宮本武蔵 一乗寺の決斗

劇場公開日:

解説

吉川英治の同名小説を「宮本武蔵 二刀流開眼」の鈴木尚之、内田吐夢が共同で脚色、内田吐夢が監督した文芸もの。撮影もコンビの吉田貞次。

1964年製作/128分/日本
配給:東映
劇場公開日:1964年1月1日

ストーリー

洛北蓮台寺野で、名門京八流の宗家吉岡の御曹子清十郎の左肩を一撃のもとに打ち砕いた武蔵は、清十郎の弟伝七郎から仇敵とされ、吉岡道場門弟一同から居所を探られる破目となった。武蔵を探しているのは彼等ばかりではない。佐々木小次郎に追われる朱実、お杉婆ア、病床にふけるお通と、城太郎少年も武蔵の行方を追っていた。或る日、光悦にさそわれ遊廓扇屋に上る途中、伝七郎から果し状をつきつけられた。場所は蓮華王院三十三間堂、雪の中武蔵は伝七郎と相対した。青眼と青眼、二本の刀がひらめいた瞬間、武蔵は伝七郎と吉岡の門弟を薙ぎ倒していた。秘かに扇屋に戻った武蔵を吉野太夫はやさしくさとすのだった。翌朝、お通の居場所を知った武蔵は総門附近で吉岡一味にかこまれた。が突如佐々木小次郎が現われ、武蔵との決闘を決めた。明後日の朝、寅の下刻、場所は叡山道、一乗寺の麓薮之卿下り松、そして名目人は壬生源左衛門の一子源次郎を立てることに一決した。高札を見た群衆がひしめき、お杉婆アは息子又八の弔合戦といきみ合った。やがて当日、武蔵が叡山道にかかった時、病身のお通に会った。武蔵が斬り死にすれば自分も生きてはいないつもりというお通の言葉に、剣に生涯をかけた武芸者武蔵の心に、お通に対する恋慕がよぎった。一足先きに着いた武蔵は、松を中心に地形の頂点に立った。やがて吉岩方の姿が現われた。「七十三対一」瞬間、武蔵は相手方の配置を読み、地形を利用した自分の行動をきめた。「しかし勝負は何できめる、敵はおれ一人が目的、その俺の目標は、そうだ本陣だッ、総大将だッ」武蔵の見取図は源次郎少年を中心にひかれた--白鉢巻の間の手裏剣、大小の二刀流の体ごと、下り松に向い疾風逆落しと見事、剣は風を切った。

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映画レビュー

5.0宮本武蔵・視覚化の決定版④

2023年5月20日
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内田吐夢監督の重厚な演出と、中村錦之助さんの熱演とダイナミックな殺陣で魅せる映像版・宮本武蔵の決定版‼️1年に1作ずつの5部作の第4部。琵琶のゆるみやしなりを今の武蔵にたとえて諭す吉野太夫役の岩崎加根子さんの存在感や、一乗寺に向かう武蔵とお通が再会、お互いの想いを伝え合うシーンなんかホント美しいですね。そしてモノクロ画面に切り替わって展開される武蔵対73名の吉岡一門の一乗寺下り松での凄まじい決闘シーン‼️5部作の最大の見せ場のみならず、黒澤明監督の「七人の侍」と並ぶ最高のチャンバラシーンだと思います。

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活動写真愛好家

4.060年代安保闘争への鎮魂歌という、本シリーズの真のテーマに回帰

2020年1月4日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

力作です 物凄い映像も有ります しかし、流石に飽きて来た感があります とはいえ、クライマックスの一乗寺下り松の73人対一人の決闘シーンは最高の見物です 大立ち回りの殺陣はもちろんですが、撮影が凄い アメリカの夜と呼ばれるフィルター式の明度彩度を落として夜間を表現する手法のようでどうも違うようです 何かしらフィルムの現像段階での特殊な手法のように思います 夜が明けて、辺りが白みだす様がその特異な手法で見事に表現されています、太陽が昇るであろう方向の空だけが明るく、次第に明度が上がって行くのです 彩度は変わらず極端に落としたままですが、すべてが終わり逃げ切った武蔵が仰向きに倒れ込んでいる次のシーンでは周囲のシダの葉が朝日であろう真っ赤な色彩に染まっており劇的な効果を上げています 敢えてこのような色彩の無い映像とすることによって、殺戮の凄惨さを抑えつつ、この殺戮の無意味さ、空虚さを表現しようとしたものではないでしょうか この決闘シーンでの独特の白黒というべき映像画質が翌年の飢餓海峡のW106方式と呼ばれる特異な映像画質に繋がっていくのかも知れません 物語はいよいよ佳境 吾は正しい そう頑なに果てしなく一直線な武道に対する武蔵の考えが、遂に壁にぶち当たるところで終わります ラストシーンでは平和を希求して武蔵は観音菩薩像を拙いなりに彫り上げます しかし彼の希求している道は阿修羅の道なのです その矛盾がはっきりとしてきたのです これこそが宮本武蔵シリーズのテーマです 60年代安保闘争、全学連運動に敗れ、それでもなお、吾は正しいと頑なに主張する若者へのメッセージこそが本シリーズの真のテーマなのです とすると、この一乗寺下り松の決闘とは、国会前デモそのものを描いていたのかも知れません 第二作、第三作とこのテーマはなりを潜めて単なる剣豪映画でしたが、ようやく真のテーマに回帰してきた訳です しかし、1961年から年一作ペースの製作できて、本作は1964年の正月映画です 最早60年安保闘争も昔話、東京オリンピック、高度成長の時代です こんなメッセージを観客はもう誰も望んでいなかったことでしょう ならば、本作は単なる時代劇大作に過ぎなくなってしまいます こうしたことも本シリーズの次作完結編の製作が怪しい雲行きになるのもむべないことです さて、弟子の城太郎少年は前作で柳生屋敷に置いてけぼりをくらいますが、本作で偶然京で再会します しかしまた、郭から高い柵から脱出して、武蔵から折しも聞こえてきた城太郎の父、青木丹左衛門が吹いているてまあろう尺八を追えと指示されたまま置いてけぼりをくらいます 次作完結編には登場せず、これにて退場となります 果たして彼は父と再会できたのかどうかは定かにはされません お通さんにしろ、城太郎にしろ、少し宮本武蔵は冷たすぎです 伝七朗と決闘する蓮華王院の裏手とは、映像を観ての通り三十三間堂です 京都国立博物館のすぐ近くです 一乗寺下り松は現存してますが、本作のような大木ではありません 松の木の脇に大きな石碑が決闘の地を知らせています 松の前には謂われを書いた高札もあります 叡山電鉄で出町柳駅から三つ目の一乗寺駅下車し東に徒歩10分ほどです そこから南に徒歩10分歩けば、こってりラーメンで全国に有名な天下一品ラーメン総本店もあります

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あき240

3.0シリーズも佳境に突入

2015年3月24日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

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松井の天井直撃ホームラン