真紅な海が呼んでるぜ

劇場公開日:

解説

「あの波の果てまで」の芦沢俊郎と「敗れざるもの」の松尾昭典、それにこれが第一回作品の雨宮隆が共同でシナリオを執筆、松尾昭典が監督した海洋アクションもの。撮影は「投げたダイスが明日を呼ぶ」の岩佐一泉。

1965年製作/83分/日本
原題または英題:The Crimson Sea
配給:日活
劇場公開日:1965年7月3日

ストーリー

南シナ海をゆく古ぼけた貨物船“賭運丸”には、津川了次雄作の兄弟が乗っていた。ある日了次は、悪どい船員たちの餌食になっていた黒人ルイを助け、二人は友達になった。この春商船大学を卒業した了次は、兄・雄作がひそかに南シナ海上で密貿易をやっているのに気づき、兄の身を気づかって強引に“賭運丸”に乗りこんで来たのだった。同じ船には雄作のはからいで、香港から乗りこんだ密航者・真弓がいた。真弓は大阪の悪徳商人・原島にだまされて香港に売られていたのだった。了次は、そんな兄・雄作を激しくなじった。雄作もこれに負け、了次が大きな船会社に就職することを条件に密輸から足を洗うことを誓い、二人は神戸に帰った。神戸の安食堂・珊瑚亭の女主人・萩村葉子は、数年前、兄と同級だった了次の、ふとした過失で兄を失い、それ以来、葉子は了次を許そうとしなかった。だが、葉子は死んだ父親が残した荷役業者・本郷への借金に困りはてていた。期日はあと二日に迫り、払えないときには本郷のいいなりにならなければならないのだ。一方、原島への復讐を誓った真弓は、ナイトクラブで、自分の部屋の鍵を客に投げ与えるという、きわどいショウで客の喝采をあつめ、原島に近づくチャンスを狙っていた。ところがいざ原島に会ってみると、原島はすでに改心して平和な生活を送っていた。真弓はだまってその場を去っていった。一方、葉子の窮状をみかねた了次は雄作から六十万円を借りて、本郷の別荘にのりこみ、葉子を救った。その夜葉子ははじめて了次の罪を許し、一人故郷に帰った。了次は真弓の思慕をふりきって、また雄作と共に船出していった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

5.0渡哲也のマドロス三部作の最初の一本

2020年1月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

哲也兄さんのマドロス三部作の最初の一本で、出演映画では、恐らく初のカラー撮影作品

実の兄が船長(既にかなりの貫禄の二谷英明)の貨物船に乗る船員の哲兄さんが、神戸でヤクザなライバル船会社の野望打ち砕いて、想いをよせるダンサーと結ばれる。

冒頭の船内での喧嘩場面から船内いる、香港で密告したダンサーとの出会い、借金で苦しむ港の大衆食堂の娘との関係を含めた流れも悪くなく、それなりに楽しめる。

ただ、全体的に活劇としては、敵となるライバル会社の悪党振りが弱くて、せいぜい小さな食堂の借金を催促したり、ダンサーに売春を強要ぐらいで、珍しく人も死なず、銃撃や発砲も無いので、極悪非道な展開もない半端なメロドラマ感が強い。
ライバル会社社長が、せっかく金子信雄なのに・・それにライバルとなる敵役もいない。

驚いたのは、清純派の松原智恵子がヒロインでは無くて、どちらかと言えば、情婦タイプの中原早苗がメインで、最後に哲兄さんと結ばれる展開。

撮影と落ち着いた色調のカラーだが、前半の船上での場面は、露光や明暗設定に明らかなミスには、ちょっと唖然とした。撮り直しの時間も無かったのであろうが。

クライマックスのアクションは、金子信雄の屋敷に、三人で殴り込みかけて、松原智恵子を救い出す場面。
丘にある縦に長い高低差の敷地内で、屋敷二階のバルコニーで、殴り合いが始まり、徐々に一階、その坂下の花壇へ下り、更に坂下にあるプールまで、延々と続く高低差を感じる格闘アクションは、中々の出来栄え。

監督の松尾昭典は、この後に裕次郎と哲兄さんのマドロス三部作の二本め「泣かせるぜ」も演出しているが、これもそつなくない出来栄えで、特徴も見えない印象。

ダンプガイ二谷英明もアクションには参加しないのが少し寂しい。

特にラスト近くに、中原早苗が、旅立つ哲兄さんを、追いかける場面は、やたらと街中を走って行くのを押さえている感が強くてやけに間延びした印象でもう少し工夫出来ないのか?と思う。まあ、当時の神戸の街の記録としてはイイのかもしれないが。

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