帆綱は唄う 海の純情
劇場公開日:1956年5月31日
解説
勇壮な捕鯨を背景に海の男の生活を描く歌謡メロドラマ。脚本は新人田辺朝巳、真弓典正の共同。監督は「港の乾杯 勝利をわが手に」の鈴木清太郎、撮影は「東京の人」の永塚一栄が担当した。主な出演者は、流行歌手の春日八郎、「快傑耶茶坊 (前後篇)」の小林重四郎、「志津野一平 浴槽の死美人」の高友子、「黒帯有情 花と嵐」の小田切みき「ドラムと恋と夢」の木戸新太郎、その他高田敏江、天草四郎、明美京子などである。
1956年製作/48分/日本
配給:日活
劇場公開日:1956年5月31日
ストーリー
南氷洋を目指して出航した捕鯨船団。その中には唄のうまい春海八郎の乗り組む北洋漁業の磐城丸の姿があった。乗組員は八郎の他に、がんこ一途の織田船長や二枚目気取りの大山航海士、川村機関長、遠藤水夫長など。しかし砲手を兼ねる織田船長はカラ打ちばかりで鯨を逃し、ヤケになって船員に当り散らす始末に、自然乗組員とも不和になって行った。大山、遠藤、川村の三人は帰航と同時に本社の横山部長に、不漁の原因は船長にあると訴えた。気分直しに料亭“水月”で宴を設けた乗組一同の前に現われた柔道芸者の鈴菊は、男前の八郎に一目惚れしてしまったが、八郎自身は船長の娘和枝の純情さに首ったけ。ところが酔い潰れた船長を送り届けた八郎は、鈴菊がつけたYシャツの口紅を和枝に誤解されてしまった。追い返された八郎は身投げしたバーの女給由美子を救ったことで、鈴菊と由美子に奪い合いされる始末。女難に閉口した八郎は横山部長に助けを求めたが、部長のインテリ娘美代にも惚れ込まれてしまう。こうした八郎を妬んだ大山は、彼が砲手の地位を狙っていると船長に中傷し、それを洩れ聞いた和枝も大山の言葉を信じてしまった。船団は再び出航し、勝気な美代は男装して乗り込んだ。鯨を狙った船長は、今度は見事に射止めて船員を喜ばせたが大浪にさらわれ腕を骨折した。代った八郎は次々に現われる鯨を見事に仕止め、船長の誤解もとけた。港に戻った八郎を、美代の説明で誤解をといた和枝が迎えた。デッキによりかかって和枝の肩を抱えた八郎は、お得意の唄を、心地良く波間に響かせていた。