望郷(1993)
劇場公開日:1993年10月9日
解説
戦前まで豪商として知られた名家に生まれた少年が、父の事業の失敗、家族の離散や死別を経て一人で旅立つ姿を描いた、実話を基にした窪田操の原作(「ぼっけもん」=鹿児島地方の方言で“勇気ある者”の意)の映画化。監督は「青い山脈'88」(88)の斎藤耕一。脚本は「母(1988)」の松山善三、撮影は「落陽」の山崎義弘が担当。主人公の操役には、地元・鹿児島県でのオーディションにより新人の秋月健太郎が選ばれた。
1993年製作/110分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1993年10月9日
ストーリー
昭和一五年、鹿児島県肝属郡。代々続いた窪田商店は社長窪田国光の放蕩三昧な生活によって倒産する。国光は出奔し、盲目の妻けさは生家に戻され、残された少年・操と姉の恵子、幼い妹富恵は国光の腹違いの兄・信吾の家に、乳飲子の健次は遠い親戚に引き取られた。太平洋戦争が勃発し、信吾は戦場に赴き、操と恵子は身重な兄嫁・好子に徹底的にこき使われる。そんな矢先、健次の訃報が届く。葬儀が終り、悲しみにくれる操と恵子を待っていたのは父・国光だった。親子三人の平和な暮らしが始まったがそれも束の間、国光の借金のため恵子は金沢の芸者置屋に売られ国光と操の放浪の旅が始まる。やっとのことである女郎屋に落ち着くが、国光は糖尿病で三か月の命と診断される。そんな国光の看病を献身的に勤める芸妓トメに、操は恋心を抱く。豪快な国光は、死んだら金の入れ歯を役立てるよう言い残し死んでいく。埋葬から数カ月後、墓を掘り起こして金歯を入手した操はそれを金にかえ、母を訪ねるが、彼女は弟を冷たく追い返す。孤独感を噛みしめながらも、海や炭坑で働き次第に成長していく操。やがて彼は鹿児島に戻り、トメを訪ねて求愛するが、彼女も既に嫁ぎ先が決まっていた。操の傷心の日々を乗り越え、“ぼっけもん”になることを誓い、再び放浪の旅を続けるのだった。
スタッフ・キャスト
受賞歴
第17回 日本アカデミー賞(1994年)
ノミネート
脚本賞 | 松山善三 |
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