復讐するは我にあり

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解説

九州、浜松、東京で五人を殺し、詐欺と女性関係を繰り返した主人公の生いたちから死刑執行までを辿る。昭和五十年下期の直木賞を受賞した佐木隆三の同名の原作の映画化で、脚本は「ギャンブル一家 チト度が過ぎる」の馬場当、監督は「にっぽん戦後史 マダムおんぼろの生活」の今村昌平、撮影は「野性の証明」の姫田真佐久がそれぞれ担当。

1979年製作/140分/日本
原題:Vengeance is Mine
配給:松竹

ストーリー

日豊本線築橋駅近くで専売公社のタバコ集金に回っていた柴田種次郎、馬場大八の惨殺死体が発見され、現金四十一万円余が奪われていた。かつてタバコ配給に従事した運転手榎津厳が容疑者として浮かんだ。榎津は駅裏のバー「麻里」のママ千代子を強姦、アパートに連れこんで関係を強要し続けるなど、捜査員の聞き込んだ評判も悪い。二ヵ月前までは、ヌードダンサー上りで「金比羅食堂」をやっていた吉里幸子と同棲、母子家庭をガタガタにもした。数日後、宇高連絡船甲板に幸子と両親宛ての榎津の遺書と、一足のクツが見つかり、投身自殺の形跡があった。偽装と疑った警官が別府市・鉄論で旅館を営む榎津の実家を訪れると、老父鎮雄、病身の母かよ、妻加津子は泣きながら捜査の協力を誓う。一家は熱心なカトリック信者だが、戦争中、厳は網元をしていた父が軍人に殴られ、無理矢理舟を軍に供出させられた屈辱の現場を目撃して、神と父への信仰を失い、預けられた神学校で盗みを働き、少年刑務所へ送られた。その後も犯罪と服役を繰り返し、その間に加津子と結婚した。結婚後、加津子も入信したが、榎津に愛想をつかし離婚、その後、尊敬する義父の懇望に従い再入籍。榎津は出所する度に父と加津子との仲を疑い、父に斧を振り上げるなど、一家の地獄は続いた。浜松に現われた榎津は貸席「あさの」に腰をすえ、大学教授と称して静岡大などに出没、警察をあざ笑うような行為を重ねる。千葉に飛んだ榎津は裁判所、弁護士会館を舞台に老婆から息子の保釈金をだまし取り、知り合った河島老弁護士を殺して金品を奪った。この頃になると警察史上、最大といわれる捜査網が張り張り巡らされていた。浜松に戻った榎津の素姓に「あさの」の女主人ハルやその母、ひさ乃も気づき始めた。しかし、榎津に抱かれるハルは「あんたの子を生みたい!」とその関係に溺れ、元殺人犯で競艇狂いのひさ乃も榎津を逃そうとする。だが、そんな母娘を榎津は絞め殺し、「あさの」の家財を売り飛ばし、電話まで入質して逃亡資金を貯え、七十八日後、九州で捕まるまで詐欺と女関係を繰り返した。絞首台に上がる直前、最後の面会に来た父に榎津は「おやじ……加津子を抱いてやれ……。人殺しをするならあんたを殺すべきだった」と毒づく。残された一家にも重い葛藤があった。死の床にある母は「私も女じゃけえ、お父さんを加津子に渡しとうなか」と言い続けた。父も地獄のような家を守ってきた嫁が心底かわいく、信仰とのはざまに悩みぬく。そんな義父を加津子は無性に好きだった。榎津の処刑後、別府湾を望む丘に、骨壷から、榎津の骨片を空に向って投げる、鎮雄と加津子の姿があった。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第3回 日本アカデミー賞(1980年)

受賞

作品賞  
監督賞 今村昌平
脚本賞 馬場当
助演女優賞 小川眞由美

ノミネート

主演男優賞 緒形拳
助演男優賞 三國連太郎
助演女優賞 倍賞美津子
音楽賞 池辺晋一郎
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映画レビュー

