Lie lie Lie

劇場公開日:

解説

幽霊が書いた本を売り出すという詐欺計画の行方を軸に、3人の男女が織り成す心模様を描いた人間ドラマ。監督は「シーズン・オフ」の中原俊。中島らもの小説『永遠も半ばを過ぎて』を、伊丹あきと猿渡學(中原とプロデューサーの笹岡幸三郎、成田尚哉の共同ペンネーム)が共同で脚色。撮影は「新居酒屋ゆうれい」の藤澤順一が担当している。主演の3人にふんするのは、「美味しんぼ」の佐藤浩市、「MISTY」の豊川悦司、「ヒーローインタビュー」の鈴木保奈美。

1997年製作/123分/日本
配給:東映
劇場公開日:1997年10月4日

ストーリー

不眠症の電算写植オペレーター・波多野は、昼も夜も黙々と写植を打つ日々を送っている。その彼のもとに高校時代の同級生・相川が現われ、生鮮食品買い付け会社の代表取締役をしていると説明し、商売の種である珍種の貝を預けていった。その貝を腐らせてしまって以後、相川は何となく波多野の所に居つくようになる。実は相川は詐欺師だった。仲間のよっちゃんと取り込み詐欺をはたらいて北海道へ逃亡した彼は、千頭組組長の娘・キキと関係を持ち、彼女から大金を借り逃げしたあげく、千頭組の田に命を狙われて波多野の元に辿り着いたのである。そんな折、波多野の出入りの印刷屋・三谷から医師協会年史競合プレゼンの話を耳にした相川は、自分を造本家だと売り込み、見事な話術と芝居とで年史製作の注文を獲得してしまった。いつの間にかその詐欺の相方をつとめていた波多野と言えば、睡眠薬でラリった時には、無意識に大量の原稿を写植機で打っている。相川はこれを、過去の外国に実例の見られる幽霊が書いた本として、出版社に売り込もうとした。応対した女性編集者の美咲は、原稿の内容に感嘆しながら、翻訳者だという相川の嘘も見抜く。だが仕事と会社と不倫上司の口説きに倦み、波多野の魂に魅かれつつある美咲は、自分も詐欺に加わることを条件に出版の話を進めていった。美咲は初版印刷部数の数字をわざと書き間違えて上司と会社に打撃を与えようとするが、結果、本は大量販売されることになる。文学者・平沢とのテレビ討論もあって出版は大成功となったが、その記念パーティの席で相川がキキと田に捕まり、キキを説得して相川を救う美咲の姿を見た波多野は、彼女へ抱いていた想いを閉じ込めてしまった。そして相川が去った数日後、もう無意識の原稿を打たなくなった波多野は、写植機を通じて美咲に想いを告白する。美咲もまた同じ想いだと応えたその時、相川が次の話を持って戻って来た。

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映画レビュー

4.0素晴らしい

2024年12月6日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

詐欺師映画は本当に楽しいなあ。『スティング』みたい。映像もいい。

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ouosou

3.0制作者側の技量不足が惜しい

2024年7月20日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

原作良し、出演者良し、でも惜しい
先ず映像が意味もなく暗い、ピントがボケてる場面もありフィルムのせいでは無い白黒映画でも素晴らしい映像は幾らでも有るカメラの技量が不足と感じた、ストーリーの展開もどこかちぐはぐ脚本・制作者側の力量が映画に追い付いていない、原作者中島らもの造る言葉の響き繋がりが素晴らしいだけに、本当に惜しい。

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なんてこった

4.5あの頃のときめきと同じときめきがあったな

2024年7月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

折に触れ観たくなっても絶対観れなかったlielielie、やると知った日から、もう自分のための上映か、とたかを括って行くと連日満席らしく、二度目の挑戦でやっとみる。当時そんなヒットしたんだっけ?こんなに好かれてる作品だったっけ?え?と思いつつ、こんなに好きな人がいるんなら、もっと観れるようにしてくれと願う。

97年制作。冒頭の写植機がもう泣かせるほどに過去の時代を思わせる。ああもうそんなに時間が経ったのか、と。しかし面白さはまったく古びてなかった(涙)。脇の脇までキャスティングもいいが、特に主演3人の魅力と言ったら、、これが観れないなんて本当にもったいない。トヨエツの詐欺師芝居にずっと見惚れるというか聞き惚れる。そして当時トレンディ女優だと思っていた鈴木保奈美がほんと良かった記憶があったが、やっぱりよかった。昼間っから日本酒ぐいぐいところから素晴らしい。そんな編集部女子が可愛げのある詐欺師チームにのっかって一泡ふかせる痛快さにBONNIE PINKの主題歌とメロディがずっと耳に残って、日本映画の泥臭さから少しふわっと浮いたところに存在している異色作。

で、自分にとって絶対的に忘れられないのが、地元で撮影されてたこと。高校生の頃、仲村トオルや清水宏次朗、中山美穂、宮崎ますみを見かけたビーバップハイスクールのロケ地だった通学路(静岡県清水市の巴川付近)で、今度は社会人になった頃に豊川悦司、佐藤浩市、鈴木保奈美が、、まあ東映が好んで使ったロケ地ということでしょうけど、今度帰省したらあの川沿いの道を歩いてみたくもなる自分も、もう永遠もなかばを過ぎてるなぁ、、

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ONI

5.0令和の今でも一切色褪せてない超極上エンターテイメントコメディ

2024年7月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

幸せ

『Lie lie Lie』(1997)

神保町シアターさんにて未DVD化・未配信を集めた「一度はスクリーンで観ておきたいーー忘れられない90年代映画たち」(2024年6月29日~8月2日)特集上映にて鑑賞。

私のなかでも十指に入る大好きな作品。スクリーンでの鑑賞は27年ぶり。
原作は中島らもさんの小説『永遠も半ばを過ぎて』(このタイトルがまた良いですよね)、監督は『櫻の園』『12人の優しい日本人』の中原俊監督。
不眠症の電算写植オペレーターを佐藤浩市さん、浩市さんのところに転がりこむ高校時代の同級生詐欺師を豊川悦司さん、二人の詐欺話を見破り仲間入りする編集者に鈴木保奈美さん。
浩市さんが睡眠薬を飲んでうつらうつら夢遊状態で写植した文章を「幽霊が書いた本」として出版社に売り込む詐欺コメディですが、ジョージ・ロイ・ヒル監督、ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード主演の『スティング』(1973)のように当時の邦画では珍しく軽妙でテンポの良い極上エンターテイメントコメディに仕上がっています。

らもさんの原作、中原俊監督の演出力も冴えているのですが、関西弁でとうとうと詐欺話を淀みなく語る豊川さんが『12人の優しい日本人』の陪審員11号を思い起こさせて特に秀逸でしたね。保奈美さんの小悪魔的なキュートさ、浩市さんの豊川さんとは真逆の愚直な佇まいとキャストのバランスも良いですね。脇の本田博太郎さん、中村梅雀さん、松村達雄さん、麿赤兒さん、上田耕一さんも良い味だしてます。

そして音楽は𠮷俣良さんとBONNIE PINKさん。
主題歌『Lie Lie Lie』とエンディング曲『たとえばの話』は作品世界にも溶け込み、当時も驚くぐらいオシャレでセンスに溢れてましたね。

神保町シアター(100席)は大入り満席。
公開当時まだ生まれていない若いお客さんが多数来場しており、こちらも嬉しくなりましたね。令和の今でも一切色褪せてない名作なので、ぜひ気軽に配信などで観れるようになって欲しいですね。

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矢萩久登