遙かなる山の呼び声

劇場公開日:

解説

警察に追われる男と、牧場を切り回す母子の出会いと別れを描く。脚本は「男はつらいよ 寅次郎春の夢」の山田洋次と同作の朝間義隆の共同執筆、監督も同作の山田洋次、撮影も同作の高羽哲夫がそれぞれ担当している。

1980年製作/124分/日本
原題または英題:A Distant City from Spring
配給:松竹
劇場公開日:1980年3月15日

ストーリー

北海道東部に広がる根釧原野にある酪農の町、中標津で、風見民子は一人息子の武志を育てながら亡夫の残した土地で牛飼いをしている。激しい雨の降るある春の夜、一人の男が民子の家を訪れ、納屋に泊めてもらった。その晩、牛のお産があり、男はそれを手伝うと、翌朝、去っていった。夏のある日、その男がまたやってきて、働かせてくれという。隣家の娘ひとみが手伝ってくれるが、男手のない民子はその男を雇うことにする。田島耕作と名乗る男はその日から納屋に寝泊まりして働きだした。武志は耕作にすぐになついていった。近所で北海料理店を経営する虻田は、民子に惚れていて、ある日、力ずくで彼女をモノにしようとして耕作に止められた。怒った虻田は兄弟を集めて、耕作に決闘を挑むが、簡単にやられてしまい、それからは、耕作を兄貴と慕うようになる。民子が腰痛を訴え、入院することになった。武志はさみしさから、耕作と一緒に納屋に寝るようになった。民子が退院して間もなく、従弟の勝男が新婚旅行で新妻の佳代子を連れてやって来た。数日後、耕作の兄の駿一郎がやってきた。彼は耕作が起こした事件で教職を追われていたが、耕作の行く末を心配していた。その夜、兄の持ってきたコーヒーを飲みながら耕作は民子にここにとどまってもいいと胸の内を明かした。季節は秋に変り、土地の人達が待ちこがれる草競馬の時期となった。耕作も民子の馬で出場、見事、一着でゴールイン。興奮する民子、武志、観客たち。その中に、刑事の姿があった。刑事の質問にシラを切った耕作だが、その夜、民子にすべてを打ち明けた。耕作は二年前、妻が高利の金を貸りて自殺、それを悪し様に言う高利貸を殺し、逃げ回っていたのだ。家を出ていくという耕作に民子は止めるすべもない。夜更けに耕作が民子の家の戸をたたいた。ある決意をもって戸を開けた民子。だが、耕作は牛のぐあいが悪くなったと知らせにきたのだ。徹夜で牛の看病をした翌朝、耕作は家の前にとまったパトカーへ自分から歩いていった。冬、網走に向う列車の中に四年の刑を言い渡された耕作の姿があった。美幌の駅で耕作は虻田と民子の姿を見た。民子が町に出て、耕作の出所を待つために武志と新しい生活を始めたことを告げる虻田。夕焼けに染った雄大な雪原を耕作を乗せた列車が行く……。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

第4回 日本アカデミー賞(1981年)

受賞

脚本賞 朝間義隆 山田洋次
主演男優賞 高倉健
主演女優賞 倍賞千恵子
音楽賞 佐藤勝

ノミネート

作品賞  
監督賞 山田洋次
詳細情報を表示

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

フォトギャラリー

  • 画像1

(C)「遙かなる山の呼び声」監督/山田洋次' (C)1980松竹株式会社

映画レビュー

4.0健さん最高!

2024年9月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

かっこいいんだなー。馬に乗ってるとこも。全部。 これだけでも見た方がいい。 あとは吉岡秀隆、泣きが良い。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
かむこむ

0.5日本人は良い人ばかり。そうさ!少し綺麗な男女は得だね。

2024年9月27日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 1件)
When I am 75♥️

3.0黄色いハンカチよりも好き

2024年9月16日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

幸せ

黄色いハンカチよりもこちらの方が好きかもしれない。主人公とヒロインの簡単には近づかないけど徐々に心の距離が縮まっていく様子が上手く描かれている。 2時間の上映も長く感じず、温かく幸せな時間が過ごせる映画。 時代の流れからして、こういう味の邦画はもう作られないんだろうなぁとつくづく感じる作品だった。 自分を待っていてくれる人の存在を知り、男泣きするラストの健さんが染みる。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
タブロー

4.5【"もう、他人じゃないから。"幸福の黄色いハンカチ、和風シェーンバージョン。ラストの列車内のシーンでは思わず、嗚咽してしまう逸品である。】

2024年7月19日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

知的

幸せ

■北海道・中標津。  風見民子(倍賞千恵子)は息子武志(吉岡秀隆)を育てながら一人で牧場を切り盛りしている。  ある冬の嵐の晩、一夜の宿を求めてひとりの男(高倉健)が訪ねて来る。  男は納屋に泊まり、牛のお産を手伝って、翌朝に出て行く。  そして夏、再び男が現れ、働かせてほしいと頼んでくる。 ◆感想 ・高倉健さんの、どこか影がありながらも男らしい振る舞いと、民子に対する一線を保つ姿勢を持つ男を演じる姿がとても良い。 ・民子が最初は男を警戒しつつ、一生懸命に何かを忘れようとするが如く働き、武志が懐く馬を見事に乗りこなす姿に徐々に惹かれて行く様を演じる倍賞千恵子さんの姿も、当然良い。 ・男は民子に言い寄る虻田(ハナ肇)と、その弟たちを軽くあしらうが、虻田はその事が切っ掛けで男を慕うようになっていく。 ■だが、刑事の姿を見た男は、自ら民子に”辞めさせて下さい。”と言いだすのである。 <今作の白眉のシーンは、男が裁判所で懲役刑を言い渡され、列車で網走に護送される列車の隣の席に乗り込んできた民子と虻田のシーンである。  虻田が大きな声で”中標津で旦那を待っているんだろう!”と民子に言うシーンである。勿論、男に聞こえるように・・。  そして、男は俯きながら目尻に涙を浮かべ、同じく涙を流す女は刑事に断ってから男にハンカチを渡すのである。  思わず、嗚咽してしまったシーンである。  今作は、辛い生活をしていた男女が、偶然出会い、お互い惹かれつつ一度は別れるも、女の男への想いが心に響く逸品である。>

コメントする (0件)
共感した! 4件)
NOBU