3.5緒形拳の演技が秀逸

2019年12月22日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

犯人の犯行と人間像を描いた作品。

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カツカレーライス

3.5スケールのでかい殺人記録

たまさん
2019年11月1日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

実際の事件(西口彰)をベースにしているためなかなか迫真の作品。殺しを楽しむ男の旅を描いている。緒形拳さんてこういう役もやったんだ(砂の器とは真逆で面白い)。敬虔なクリスチャンである三國連太郎がまさか遺骨をぶん投げるとは思わなかったが…
映画化権についてトラブルとなったという意味でも後学のためになる作品。

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たま

4.0主人公に取って本当の極悪人は誰であったのか?

あき240さん
2019年9月18日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

題名はもちろん原作小説の通りで、聖書の一節から取られている
神が悪人に復讐をする、つまり因果応報という意味合いかと思う主人公
極悪人の主人公の父がキリスト教徒であることから来る言葉なのだろう
しかし、この因果応報を受けるのは実はこの父親であったというのがラストシーンの意味と受け取った

展望台から放り投げられる主人公の焼骨は空中で停止する映像
それは父の心に刻みつけられた心象だ
神が復讐を遂げた瞬間だったからだ

彼はキリスト教徒であるということを、言い訳にして父である責任を放棄していたのだ
海軍主計中尉への屈服は単にきっかけに過ぎないのだ
もしかしたらそれも父の言い訳なのかも知れない

主人公のなす全ての悪事は彼への当て付けであり、神の代わりに復讐をなしているつもりなのだろう

希代の連続殺人鬼の反抗を扱う実録ものの体裁を取りながら、監督が扱うのは主人公に踏みつけられる女性達への目線の方にこそ重きが置かれている

浜松の旅館の女将を殺害した理由だけは、その復讐ではなかった
あれば心中だったのだ
死刑と殺人という時間差での心中だったのだ
彼女の母親も殺したのはいわば一家心中のつもりだったのだろう
彼が初めて犯した、自分の為だけの殺人だったのだ

ラストシーンで、破門になった父は骨を投げ捨てる
隣には死刑になった息子の嫁を置き、彼女にも投げさせるのだ
最後には骨壷ごと放り投げ、息子の全てを捨てるのだ

そうしておいて、実は彼女に骨壷を渡す前にこっそりと骨を一つ袖の下にこっそりと入れているのだ
彼女と主人公のことはこれで全て忘れて新しい生活をしようという儀式ではなかったのか
そのようにみせて、彼は黙って息子の生きた証を持ち帰ろうとしているのだ

彼は息子になじられたようにずるいのだ
父である前にキリスト教徒であるという建前を優先し、神父であるという前に、孫の祖父であることを優先する
二人の心情や、彼自身の老妻の心情、責任などはどうでも良いのだ
どこまでもずるく自己中心的なのだ

主人公にとって本当の極悪人は彼であったのだ

そのテーマを緒方健、三国連太郎、賠償美津子、小川真由美、清川虹子、ミヤコ蝶々といった名俳優達が恐るべき演技で具現化している
圧巻だ

美術も衣装も昭和38年という世界を見後に再現して見せてくれる

今村昌平監督の原作の解釈と演出の凄さは、もう唸るしかない
名作だ

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あき240

3.0一人で観てください

kossyさん
2019年1月4日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、映画館

 映画館で観た初めての犯罪映画となった。そして、倍賞美津子、小川真由美のヌードシーンという話題もあって、ヌードという話題の映画も大したことないなぁと感じた初めての映画ともなった。

 殺人を犯して、さらに図々しく詐欺で・・・という異常な性格には呆れ果てて唖然としながら観ていたような気がする。凶悪な犯行と知能犯との二面性。騙される人間の哀愁がにじみ出ています。そして、嫁と舅の異常な愛情を見せつけられると、家族で見るべき映画じゃないなぁと感じてしまった(笑)タイトルの言葉がずっと意味がわからなかったが、自分の罪に対する言葉だったのですね。

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kossy
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