はるか、ノスタルジィ

劇場公開日:

解説

青春時代を過ごした小樽を訪れた作家と彼に町を案内する少女が、作家の本名を名乗る不思議な少年に導かれて、痛ましい青春の記憶を再生させていくドラマ。「転校生」「さびしんぼう」に続く原作・山中恒、監督・大林宣彦のコンビの第三作で、山中が故郷・小樽を舞台に書き下ろした作品を大林自身が脚色、大林ファンタジーの集大成的な作品になっている。先に公開された「青春デンデケデケデケ」の前に撮影された作品で、「ふたり」に続いて石田ひかりが主演、少女・はるかと、三好遥子の二役に挑んでいる。友情出演として多岐川裕美、石田ゆり子、入江若葉、岩松了ほか多くのゲストが顔を出している。小樽・札幌・大阪などでは九二年に先行公開された。

1992年製作/日本
配給:東映
劇場公開日:1993年2月20日

ストーリー

綾瀬慎介(勝野洋)はリトル文庫〈小樽・恋シリーズ〉と呼ばれる一連の少女小説の人気作家であったが、コンビを組んでいた友人の挿絵画家・紀宮(ベンガル)の突然の死をきっかけに、少年期のある忌まわしい記憶から逃れるようにして訪れることのなかった小樽の地を十数年ぶりに踏んだ。そこで慎介は、はるか(石田ひかり)という彼の小説のファンの少女に出会い、彼女の案内で現在の小樽を訪ねるが、二人の行く手には影のようにつきまとう古風な服装の少年がいた。ある日、つきまとっていた少年は二人の前に現れ、佐藤弘(松田洋治)と名乗る。それは慎介の本名であった。彼は高校時代の自分自身だったのだ。弘によって慎介は、高校時代に三好遥子という少女が好きだったこと、全く売れない作家だった父・統策のこと、娼婦として働いていた母のことなどを思い出し、三人は慎介の失われた過去の記憶と対峙する心の旅を続けていく。娼家から出た遥子を目撃した弘は、彼女に確かめることもなくただ一度きりの関係の際に『売女』となじったのだった……。そしてまた、はるかも自分が三好遥子の娘であることを知る。互いの気持ちを確認し、慎介とはるかは一度きり結ばれる……。現代にやって来た高校時代の弘は、また自分の時代へ戻っていく。そうして慎介は、今こそ本名の佐藤弘として生きていくのだった。

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映画レビュー

3.5大林作品のメートル原器

2024年10月25日
スマートフォンから投稿

どんなに恥ずかしくても、本質的な映像作家においては核となる作品がある。
はるかノスタルジィーはまさにそんな作品だ。

私たちはその核心から目が離せないし、最後はその核心に止まって何度でも考え続けるしかない。そんな作品だ。

大林宣彦作品を考えるものは、絶対外すことのできない作品だと言える。

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ジサイ

5.0大人のファンタジーなのです このような夢物語を見たっていいじゃないですか

2023年5月31日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

1993年2月公開
原作は山中恒
「転校生」、「さびしんぼう」、「あの、夏の日 とんでろ じいちゃん」の原作者の方です

でも舞台は尾道ではなく小樽です
理由は原作者の故郷が小樽で尾道は小樽とそっくりだという彼のたっての願いからだそうです

ヒロインは石田ひかり、20歳
1991年の「ふたり」の公開時は19歳になる直前でした
役のはるかの年齢はおそらく16歳くらいでしょう
石田ひかりは16歳そのものに見えます

ひたすら彼女を美しく撮る
見つめ続けたい
穴のあくほど

小悪魔的で、華奢で折れそうにか細く儚い、血が透けるほどに白く清順なのです

もうそれが本作のテーマです
青春の時の叶わなかった恋愛が時を超えて、世代すら超えて成就する夢物語です

勝野洋が演じる主人公が35年ぶりに小樽に戻って、石田ひかりが演じるはるかに出会うところから物語は始まります

ですから回想シーンは35年前の1958年頃になります
でも売春禁止法のできる以前のことのようですからもう少し前になるのでしょう

ラストシーンは未来です
おそらく劇中の現在から35年後
つまり2023年の今頃のことなのだと思います

本作公開からもうそれだけの長い長い年月が流れたのです

はるかにそっくりな少女は主人公とはるかの子供ではなく、はるかがその後誰かと結婚して産んだ娘でしょう

でも空想です
そんな未来が有ればいいなあという願望なのです

青春の時に忘れようと努力して、思い出せなくなるほど忘れていたことを思い出させてしまう映画です

それらは忘れているようで、本当は心の奥底でずっと疼いていたのかもしれません

涙が溢れてきます
なんだかなあという本作への評価は、観終わってみると星5つをつけるしかなくなっていました

本作のような夢物語を見たっていいじゃないですか
このような愛の成就をしたかった
実らなかった愛の成仏なのです

大人のファンタジーなのです
小樽に行きたくなりました

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あき240

3.0中年ロリコン

2020年11月12日
iPhoneアプリから投稿

全て中年親父の妄想と捉えると普通にいかがわしく、作風かもしれないが、終盤の展開は度が過ぎていて、もはや苦笑するほかない。老いても同じく、妄想し続けるぞと宣言されても…
石田ひかりのウェストの締まりと長い肢体のスタイルが美しい。尾美としのりの粗暴な運転の意味がよく分からぬ。

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Kj

3.0中年男の妄想再び

2016年6月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

幸せ

萌える

甘酸っぱい初恋の女性の想い出と共に回想する過ぎ去った時間と目の前に現れる若い美しい女との恋。

これぞ、大林哲学溢れる中年男による中年男のためのファンタジー映画(妄想映画)だ。

中年男よ、夢よ、comeback!
大林監督、本当に、、、もう!

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ミカ

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