四谷怪談(1965)
劇場公開日:1965年7月25日
解説
鶴屋南北原作“東海道四谷怪談”を、「波影」でコンビの八住利雄が脚色、豊田四郎が監督した怪談。撮影は「侍」の村井博。
1965年製作/105分/日本
原題または英題:Illusion of Biood
配給:東宝
劇場公開日:1965年7月25日
ストーリー
民谷伊右衛門は主家没落後、傘張り職人に身を落していた。妻のお岩は、彼と同藩の四谷左門の娘であったが、左門はお家断絶の時、御用金を盗んだ伊右衛門を嫌い、お岩を連れ戻し離縁を迫っていた。お岩の妹おそでは、そんな一家を淫売宿に出て支えていた。おそでには許嫁佐藤与茂七がいたが、もと四谷家の仲間直助は、おそでに横恋慕し、おそでのもとに足しげく通っていた。淫売宿をやる按摩の宅悦から、お岩が淫売宿に出ると聞いた伊右衛門は、左門と口論の末、殺害した。時を同じくして、直助は、偶然与茂七と再会したおそでの容子から恋の叶わぬことを知って与茂七を暗殺。顔の皮をはぐとばったり出会った伊右衛門と協力して、死体を左門宅に運んだ。事件を知ってかけつけたお岩、おそでの姉妹は、何者かに闇うちされたと言う二人に仇討ち助太刀を条件にお岩は伊右衛門のもとへ、おそでは直助と仮の世帯を持つことになった。ある日、高師直の家中で、裕福な暮しをする伊藤喜兵衛の娘お梅はふとしたことから伊右衛門を見染め、喜兵衛に伊右衛門をぜひ婿にとすがった。結婚を条件に仕官を推挙するという喜兵衛の言葉は、伊右衛門を有頂天にした。だがそのためには、お岩は何としても邪魔な存在であった。喜兵衛にそそのかされ、お岩に毒薬を与えた伊右衛門は、死にきれないお岩を見て、宅悦の紹介で雇った小仏小平に、お岩と不義密通した科を押しつけて、二人を斬り殺し、死体を戸板にはりつけて、隠亡堀に流した。目的を果し、武士への道が開けた伊右衛門の、お梅との祝言の夜、お梅にのりうつったお岩の霊に、伊右衛門は苦しめられ、遂にお梅を斬殺した。一方お岩の姿が見えないことに不審を抱いたおそでは、宅悦から事の真相を聞き、直助に伊右衛門を斬ってくれるよう頼んだ。ちょうどその頃、与茂七がおそでを訪ねて来た。直助が斬ったのは、与茂七と着物を交換していた笹山源吾であったのだ。悪事がばれた直助は、おそでを刺し殺し、与茂七と対峙した。そして与茂七の手で殺された。その頃、伊右衛門は、熱にうなされ、お岩の怨霊にとりつかれて、自らを刺してこときれていた。