋敷の差配役として赴任していた幼なじみの大野次郎右衛門の情けで、官軍に引き渡されることなく、故郷を想いながら切腹したのだった。思いかけず、次郎右衛門の息子・大野千秋から、気になっていた貫一郎の最期を聞くことが出来た斎藤。彼は、貫一郎の娘で今は千秋の妻となった小児科医・みつの診断を終えた孫を連れ、夜の道を帰っていった。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

監督
脚本
中島丈博
原作
浅田次郎
企画
石川博
遠谷信幸
企画協力
文藝春秋
プロデューサー
宮島秀司
榎望
協力プロデューサー
渡井敏久
製作プロデューサー
野村芳樹
水野純一郎
クリエイティブ・プロデューサー
中嶋竹彦
プロデューサー補
田村健一
撮影
浜田毅
ステディカム
佐光朗
プロダクション・デザイン
中嶋竹彦
美術
部谷京子
装飾
小池直実
中込秀志
音楽
久石譲
音楽プロデューサー
小野寺重之
録音
小野寺修
音響効果
伊藤進一
照明
長田達也
編集
冨田功
冨田伸子
隊服デザイン
河底美由紀
衣裳
木田文雄
真柴紀子
衣裳コーディネート
江木良彦
製作主任
砥川元宏
製作担当
氏家英樹
助監督
足立公良
スクリプター
赤澤環
スチール
北脇克己
視覚効果
橋本満明
特殊効果
橋本満明
VFXプロデューサー
佐藤高典
CGIプロデューサー
平興史
特殊メイク
原口智生
山田陽
造型スーパーバイザー
原口智生
特殊造型
三木康次
殺陣
諸鍛冶裕太
製作代表
大谷信義
菅谷定彦
鞍田暹
俣木盾夫
石川富康
菊池昭雄
全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

第27回 日本アカデミー賞(2004年)

受賞

作品賞  
主演男優賞 中井貴一
助演男優賞 佐藤浩市

ノミネート

監督賞 滝田洋二郎
助演男優賞 三宅裕司
助演女優賞 中谷美紀
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映画レビュー

3.0新選組の隠れた剣客をラスト・サムライとして描いた感動巨編…の映画化

2025年4月10日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

本作を〝泣ける映画〟の一つに上げる人も少なくないが、浅田次郎の原作こそが涙なくしては読めない小説なのだ。
1998〜2000年にかけて週刊文春に連載されたこの長編は、浅田次郎にとってはじめての時代小説だという。
この小説をどうまとめるかという脚色の工夫が見せどころだが、中井貴一と佐藤浩市に〝おんぶに抱っこ〟感は否めない。

史実が背景にある物語で、しかも新選組が舞台となると、誰もが知っているキャラクターが大勢いる。その中でそれほど有名ではない吉村貫一郎を主人公にしているから、有名人を出さないわけにはいかない。2時間程度の一編に彼らを散りばめつつ、激動の時代を見せなければならないのだから大変だ。
その結果、やや散漫かつ説明不足になってしまったようで残念だ。

この映画に先んじて、テレビ東京がテレビドラマ化していて、渡辺謙・渡辺大の親子に一人の主人公を演じさせて話題になった。このドラマは新春恒例のワイド時代劇(放送枠10時間=正味8時間半ほど)の長尺だったにも拘らず、新選組において武士の義を貫く吉村貫一郎の立ち位置に的を絞ったうえで、関わる新選組隊士たちも整理されていてアレンジが上手かった。
これが先にあるので、アプローチを変えなければならない制約があったとは思う。
さらに、当初監督の予定だった相米慎二が急逝したという不測の事態もあった。
(脚本が中島丈博だから、監督が相米慎二だったら『あ、春』のコンビ)

明治の末期に偶然出会った斎藤一(佐藤浩市)と大野千秋(村田雄浩)が語り手となって、斎藤一から見た吉村貫一郎(中井貴一)と、斎藤一が知らない吉村貫一郎を見せていくアイディアは良い工夫だったと思う。
しかし、残念ながら斎藤一が吉村貫一郎のどこに本当の侍を見たのか、吉村貫一郎が何をモットーとして生きてきたのか、この物語の根幹の部分に迫れていないと感じた。

映画は吉村貫一郎切腹直前のモノローグが感動の頂点で、中井貴一が一人芝居で映画を締めているのはサスガだ。
ところが、最後の最後に老人斎藤一が盛岡弁を口にしながら去っていくのが、なんとも陳腐な印象を残してしまった。

谷三十郎(神田山陽)・近藤周平(加瀬亮)兄弟の挿話は、斎藤一の闇討ちを吉村貫一郎か見抜くエピソードとして必要だったかもしれないが、中途半端に尺を食っているから、もっと大胆な削り方をしても良かったのではないだろうか。
逆に、斎藤一の情婦ぬい(中谷美紀)を絡めて吉村貫一郎と斎藤一の関係を描いたのは悪くなかった。ただ、斎藤一の人物を描くほど吉村貫一郎の人物が描ききれていないので、どこに尺を割くかは微妙なところ。映画の色付けとして中谷美紀のパートは貴重ではあった。

それにしても…
沖田総司に美剣士のイメージを定着させたのは司馬遼太郎だろうか。早逝しているからか、美“少年”的なイメージも定着している。
本作では堺雅人が沖田総司を演じているが、浅田次郎の小説では斎藤一は沖田の2歳年下の設定であり、歴史の資料から見ても沖田の方が年上か、せいぜい同い年なのだ。
堺雅人だと、佐藤浩市より10歳以上若いことになる。
もっとも、沖田も斎藤も壬生狼時代はまだ20代だったのだけれど…。

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kazz

3.5悲しくも温かい

2024年10月3日
スマートフォンから投稿

泣いてみたくて観てみました。

良い話だとは思います。

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ひげまんじゅう

4.0新撰組の話を知らなくても、OK

2024年9月4日
PCから投稿

一言「2時間半、たっぷり堪能」。

2003年作品、とにかくみなさん若い(堺雅人さんが沖田総士役だったり)。
浅田次郎さんの原作も、新撰組のことも知らないので、ふむふむと。

ユニークだなと思ったのが。
原代(明治32年)を生きる人々の、回想シーンで進む話。

主人公・吉村貫一郎が、脱藩してまで新撰組に入った話や、その人柄。
南部訛り(字幕で鑑賞しないとわからん!!)の、優しい言葉の裏に。
脱藩してまでなぜ戦う理由。

同じく新撰組の斎藤一の視線からみる話も。
吉村の人物像を濃く出していて、考えは相反するけど仲間。

愛する人や国を守るため、闘った人たち、残された人たち。
その思いが現代に続いているラストシーン。
この人ここで出てくる・・・!とちょっと驚き。

⭐️今日のマーカーワード⭐️
「見送りの言葉を、言ってはならぬ」

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ゆき@おうちの中の人

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