花心中

劇場公開日:

解説

姉と心中して生き残った男に、姉の心中にまで至った心情を理解しようと近ずいていく妹。それは、彼女自身の生き方を発見するための行動だった……。原作は阿久悠・作、上村一夫・画の同名劇画。脚本は福田陽一郎、監督は「喜劇 ここから始まる物語」の斎藤耕一、撮影も同作の坂本典隆がそれぞれ担当。

1973年製作/91分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1973年9月15日

ストーリー

夏のはじまり、一面に咲き乱れる花畑で若い男女が心中した。女・神谷亜紀子は死に、男・小鹿良介は生き残った。姉の死の原因を理解できない妹・那津子は、学校も故郷も捨てて、良介に逢うべく上京した。良介は、昼間はテレビ局のスカウトマン、夜はジーンズ・ショップに勤め事件の傷跡をみじんも感じさせぬ程陽気だった。そんな良介をなじる那津子。ある日、彼女は良介が、事件後始めて亜紀子と同棲していたアパートへ行こうとしていた時に会った。アパートに同行した那津子は、その部屋で姉と同じように彼に肉体を与えた。翌日から二人の同棲生活が始った。就職口を捜していた那津子は、姉を知っている作詞家・蔵と会った。良介の生き方を批難する彼の態度は自信に満ち、誠実そのものだった。その夜、那津子と良介は激しく口論して、彼女は悲しみをいやすために、夜の街をさまよった。その頃、良介は仲間たちとヤケ酒をあおり、蔵の事務所のあるビルの壁面をロープ・クライミングで登り始めた。ビルの下はたちまち人だかりとなり良介は人々に向かって脈絡のない演説をはじめた。蔵が亜紀子を犯したこと、そのため彼女は妊娠し、胎児の父親が判らないことを苦にして死んだこと、今では那津子の愛がなくては生きてはいけなくなったこと。通りがかった那津子はその声を聞いた。良介への憎しみと疑惑が消えて、はっきりと愛が形をなした……。二人は愛を確認するため、姉の死んだ花畑へと車を飛ばした。花の季節はもう終っていた。だが、那津子には何かが始まるのが感じられた。その幸福な時間は美しく短かく過ぎていった。帰途、二人を乗せた車はガードレールを越えて転落した……。大人たちは二人の死を心中とみなした……。

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