ミスターどん兵衛

劇場公開日:

解説

斜陽といわれる映画界の権威主義を風刺したり、巨匠監督をコキおろしたり、映画製作にまつわる悲喜こもごものエピソードを描く。山城新伍が出演し、アイデアも出していた「キツネどん兵衛」のテレビCMが人気を博したことから、それを一本の映画にふくらましたもの。山城新伍が企画、製作、脚本、監督、主演の五役、他に脚本を「十代 恵子の場合」の内藤誠、梶間俊一が共同で執筆、撮影は「トラック野郎 熱風5000キロ」の中島芳男がそれぞれ担当。

1980年製作/95分/日本
配給:東映
劇場公開日:1980年4月5日

ストーリー

大東映画会議室。撮影所長川路は「商業映画のリアリズムは、古今の名作を盗みまくることにある」と演説している。撮影所きっての前向き監督夢野新吾こと夢さんも“ラムの大通り”の盗作“焼酎の裏通り”を撮影中。その夢さん、次回作のシナリオ製作で旅館にカン詰となった。助監督の山谷拓二(通称タクボン)が恋人尚美と別れて監督と同行することになった。筆が進まぬ夢さんは、仕事をタクボンにオッツケて隣りの部屋を覗きに天井裏へ消えてしまう。そこでは清純女優小竹かおりと中年の企画部長が、ラブシーンのお勉強中。夢さんは涙をこらえてガマン。翌晩、拓ボンのアパートに仲間の三木と原野がやってきて大騒ぎ。次の日拓ボンは寝不足で出勤。途中、西武球場のそばを通ると、タブチくんの打った場外ホームランを頭に受けて拓ボンはダウン、急救車で撮影所に運ばれた。その日は、白沢組「禿武者」出演者オーディションの日で、みんな面接会場に行ってしまい、夢さんはスタジオで一人寂しそう。しかし、遅ればせながら、撮影は始まり、夢さんのゴキゲンは直った。そこへ、竜岡監督死亡の知らせが入り、みんなガックリ。それから夢さんは狂ったように仕事に熱を出すが、一方、映画作りに嫌気がさした拓ボンは荷物をまとめ、田舎に帰る決意をする。翌日、朝もやの道を歩く拓ボンと尚美の姿。その脇を夢さんを乗せた大東映画のロケバスが通り過ぎていく。寂しそうにうつむいている拓ボン。急に顔を上げると、荷物を尚美に預け、バスを追って走り始めるのだった。

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