夜の流れ

劇場公開日:

解説

東京の下町の花柳街を舞台に、新旧二つの世代の愛情を描いたドラマ。脚本は「娘・妻・母」の松山善三と井手俊郎、監督は「娘・妻・母」の成瀬喜巳男と「接吻泥棒」の川島雄三、撮影は「娘・妻・母」の安本淳と「落語天国紳士録」の飯村正といずれもダブル・システム。

1960年製作/111分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1960年7月12日

ストーリー

東京の下町、料亭「藤むら」はその繁華街に近い花柳街にあった。女主人の綾はきれ者で、一人娘の美也子を大学まで出した。美也子は母のパトロンである実業家園田の娘忍と学友だった。二人は店へ出入りする芸妓たち、一花、金太郎、万里らと遊んだ。園田と綾との関係は、資本家と雇われ女将の金銭的関係以上のものはなかった。板前の五十嵐と肉体関係があったのだ。美也子もまた、五十嵐に好意以上の関心を持っていた。五十嵐はシベリアで捕虜だった時代、凍傷にかかった足を小刀で癒したとか、ビッコだが女の心をひく魅力があった。五十嵐が足の手術のため入院することになった。ある晩、寿司を届けに行った美也子は病室で母と五十嵐が抱き合っているのを見てしまった。美也子は母に反発を感じた。退院した五十嵐は、綾に店をやめるといった。逆上した綾は、出刃庖丁をもって彼の後を追いかけた。怪我はなかったが、二人の関係は花街に知れ渡った。綾は「藤むら」を止めさせられた。美也子は忍に芸者になることを打ち明けた。忍は父の秘書高見沢と外国へ行くと言った。高見沢は前に見合いをして美也子にフラれた男だった。綾が置手紙をし、五十嵐の後を追った。その頃、美也子はお披露目に出ていた。着飾った美也子の顔には、少しの暗い影も見えなかった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

2.0ダメな男と不可分の女

2017年11月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

萌える

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佐分 利信

5.0二つの個性がバランスよく並ぶ共同監督作品

2009年6月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

共同監督の映画、というと、撮影中トラブッて途中で監督がいなくなって別の監督が引き継いだとか、キャストが豪華すぎる大作のためにひとりの監督じゃ演出がもたなくなった、なんていう例が多く、大概、観ても印象の良くない作品ばかり、というのが普通だが、この「夜の流れ」はそれとは全然違う。

 「夜の流れ」の製作当時、年に三本以上、映画撮影していた成瀬巳喜男監督は、自分ひとりでまかなうことができなくなって、この作品だけは川島雄三監督を共同監督に起用、川島監督には若者中心が登場するシーンの演出を任せて、自分はお姑さんなどの年長者たちが登場するシーンの演出に専念した。この作品は、老練な演出の成瀬とテンポのいい演出に定評がある川島との好対照ぶりが、最大の見ものなのだ。
 何より面白いのは、好対照な演出にもかかわらず、作品全体のバランスが損なわれることもなく、むしろ演出が好対照だからこそ、ちょっとテイストの違った川島雄三の個性、今までとは見どころが変わった成瀬巳喜男の特徴が観られて、それぞれの監督のファンに充分にこたえられる、いい作品に仕上がっている。

 最近、大学にも映画論なる講座が増えてきているらしいのだが、監督研究や監督の演出を研究してレポートを書く、というものが出たのなら、この作品を観ることを是非ともおすすめしたい。監督の個性とはどういうものか、を気にしている人にはうってつけの作品だと思う。

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こもねこ
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