兵隊やくざ大脱走
劇場公開日:1966年11月9日
解説
有馬頼義が文芸春秋に連載した「貴三郎一代」を、「殺人者」の舟橋和郎が脚色し、「脂のしたたり」の田中徳三が監督した“兵隊やくざ”シリーズ第五作目。撮影は「座頭市海を渡る」の武田千吉郎。
1966年製作/82分/日本
配給:大映
劇場公開日:1966年11月9日
ストーリー
太平洋戦争も戦局は日本にとって決定的に不利で、終戦は目前だった。北満の国境を固める朝倉部隊もソ連の大軍を迎えて玉砕の覚悟を決めていたが、そんな時も時、この部隊に転属してきたのが大宮二等兵と有田上等兵である。玉砕する気持ちなどさらさらない二人は、古兵や下士官との間にいざこざを起しながらソ連軍の攻撃を待っていたが、ある夜、大宮は慰問団とはぐれた親娘、笹原と弥生を助けた。女に飢えている兵隊たちは弥生に貪欲な目を向けたが、女好きの大宮も例外ではなく、有田は一悶着起りそうだと予感した。案の定、狡猾な手段で弥生を手篭にしようとした木部准尉黒沼、野辺地軍曹を、大宮はさんざん叩きのめしたが、翌日、木部たちのリンチにあって大宮は危うく殺されそうになった。そんな大宮に弥生は身体を許してもいいと言うが、何故か大宮は抱けなかった。有田がからかうと、大宮は弥生が初恋の女に似ていると言う。やがて笹原親娘を護送して神武屯へ行った大宮が帰ってみると朝倉部隊は全滅していた。有田だけが奇蹟的に生きていて、二人は将校に化けると柳田部隊にもぐり込んだ。そこでも玉砕気分が漲っていたが、初めて部下を持った大宮は玉砕よりは昼寝の方がましだというので、兵隊たちの間で人気がある。そんな大宮も開拓団の女子供がゲリラに囲まれていると知ってトラック一台を強引に借り出すと有田と共に救出に向った。その中には歩兵に化けた青柳憲兵軍曹がいて、大宮の邪魔をするが、青柳も大宮の義侠心に負けて、二人の間に初めて友情らしいものが芽生えた。やがて避難民を連れて馬廠に向う強行軍が始まった。途中ゲリラの襲撃にあって射たれた青柳は、大宮と有田に笑顔を見せて死んでいったが、目ざす馬廠は間もなくである。