宝石泥棒
劇場公開日:1962年7月29日
解説
「閉店時間」の井上梅次が脚本を執筆・監督したロマンティック・コメディ。撮影は「情熱の詩人啄木」の小原譲治。
1962年製作/95分/日本
原題または英題:The Venus'Tear
配給:大映
劇場公開日:1962年7月29日
ストーリー
箱根レークサイドホテルに現われた美女二人、立花財閥の令嬢紫小夜子と女中秀子というふれこみだが、実はエレガントのお小夜とアトミックのデコという宝石泥棒なのである。今度の獲物は有閑未亡人近藤あづさの持つ五十カラットのダイヤ。ホテルの客、ハンサムな建築家立花健一とダンディな松野が立花家遠縁の者と聞いて、表面をつくろいながら機会をうかがう彼女等である。あづさ夫人は健一に参っているが、健一は小夜子にひかれている。夫人には佐川という得体の知れない男がまといついている。ダイヤの首飾りも誇らしげに、女王のごとくふるまう夫人をめぐって、五人の男女が動いているのである。そうするうちに健一と小夜子の恋も急速に進む。小夜子の傾きぶりには秀子も“ああ恋は盲目!”と嘆くことしきり。一方、健一をつかまえて“恋に目がくらんで切れ味の鈍ったジレットの健”と責めるのは松野。実はこの二人も名うての宝石泥棒なのである。ある夜、頃はよしと策略をめぐらせた二組の男女、さんざん苦労のあげくそれぞれ宝石を手に入れた。というのは小夜子のすりかえた贋物を、さらに健一がすりかえたのである。うまくいったと逃げ仕度にかかった二人も、もう一日滞在せねばならなかった。本物は佐川の手にあったのである。彼は、実は保険会社の探偵、小夜子の前に贋物とすりかえていたのだ。今は互いの素性を知った健一と小夜子、火花を散らしてにらみ合った。最後のチャンス、その夜ホテルのパーティでまんまと夫人の胸から宝石を奪ったのは小夜子だった。だが恋には弱い。身の危険を感じて逃げる健一に宝石を与えて、更生を誓った。改心した健一は佐川にそれをもどすと、走り去った。まもなく、健一らの車を追うスポーツカーがあった。自信ありげな小夜子と、明るい顔の秀子が前方をみつめていた……。