塀の中のプレイ・ボール
劇場公開日:1987年11月21日
解説
刑務所に服役中の“懲役”たちが官側とのソフトボールの試合を実現させようとする姿を、それぞれのシャバでのエピソードを織り混ぜながら描く。前作「塀の中の懲りない面々」に続くシリーズ第2弾で、安部謙二原作の同名小説の映画化。脚本は同作の鈴木則文と「童貞物語」の掛札昌裕が共同で執筆。監督は「大奥十八景」の鈴木則文、撮影は「アイドルを探せ」の羽方義昌がそれぞれ担当。
1987年製作/104分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1987年11月21日
ストーリー
水田順一は前科11犯、競馬法違反、傷害罪などで捕まり刑務所へ戻って来た。雑居房には顔なじみの老窃盗犯・小山忠ほか、スリの三原良太、人相違反の中島達、学生くずれの山務根、素性のわからない山本英夫、東京オリンピックの年から入ったままのオトウこと大野浩がいた。彼らの唯一の楽しみは休憩時間のソフトボール。いまや伝説となっている官懲試合を復活させようと皆ハリキッていた。水田の幼なじみでゲイボーイの川崎健太はかつての野球仲間で“隠し玉のケンちゃん”の異名をもっている。また、自分を語ることのなかった山本は元プロ野球の選手で“黒い霧”事件に巻き込まれて捕まったのだった。強力なメンバーがそろい、官懲試合を求める嘆願書が保安課長の元に届く。そんなとき忠さんがガンで長く生きられないことがわかった。彼の世話でスターとなった飛び魚ミミが刑務所で慰問コンサートを行い、その歌声の流れるなか忠さんの棺は塀の外へと運ばれていった。水田は看守長の鮫津と取り引きに成功し、官懲試合は一旦実現に向かうが、鮫津の裏切りにあい中止になってしまう。面目丸つぶれなのは水田だ。彼は怒って鮫津と殴り合いの大喧嘩をした。山本の仮釈放が決まった。官懲試合は実現できなかったが、彼は看守たちの鼻をあかすためにあることを思いついた。出所したら塀の外から刑務所内にボールを投げ入れるというのだ。塀が高い上に距離は百数十メートルあったが、山本が渾身の力を込めて投げたボールは水田らのいる庭まで飛んできた。そのボールの中には皆の好物の煙草がいっばい詰まっていた。