離婚しない女
劇場公開日:1986年10月25日
解説
北海道、根室を舞台にひとりの男とふたりの女の三角関係を描く。連城三紀彦原作の同名小説の映画化で、脚本は「恋文(1985)」の高田純と神代辰巳の共同執筆、監督も同作の神代辰巳、撮影は「人間の約束」の山崎善弘がそれぞれ担当。主題歌は、西島三重子(「冬なぎ」)。
1986年製作/107分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1986年10月25日
ストーリー
釧路ウェザーリポート根室支社に勤める私設予報官、岩谷啓一は、町の実力者、山川正作にトローリングに誘われた。気象庁も予知できなかった大時化の徴候を見やぶって漁船を救って以来、気に入られたのだった。その帰り、酔いつぶれた山川を自宅に送った啓一は、山川の後妻、美代子と初めて顔を合わせた。彼は山川と美代子の仲が冷えきっていることを感じる。翌日、出張で根室から釧路へ向かう列車の中で、啓一は美代子とよく似た女性、高井由子と出会った。由子が置き忘れたショッピングバッグがきっかけで、啓一は彼女が人妻で「冬凪亭」というライブハウスのオーナーであることを知る。啓一は同時に二人の女性に魅かれていく。ある日、啓一と美代子は結ばれた。大金を渡す美代子に、啓一は買われてやると答える。由子の店が赤字と知った啓一は、美代子から貰った大金を渡した。啓一を愛し始めた由子は、夫の直和に離婚をもちかけるがとりあってくれない。由子は啓一にも離婚の決意を告げた。その時、二人の前に美代子が車で通りかかり挨拶をした。その夜、啓一のマンションを訪れた美代子は、山川を殺して欲しいと言いだす。由子は東京行きの飛行機の切符を2枚啓一に渡し、家庭を捨てる決意を語るが、直和が息子の明雄を連れて店の中へ入って来たため、話は中断してしまう。啓一は空港で由子を待つが、彼女は来なかった。一所懸命に車を走らせたのだが間にあわなかったのだ。ある夜、山川は愛人、利江の店で啓一と飲んでいるからと美代子を呼びだした。そこで山川は、啓一と美代子の関係を知っていることを告げ、二人をなぶる。美代子を送って行った啓一は、山川を殺すことに同意した。美代子は由子を訪ねた。流氷を前に二人は啓一に対するお互いの想いをぶつけあう。啓一が来てくれるまで待つと言う由子に、会わせてあげないと答える美代子。由子は啓一と寝なかったことで愛を貫いてみせると宣言した。日曜日、啓一は山川を釣りに誘った。美代子も山川の娘、京子も一緒である。山川が突然、離婚届を半年前に出したことを告げ、美代子を幸福にして欲しいと啓一に頭を下げた。啓一はナイフを取りだすが、殺す気もなくなったとすぐに捨てる。感情の高ぶった美代子は山川を海へ突き落とそうとする。だが、逆に山川が美代子を落とそうとした。その時、叫び声をあげて京子が海に飛び込んだ。京子の葬儀の日、焼香客の中に由子の姿もある。美代子は皆の前で錯乱してしまう。冬凪亭を訪れた啓一に、由子は夫と別れたこと、気が狂うまでに啓一を愛した美代子に負けたと告げた。そして、啓一は美代子の病室に寄りそうのだった。